【レビュー】フレッシュ&ポップな熱量を感じるリスタート作 | 花泥棒『Yesterday and more』

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花泥棒『Yesterday and more』

京都のバンド、花泥棒。2014年にフロントマン稲本裕太(Vo,G)以外のメンバーが全員脱退、単身夢を追い求めこの東京砂漠に流れ着いたが早くも3年目。今日の京都シーンの充実を見ると上京ドリームなど偉大なる勘違いヤローなのかもしれない。事実東京上京後はまずメンバー探しから始まり、ようやくのことでイラミナタカヒロ(Ba/ex sukida dramas)がジョイン。下北沢THREEでの主催イベント〈DOWN TOWN〉を始め、定期的にライヴを出来る環境を整ったのは比較的最近だろう。本作はようやく届いた東京移住後初音源となる5曲入りのEP。ここには「渚」に代表されるような京都時代のJ-POPな甘酸っぱさも、上京後の模索期間に一時期顕著になっていたファズがかった荒々しいローファイな面もマイルドにブレンドされた、東京でついに一旗あげる準備の整った花泥棒がここにいる!

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【インタビュー】国内唯一のダクソフォン奏者・内橋和久に聞く〈犬島サウンドプロジェクト Inuto Imago〉

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【インタビュー】国内唯一のダクソフォン奏者・内橋和久に聞く〈犬島サウンドプロジェクト Inuto Imago〉

【インタビュー】国内唯一のダクソフォン奏者・内橋和久に聞く〈犬島サウンドプロジェクト Inuto Imago〉

瀬戸内国際芸術祭2016・犬島パフォーミングアーツプログラムとして、アルタードステイツや超即興などでギターをかきならす一方で、国内唯一のダクソフォン奏者として活躍する即興音楽の探求者、内橋和久が『犬島サウンドプロジェクト Inuto Imago』を始動させる。このプロジェクトは、ジャワ島のジョグジャカルタを拠点とし、現地の呪術や霊性の宿る民族音楽を基本としながらも、そこにアヴァンギャルドな手法を織り込むことで、サイケデリック・ミュージックや実験音楽の範疇を逸脱し続けるSENYAWA(現在はベルリンに拠点を置く、超先鋭的テクノ・レーベルMorphine Recordsからもリリースしている!)のルリー・シャバラとヴキール・スヤディー、インドネシア・バンドン出身のマルチ・インストゥルメンタリスト、イマン・ジンポットらと内橋が犬島に滞在し、犬島の自然、環境の音も含めた島に根付く音に対峙し、新たな音楽を発見していく挑戦である。このサウンドプロジェクトの全貌はいったいどうなっているのだろうか。内橋和久にメール・インタビューを試みた。(聞き手・坂本 哲哉

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現在関西音楽帖【第2回】~PICK UP NEW DISC REVIEW~

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“よりフットワーク軽く、より定期的、よりリアルタイムに音源作品をレビューしようという、延長線かつスピンオフとなる企画”である「現在関西音楽帖【第1回】~PICK UP NEW DISC REVIEW~」は、意外や意外と(と言ったら失礼だが)、特にツイッター上では反響も大きく、多くの方がki-ftを訪れることとなった。第2回目ではthe oto factory『date course』、Seiho『Collapse』、DENIMS『iggy & pops』、岡崎体育『BASIN TECHNO』、And Summer Club『HEAVY HAWAII PUNK』、SATORI『よろこびのおんがく』、THE FULL TEENZ『ハローとグッバイのマーチ』の7アーティストを取り上げる。夏〜秋フェスなどで見かける機会も多いだろう。アルバムレビューを参考にして欲しい。

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【レビュー】アパート、街へ出る | アパート『ACCESS THE AGE』

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アパート『ACCESS THE AGE』

アパート
ACCESS THE AGE
自主制作, 2016年
BUY: ライヴ会場、100000tアローントコほか

これは「街」のアルバムだとアパートこと原田和樹くんは語る。京都で一人ユニットとして活動する彼が、宅録を彷彿とさせる前作のスタイルを捨て、同世代の音楽仲間と作り上げたのがこのセカンド・アルバムだ。その代表曲M5「歓楽街は賑やか」は、夜の街を歌った艶っぽいR&Bナンバー。弾き語りライブでは”What’s going on…”とマーヴィン・ゲイの名曲の一節を挿入していた。だが、R&Bだけが本作のサウンドというわけではない。アルバムに収録されている他の曲は、フォークやサンバ、完成に半年かけたというヒップホップまで揃っており、ただならぬ深みを感じる。

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【クロスレビュー】音楽ライター講座in京都〈スピッツ考現学〉で読みあった「みなと」の完成原稿

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スピッツ『みなと』

スピッツ
みなと
ユニバーサルミュージック, 2016年
BUY: Amazon CD, タワーレコード, iTunesで見る

2016年6月〜8月の音楽ライター講座in京都は〈スピッツ考現学〉というテーマで全3回に渡り、20年以上も第一線で活躍しているスピッツを考察します。6月12日の初回では、15th album 『醒めない』(7月27日リリース)への布石となる新曲「みなと」を取り上げ、参加者によるレビューを読み合いました。この記事では提出された原稿をブラッシュアップし、完成したレビューを随時掲載します。

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【インタビュー】キツネの嫁入りマドナシが語る〈第6回スキマアワー〉

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キツネの嫁入り主宰〈第6回スキマアワー〉

キツネの嫁入り主宰〈第6回スキマアワー〉

とにかくヴァリエイションが必要。政治でも音楽でも、個人の趣味指向でも。とりわけここ数年、そう痛感することがあまりにも多い日が続く。色々な音楽がもっとあっていい。色々な考え方の人がもっといてもいい。もちろん、好みは分かれるだろう。だが、それは尊重し合えればいいだけの話。ヴァリエイションは多ければ多いほど面白い。もちろん、その中からどれを選ぶのかは、あなた自身の感覚に委ねられているわけだが、それに応えてくれるだけの優れたヴァリエイション=選択肢も実はちゃんとあることを覚えていてほしいと思う。

京都でそんなヴァリエイションを実感させてくれる店、場所、イベント、レーベルは少なくないが、『スキマアワー』『スキマ産業』という自主企画を定期的に開催しているキツネの嫁入りというバンドも、その大事な“選択肢”の一つを提供している重要な存在だ。そのヴォーカル・スタイルもイビツな楽曲や演奏もひたすらアクが強いが、しかし、今年結成10周年を迎えた彼らが、ライフワークのように手弁当で企画するイベントだからこそ個性がハッキリしていて信頼ができる。だからこそ面白い。発信者の息吹が強く感じられるから、参加していても手応えが存分に感じられる。優れた企画とはそもそもこうしたものだ。

しかも、『スキマアワー』は徹底して敷居が低い。出演アーティストも、例えば今年ならUAや高野寛といった代表曲を多く持っている全国区での人気アーティストから、海外のアーティストとも交流が深いトクマルシューゴ、あるいは奈良の五味岳久(LOSTAGE)や地元京都の中村佳穂、そして開催バンドであるキツネの嫁入りまで、6組と絞り込んだにしてはこれまたヴァリエイションたっぷり。家族揃っての参加でも楽しめるアットホームな飲食、雑貨の出店の数々も豊富だし、チケット代も良心的だ。

8月6日(土)に開催されるそんな『第6回スキマアワー』は初めて京都精華大学に会場を移す。屋内の《アゴラホール》と屋外の《水上ステージ》の二ヶ所で6アーティストが交互に演奏するだけではなく、子供たちが安心してくつろげる屋内のキッズ・スペースやミスト・シャワーの用意など、暑い盛りの気候に配慮した準備も過去になく入念だ。もちろん、会場へのアクセスも万端。詳細は公式サイトを見ていただくとして、直前に迫った今年の『スキマアワー』の内容とかける思い、さらには京都で活動する中で、今できること、リスナーに体験してほしいことなどを、主催者・キツネの嫁入りのリーダーであるマドナシに語ってもらったのでお届けしたい。(聞き手:(岡村 詩野))

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【ライヴレビュー】葉山久瑠実復帰記念企画『しあわせ売り場はどこですか?』at 梅田シャングリラ

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【ライヴレポート】葉山久瑠実復帰記念企画『しあわせ売り場はどこですか?』at 梅田シャングリラ

【ライヴレポート】葉山久瑠実復帰記念企画『しあわせ売り場はどこですか?』at 梅田シャングリラ

長らくお待たせ致しました。
会場でお会いしましょう。

彼女がTwitterでツイートしてからこの日をどれだけ待っていたか。ゴールデンウィーク明けた5月10日の火曜日。大粒の雨が降る中、私は梅田シャングリラへと足を運んだ。彼女の、そう葉山久瑠実のライヴを観るために。

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現在関西音楽帖【第1回】~PICK UP NEW DISC REVIEW~

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齢25・フロム大阪。今は“東京の天満”こと阿波踊りとブルースによるカオスなポリリズムが純情的に商店街を席巻する街、高円寺に居を構えるわたくし、品川から地元・新大阪に向かう新幹線の中から口上申し上げております。

関西の音楽を中心に取り上げております音楽メディアki-ft(キフト)は音楽評論家・岡村詩野が講師を務める「音楽ライター講座in京都」の受講者で運営を行っており、間もなく開設2年。“関西音楽へのフォーカス”というコンセプトは2014年3月にBCCKSの電子書籍で発行された前身媒体、『現代関西音楽帖』から引き継いだものでございます。その辺りの詳しい歩みについてはAboutページに説明を任せるとしますが、『現代関西音楽帖』発刊から2年以上経った今、関西のローカルシーンはなお変容と拡大を続けております。

当時新星の芽吹きとして取り上げたtofubeats、Homecomings、夜の本気ダンスらは全国的な人気を獲得し、NOKIES! として取り上げたクメユウスケはSpecial Favorite Musicとしてインディシーンにポップ旋風を吹かせ、THE FULL TEENZやAnd Summer Clubら「生き埋めレコーズ」の面々を始めとして2年前には取り上げていなかったニューカマーたちも続々と台頭しております。

余談にはなりますが、本著の編集長を担当した私も当時は同志社大学の学生でありましたが、今は冒頭の通りのサラリーマンとして東京都(HIGASHI KYOTO)在住の遠隔関西ウォッチング生活となり、2年の時の流れを日々感じております。しかし日本の中枢機能が全て備わった街に住んでいても、年々“関西を拠点とする~”の触れ込みに出会う機会は増すばかり、ましてや関西だけではなく札幌、名古屋、福岡etc……とローカルシーンからの新たな才能の登場はいわんや、ローカルという軸でカテゴライズ(シーン化)するという音楽の聴き方の加速度的な発展をひしひしと感じているのです。

そんなますますの盛り上がりを見せ、リリースタイトルも爆発的に増えております関西シーン。現状のki-ftの体制ではなかなかその全てをフォローしきれないことから、久々の連載企画を立ち上げます。よりフットワーク軽く、より定期的、よりリアルタイムに音源作品をレビューしようという、延長線かつスピンオフとなる企画でございます。タイトルは前作を引き継ぎまして「“現在”関西音楽帖」。タイトルは落語家立川談志の名著「現代落語論」の出版50年である昨年、引き継ぐ形で新たな価値観を展開した立川吉笑さん「現在落語論」に対するリスペクト&インスパイアでございます。

2年前も講座受講生である我々の拙い文章、知識不足等々により様々な叱咤激励をいただきましたが、当時も今も“それでも、書くんだよ!!”というマインドは変わっておりません。本稿では関西の音楽の「現在」を紹介してまいりますので興味を持ってもらえるようでしたらこれほど幸いなことはございません。それではさっそく参りましょう。第1回は7枚のご紹介です!(前口上:峯 大貴

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【6月〜8月期の音楽ライター講座in京都】スピッツとくるりの考現学

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2016年6月〜8月はスピッツとくるりの考現学

2016年6月〜8月はスピッツとくるりの考現学

【6月〜8月期の音楽ライター講座in京都】スピッツとくるりの考現学

幅広い世代に聞かれているスピッツ。言わば普遍的なポップソングが魅力で、メンバーも固定されている、邦楽を代表するバンドです。そのスピッツがリリースした「みなと」。ミュージックステーション出演時には澤部渡(スカート)がサポートし、話題になったことも記憶に新しいです。講座ではスピッツの20年史を振り返りつつ、変わることのない良質な曲の数々を聞きます。

また7月3日の講座では、スピッツディレクターとしてご活躍されている竹内修さんをスペシャル・ゲストにお招きし、バンド結成時から現在までの軌跡をお伺いします。大変貴重な機会となるため、ぜひとも竹内修さんのブログ「wilsonic journal」を読んでから、ご来場下さい。

7月3日はスピッツディレクターの竹内修さんがゲストで登壇

7月3日はスピッツディレクターの竹内修さんがゲストで登壇

一方のくるりは京都で産声をあげ、東京に進出。メンバーの増減を繰り返しながら、絶え間なく進化を遂げてきたバンドです。ポップとロックに軸を置きながら、多様な音楽を吸収し、私たちを驚かせてきました。近年は京都に移住しながら活動したり、毎年9月には梅小路公園で京都音楽博覧会を開催するなど、今でも京都に縁あるバンドです。講座では7月にリリースされるブランニューダンストラック「琥珀色の街、上海蟹の朝」を徹底的に分析します。

音楽ライター講座in京都の詳細

  • 講師:岡村詩野(音楽評論家)
  • 日程とテーマ、そして持ち込み課題:
  • 6月12日「スピッツ考現学Vol.1 新曲「みなと」徹底分析」 課題:新曲「みなと」1000字レビュー(風呂敷を広げ過ぎず、楽曲に対するレビューに徹する。)
  • 7月3日「スピッツ考現学Vol.2 ゲスト:竹内修さん(スピッツディレクターによるバンド20年史の解説)」 課題:好きなスピッツの作品を1000字でレビューする
  • 7月17日(くるり考現学Vol.1「琥珀色の街、上海蟹の朝」徹底分析) 課題:7月6日にリリースの新曲「琥珀色の街、上海蟹の朝」を1000字でレビューする
  • 8月14日(スピッツ考現学Vol.3「新作『醒めない』レビューまたはスピッツ論の読み合い」) 課題:新作『醒めない』レビューまたはスピッツ論を1000字以上で書く
  • 9月11日「バート・バカラックとブリル・ビルディング時代の考現学」 課題:バート・バカラックまたはブリル・ビルディングが関わった音楽作品を1000字でレビューする
  • 会場オープン:13:00、スタート:13:15、終了:17:00
  • 場所:京都駅または京阪七条駅から徒歩10分
  • 各回料金:2,500円
  • ※講座は1回から参加可能です。場所については予約後にメールでお伝えします。
  • ※課題は未提出でも参加可能です。聴講のみの受講者もお待ちしています。
  • 予約とお問い合わせ:info@ki-ft.comまたはお問い合わせページより。
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【レビュー】~紙の月~ | Special Favorite Music『World’s Magic』

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Special Favorite Music『World's Magic』

Special Favorite Music
World’s Magic
P-VINE RECORDS, 2016年
BUY: Amazon CD, タワーレコード, iTunesで見る

ここは見世物の世界 何から何までつくりもの
でも私を信じてくれたなら すべてが本物になる

(作曲:ハロルド・アーレン 作詞:エドガー・イップ・ハーバーグ、ビリー・ロウズ 「It’s Only a Paper Moon」より抜粋)

村上春樹の『1Q84』はこんなエピグラフから始まる。この小説に登場する“1Q84”という世界ではビック・ブラザーという大いなる支配者がいなくなり、向かうべき目的を失った若者達が“ここではない、どこか”へと自らの存在を求め、その結果リトル・ピープルに魅せられてしまい、捕らわれるといった事が描かれている。僕はこの小説を読みながら「もし、この世界にこんな音楽があれば人々は救われるのでは。」と、そんなことを考えていた。自らをリトル・ピープルの時代に生まれ育ったというSpecial Favorite Musicはそんな心に傷を負い、疲れ果てた人々に音楽という魔法で一筋の光を届けてくれる。そう、それが『World’s Magic』である。

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【ライヴレビュー】祝春一番2016

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祝春一番2016

祝春一番2016

年明けと同時に起こった音楽界におけるレジェンドの訃報とゴシップのパンデミックは我々の情報処理能力をパンクさせ、季節の移ろいの体感を止める最も有効な方法として機能した。我々SNS情報過多世代に対する2016年からの挑戦には、現在5月にしてすでにうんざりしつつあるが、なんとか夏を受け入れられる体制が出来たか。ご褒美とばかりにひたすら快楽的なフェス・イベント関連情報が溢れてきて、ようやく浮足が立てるようになったここ数週間でございます。拡大しすぎたフェス文化をまとめるサイトも最近数多く登場し、フェス飯・フェス泊・フェスグッズと新たなフェスの楽しみ方を考察している拡大具合もまた面白い。

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2016年 関西のヴィジュアル系シーンを紐解く | 凛 LAST LIVE〈the end of corruption world〉3月20日 at なんばHatch

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凛『the end of corruption world (MEMORIAL BEST BOX)』

凛-the end of corruption world-
the end of corruption world (MEMORIAL BEST BOX)
wyze iD factory Inc., 2016年
BUY: Amazon CD+DVD, タワーレコード, iTunesで見る

思えば、凛というバンド及び、凛の首謀者であるKISAKI(B)という人は、関西のヴィジュアル系(以下V系)シーンにおいて、さまざまな人やものを繋ぐ、橋渡しのような役割を担っていた。関西を拠点としたインディーズ・レーベルUNDER CODE PRODUCTIONを2003年から2013年まで主宰していたことから、関西とその他の地域のバンドマンを繋ぐ存在であったし、世代的にも、1990年代のX JAPANやLUNA SEAなどに代表される、いわゆるV系元祖の世代と、2000年代中期から登場した“ネオ・ヴィジュアル系”と呼ばれる世代の、ちょうど間の世代であるKISAKIは、そういうビッグな先輩たちと、ネオ・V系以降に登場した後輩たちを繋ぐ存在でもあった。そうして、レーベルオーナーとしても、ミュージシャンとしても、関西のV系シーンを10年以上背負ってきたKISAKIが、2010年に始動したバンドが凛だった。2013年にレーベルUNDER CODEを解体した時に、凛も一時活動休止をしたが、翌年メンバーチェンジを経てカムバック。紆余曲折のあったバンドではあるが、このたびついに、解散という形でその活動に幕をおろす。

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【レビュー】トーベヤンソン・ニューヨーク『Someone Like You』

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自戒なのだが、シャッグスやヴァセリンズを例に取り、演奏の下手さを安易に抽出してバンドを評することがよくある。

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【レビュー】終わりは始まり | リアーナ『アンチ』

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リアーナ『アンチ』

リアーナ
アンチ
Universal Music, 2016年
BUY: Amazon CD, タワーレコード, iTunesで見る

我々が始まりと呼ぶものは往々にして終わりでもある。
締めくくりは始まりでもある。結末は我々の出発点なのだ。

T.S. エリオットの詩集『4つの四重奏』にある「リトル・ギディング」の最終章はこのような書き出しである。『4つの四重奏』の重要なモチーフの一つは“時間”であり、時間は直線的に流れているのではなく、過去、現在、そして未来は互いに影響し合って円環的に流れているという事が書いているのだが、そのように考えればリアーナの『アンチ』はその体現ともいえる。そう、この作品こそリアーナの“終わり”であり“始まり”なのである。

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【コラム】2016年 関西のヴィジュアル系シーンを紐解く

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【コラム】2016年  関西のヴィジュアル系シーンを紐解く

【コラム】2016年 関西のヴィジュアル系シーンを紐解く

2015年5月17日、大阪アメリカ村の7つのライヴハウスに、全国から総勢約60組のヴィジュアル系(以下V系)バンドが集結しました。〈KANSAI ROCK SUMMIT’15 EXPLOSION CIRCUIT VOL.2〉と銘打たれたこの大型イベントは、〈MINAMI WHEEL〉や〈見放題〉のような、いわゆるサーキットイベントのV系版と言えるもので、2014年にVOL.1が開催され、今年もVOL.3の開催が5月15日に決定しています。〈MINAMI WHEEL〉開催時ほどの、まるで大きな学園祭かのような賑わいはありませんが、一歩会場に足を踏み入れるとそこには、若者だけでなく、幅広い年齢層のオーディエンスに加え、外国人のお客さんまでもが集い、出演バンドを歓迎する、熱心なオーディエンスの姿がありました。

調べてみると、近年の関西V系界隈では、〈KANSAI ROCK SUMMIT EXPLOSION CIRCUIT〉の他にも、2008年から大阪城音楽堂や服部緑地野外音楽堂で行われていたフェス型イベント〈BANDS SHOCK REVOLUTION ~びじゅある祭~〉が、2015年には会場を舞洲スポーツアイランド 太陽の広場特設ステージに移して開催されていたり、2015年大晦日のカウントダウンイベントが、OSAKA MUSEをはじめ、西九条BRAND NEW、HOLIDAY OSAKA、心斎橋soma、KYOTO MUSEなど、いくつものライヴハウスで開催されるなど、イベント数も増え、その規模も大きくなっています。また、京都の放送局であるKBS京都とネットが連携した、V系とアイドルに特化したテレビ番組『mine Presents CYBER CIRCUS TV』の放送が始まったり、関西のV系バンドを集めたコンピレーション・アルバムも発売されていたりと、熱気を帯びる関西V系シーン。

そこで本稿では、現在の関西V系シーンの盛り上がりを3部構成で紐解いていきます。まず「Part1 関西ヴィジュアル系のルーツ」で、現在の盛り上がりに至るまでの関西のV系のルーツを、「Part2 関西ヴィジュアル系シーンの今」では、現在の関西V系シーンの中心バンドやレーベルについて紹介し、そして「Part3 関西ヴィジュアル系シーンのこれから」では、V系の枠にとどまらず活動するバンドを例に、V系の今後について考えてみたいと思います。

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