カテゴリー : Column

【コラム】森本アリ著『旧グッゲンハイム邸物語』は『バグダッドカフェ』『カーズ』に継ぐ、塩屋における“まちづくり”ドキュメントだ

Pocket

森本アリ著『旧グッゲンハイム邸物語 未来に生きる建築と、小さな町の豊かな暮らし』

森本アリ
旧グッゲンハイム邸物語 未来に生きる建築と、小さな町の豊かな暮らし
ぴあ, 2017年
BUY: Amazon, タワーレコード, 楽天ブックス

いまでは旧グッゲンハイム邸と言えば、ライヴハウスとして、さらに結婚式場やワークショップの会場など、神戸のカルチャーを牽引する一つの基点とも言える程の存在感を示している。しかし、数年前まで旧グッゲンハイム邸やこの邸宅のある塩屋は、神戸に住んでいる者にとっても馴染みのあるものでは決してなかった。本稿で紹介する『旧グッゲンハイム邸物語』とは、旧グッゲンハイム邸を中心に如何にして塩屋が今のように注目されるに至ったかを、当事者の視点から書かれたドキュメンタリーである。

続きを読む

【関西ヴィジュアル系シーンを読む】第1回 FEST VAINQUEUR

Pocket

FEST VAINQUEUR「GLORIA~栄光のキズナ~」

FEST VAINQUEUR
GLORIA~栄光のキズナ~
PLUG RECORDS west, 2015年
BUY: Amazon CD, タワーレコード, 楽天ブックス

このたび、関西のヴィジュアル系(以下V系)シーンについてのコラムを連載することになりました小川あかねと申します。これまでも、当サイトki-ftにて、関西のV系シーンを考察するコラムはいくつか執筆しましたが、今月からは連載として、毎月、関西のV系バンドやシーンにまつわる事柄を取り上げたいと考えています。

続きを読む

【マーガレット安井の日々の泡3】何者になれない私がMISOJI CALLINGで救われた話

Pocket

最近あまり調子が良くない。3月に入ってからであろうか、得体の知れない不吉な塊が私の心を始終おさえつけているのだ。そのため文章を書こうにも手はつかず、以前私を喜ばせたどんな美しい音楽も、楽しかった小説も興味を引かれない。いつものように通っているライヴハウスで好きなバンドのライヴを観ても全く心が躍らない。どのバンドも演奏は確かに素晴らしかったし、以前ならばお酒を片手に楽しんでいたんだろうが、今の私は時が経つにつれて居た堪れない気分になってくるのだ。ライヴハウスからの帰り道にどこか遠くの知らない土地に行って、出来れば旅館なんかに泊まって綺麗な布団と糊のきいた浴衣を着て横になりたいと思うが、現実は本とCDが散らばった汚い自分の部屋で明かりもつけず一日を過ごしている。

続きを読む

【マーガレット安井の日々の泡2】洋楽のライヴを観ながら考えた事 ~ディプロとホイットニーと観客~

Pocket

ホイットニー『ライト・アポン・ザ・レイク』

WHITNEY
ライト・アポン・ザ・レイク
Secretly Canadian, 2016年
BUY: Amazon CD, タワーレコード, 楽天ブックス

今年に入ってから海外のアーティストのライヴを2度ほど観た。一つは、2000年代後半の世界的ダンス・ムーヴメントの立役者の一人でもあるディプロのライヴだ。そもそも、私はダンス・ミュージックにそこまで興味がないのだけど、友達から誘われたのと、ディプロがトラックを手掛けたM.I.A.やMØが割と好きだったので、社会見学的な感じで観に行った。ライヴ自体はMØやメジャー・レイザーのナンバーを含めつつ、時折、ホイットニー・ヒューストンの「I Will Always Love You」(映画『ボディーガード』のアレね)やロス・デル・リオの『恋のマカレナ』をフックに使い、ラストにはMØの『Final Song』で締める。といった鉄壁の布陣で「エンターテインメントはこういう事だ!」と言わんばかりのステージだったので私は楽しんだ。しかし、凄く楽しんでいた気持ちとは裏腹に、気になる事もあった。それは、私の背後に誰もいなかった事だ。

続きを読む

【コラム】西寺郷太著書ワークスでみる〜現代のポップに繋がる80年代ポップ〜

Pocket

西寺郷太『新しいマイケル・ジャクソンの教科書』

西寺郷太
新しいマイケル・ジャクソンの教科書
新潮文庫, 2009年
BUY: Amazon, タワーレコード

2016年のUSポップシーンを振り返った時、ブルーノ・マーズやザ・ウィークエンドなどマイケル・ジャクソンに対するリスペクトの大きさが上げられると思う。それらを紐解くに当たってノーナ・リーヴス西寺郷太氏による関連著作は大きなヒントを与えてくれる。

西寺郷太氏がこれまで書き下ろしてきた6冊の著書では、一貫して1985年から86年の間にポップ・ミュージックの受け入れられ方がどのように変化していったかを、マイケル・ジャクソンやプリンスなどそれぞれのミュージシャンを題材に、パーソナルな特徴に注目して書いてきた。それにより80年代のポップシーンを多角的に検証し、現代と当時の空気感をも内包する形で浮き彫りにしている。これらの著作を読み進めていくに連れ、1986年生まれの私が何となく抱いていた、ウィー・アー・ザ・ワールドやマイケル・ジャクソンと言った80年代ポップに対する偏見は崩れていき、現代のポップ・ミュージックへの繋がりの中で捉え直させてくれた。

続きを読む

【マーガレット安井の日々の泡1】花柄ランタンと僕と岡崎京子と

Pocket

花柄ランタン『ぼくらのフォークロア!』

花柄ランタン
ぼくらのフォークロア!
自主制作, 2016年
BUY: ライヴ会場など

「安井君さ、コラム連載してみない?」

ki-ftでレビューを書き始めて2年を過ぎようとしたある日の事、ファミレスで僕の先生でもあり師匠ともいうべき存在の方からこんな話を持ち掛けられた。ここではこうやって音楽について文章を書いてはいるのだが、本職は介護の仕事をしていて、「そんなことできるかな?」な内心思いながらも、好奇心が上回ったため「やります」と二つ返事で引き受けた。

ちなみに、本来このki-ftでレビューを書くときは自分の実生活や体験をあまり出さないように、つまりは自分語りをあえて避けていた。その理由としては私自身が客観的に作品を聴き、判断したいという批評家的視点からやっていた、という訳ではなく、単純に自分語りが恥ずかしいからである。そう、私は恥ずかしがりやなのだ。

しかし、こうやってコラムを書かせていただくのならば、自分の話も織り込みつつ書いていけたら、それはそれでありなのではと思った次第だ。これから月2回くらいを目安にやっていけたらと思うが、突然月1回に変わったり、はたまたこの連載自体が無くなったりする可能性も否定できない。ただ、無責任な連載のだけはならないよう注意はしていくつもりではある。まあ、マーガレット安井という「今時、少女漫画の投稿欄でもそのペンネームないだろ。」って名前の音楽好きが日々思ったことを連ねていく程度の物なので、皆さま生暖かい目で見てくれたら幸いであります。どうかよろしくお願いします。

さて、ハードルを思いっきり下げたところで、コラムの第1回目は去年の年末に起きたある出来事の話を1つ。

続きを読む

ki-ftレビュアーが選んだ2016年ベストディスク

Pocket

ki-ftレビュアーが選んだ2016年ベストディスク

ki-ftレビュアーが選んだ2016年ベストディスク

ki-ftで毎年恒例となったベストディスクの発表。各ライターのテキストを読んで頂くと分かるように、2016年の音楽シーンで話題となったことにはほとんど触れていないため、他サイトや音楽誌とは似ても似つかぬランキングになっている。強いて言えば、関西音楽にスポットを当てているので、ローカルミュージックの面白さに気付いてもらえるような作品が出揃った。今年の8月末に音楽ライター講座in京都の講師を務める岡村詩野の主宰レーベル〈Helga Press〉からリリースされた『From Here To Another Place』のレビューを読んでから本記事を見て頂くと、今日における関西音楽の層の厚みが分かるのではないかと考える。ki-ftでは春以降に『現代関西音楽帖 Vol.2』を刊行予定ということも合わせて伝えておこう。(ki-ft 編集長・山田慎)

続きを読む

モスクワのアンダーグラウンドシーン最注目!Kedr Livanskiy来日公演が大阪心斎橋club STOMPにて開催

Pocket

CONDOMINIMUM × Kedr Livanskiy Japan Tour

CONDOMINIMUM × Kedr Livanskiy Japan Tour

cemetaryやBatman Winks、Ykiki Beat / DYGLのメンバーからなるCONDOMINIMUM(コンドミニマム)。“東京を中心に活動をしているアーティストが音楽を発信していく為のより良い環境を創る事を目的とした集団”で、彼らによるロシア・モスクワの女性エレクトロ・アーティストKedr Livanskiy(ケダル・リヴァンスキ)の来日公演が東京と大阪で行われる。

続きを読む

【コラム】2016年 関西のヴィジュアル系シーンを紐解く

Pocket

【コラム】2016年  関西のヴィジュアル系シーンを紐解く

【コラム】2016年 関西のヴィジュアル系シーンを紐解く

2015年5月17日、大阪アメリカ村の7つのライヴハウスに、全国から総勢約60組のヴィジュアル系(以下V系)バンドが集結しました。〈KANSAI ROCK SUMMIT’15 EXPLOSION CIRCUIT VOL.2〉と銘打たれたこの大型イベントは、〈MINAMI WHEEL〉や〈見放題〉のような、いわゆるサーキットイベントのV系版と言えるもので、2014年にVOL.1が開催され、今年もVOL.3の開催が5月15日に決定しています。〈MINAMI WHEEL〉開催時ほどの、まるで大きな学園祭かのような賑わいはありませんが、一歩会場に足を踏み入れるとそこには、若者だけでなく、幅広い年齢層のオーディエンスに加え、外国人のお客さんまでもが集い、出演バンドを歓迎する、熱心なオーディエンスの姿がありました。

調べてみると、近年の関西V系界隈では、〈KANSAI ROCK SUMMIT EXPLOSION CIRCUIT〉の他にも、2008年から大阪城音楽堂や服部緑地野外音楽堂で行われていたフェス型イベント〈BANDS SHOCK REVOLUTION ~びじゅある祭~〉が、2015年には会場を舞洲スポーツアイランド 太陽の広場特設ステージに移して開催されていたり、2015年大晦日のカウントダウンイベントが、OSAKA MUSEをはじめ、西九条BRAND NEW、HOLIDAY OSAKA、心斎橋soma、KYOTO MUSEなど、いくつものライヴハウスで開催されるなど、イベント数も増え、その規模も大きくなっています。また、京都の放送局であるKBS京都とネットが連携した、V系とアイドルに特化したテレビ番組『mine Presents CYBER CIRCUS TV』の放送が始まったり、関西のV系バンドを集めたコンピレーション・アルバムも発売されていたりと、熱気を帯びる関西V系シーン。

そこで本稿では、現在の関西V系シーンの盛り上がりを3部構成で紐解いていきます。まず「Part1 関西ヴィジュアル系のルーツ」で、現在の盛り上がりに至るまでの関西のV系のルーツを、「Part2 関西ヴィジュアル系シーンの今」では、現在の関西V系シーンの中心バンドやレーベルについて紹介し、そして「Part3 関西ヴィジュアル系シーンのこれから」では、V系の枠にとどまらず活動するバンドを例に、V系の今後について考えてみたいと思います。

続きを読む

ページ: 1 2 3

【コラム】Reiの生み出す“ネオ・ブルース”の衝撃

Pocket

Rei『UNO』

Rei
UNO
SPACE SHOWER MUSIC, 2015年
BUY: Amazon CD, タワーレコード

昨年、本サイトki-ftでのベストアルバム企画にて「新世代ソロミュージシャンによる時代の幕開け」と自分の項を銘打ったが(ki-ftレビュアーが選んだ2015年ベストディスク)、藤岡さくらやNakamuraEmi、中島孝とソロミュージシャンの台頭が今年も引き続き著しい。特にローホーの全国デビューの衝撃は先日ここに書いたレビューの通りだ(【レビュー】大阪文化の伝統を現代にリバイスさせるミクスチャー・ヒップホップ | ローホー『Garage Pops』)。

そんな新世代が続々登場する中で一昨年全国デビューを果たしたReiという存在は不思議である。若干23歳でありながらすでに新世代の空気はなく、まるで10数年前からお馴染みの存在のような、一枚看板の安定感とオーラがある。

続きを読む

Opal Tapesから作品リリースのLumisokea、birdFriend×Falusによる待望の大阪公演が実現!!

Pocket

Lumisokea

Lumisokea

goat,bonanzasのリーダー日野浩志郎が主宰するカセットレーベル「birdFriend」、そして大阪本町HOP KENでのトークイベント開催、DJとして活躍する行松陽介と共にShapednoiseの来日公演を企画するなど、大阪に熱い地下音楽の風を送り込むFalus。この2組が手を組み、海外アーティストの来日イベント〈BFF〉を立ち上げた。

続きを読む

京都のドリーミーウェーブユニットEmerald Fourの最新アルバム『I Want To Be A Saint』リリースとライヴイベントが決定

Pocket

Emerald Four『I Want To Be A Saint』

Emerald Four『I Want To Be A Saint』

京都のドリーミーウェーブユニットEmerald Fourが最新アルバム『I Want To Be A Saint』を2016年4月7日の21:00より期間限定でTanukineiri Recordsよりフリーダウンロード配信することを発表した。併せてアルバムからリードトラック「ためいき」のMVが公開された。

続きを読む

【コラム】5つのキーワードでケンドリック・ラマー『To Pimp A Butterfly』を紐解いてみた。

Pocket

Kendrick Lamar『To Pimp A Butterfly』

Kendrick Lamar
To Pimp A Butterfly
ユニバーサル・ミュージック, 2015年
BUY: Amazon CD&MP3, タワーレコード, iTunesで見る

1) フッド

黒人初の大統領バラク・オバマ。彼は2015年のベスト・ソングに『To Pimp A Butterfly』の「How Much A Dollar Cost」を選んだ。しかし、彼は本作の「Hood Politics」で黒人スラングを真似るとして揶揄されている。それはハワイ育ちであるオバマ大統領はブラザーではないからなのだ。それは彼の前作『Good Kid M.A.A.D City』や映画『ボーイズン・ザ・フッド』が分かりやすい。これらから分かることは、アフリカン・アメリカンにとってニガーとは色ではなく文化的アイデンティティであることが表れているのではないか。そんな楽曲を含む3作目の本作で、ケンドリック・ラマーは個人史をアフリカン・アメリカンの歴史と重ね合わせ、フッドの持つ問題点をまず黒人から変えるにはどうすべきかと説いた。

続きを読む

【コラム】もしも、tofubeatsが乃木坂46をプロデュースしたら。

Pocket

【コラム】もしも、tofubeatsが乃木坂46をプロデュースしたら。

【コラム】もしも、tofubeatsが乃木坂46をプロデュースしたら。

読者の方へ……

これは全て私の頭の中で起こった出来事であり、実際の事実とは異なりますこと、ご報告させて頂きます。

私はここ2ヶ月ほど風邪が治らず、休みの日は家で寝るばかりの生活。本や映画もろくに見ることなく寝てばかりの生活。そんな中で私の見つけた楽しみが、ありえないだろうけど、実現したら楽しそうだなというコラボを考えるというもの。

今回は、乃木坂46をtofubeatsがプロデュースしたらどうなるかを考えてみました。きっかけは単純なもので、欅坂46結成のニュースを見たときに、神戸だと北野坂だなという漠然としたモノから、もしも神戸のトラックメイカーtofubeatsが乃木坂46をプロデュースしたら「北野坂」という曲ができるんじゃないかと思い、彼がEP一枚をプロデュースしたらどんなトラックリストになるのかと考えていく内に、誰かに伝えたくなってしまい、気がつくと原稿を書いていました。

続きを読む

ki-ftレビュアーが選んだ2015年ベストディスク

Pocket

ki-ftレビュアーが選んだ2015年ベストディスク

ki-ftレビュアーが選んだ2015年ベストディスク

音楽ライター講座in京都から生まれた関西拠点の音楽メディア/レビューサイト「ki-ft(キフト)」では、2014年に続き、2015年も邦楽・洋楽を合わせた年間ベストアルバムを発表します。書き手は京都・大阪・奈良・神戸在住者が多いため、とある制約を設けました。それは「関西音楽作品を一枚以上取り上げる」ということです。そのため、他のミュージックサイトや音楽雑誌などのベストディスクとはかなり異なるラインナップに見えるかもしれません。しかし、今、関西で鳴っている音楽を伝えていくということは、とても重要なことだと考えています。一人3枚づつ挙げてもらいましたが、不思議な事に重複は1枚もありませんでした。そういった意味でも、興味深い年間ベストになったと感じていますし、フレッシュな1年だったとも言えます。ki-ftならではのベストディスクを楽しんで頂けると幸いです。

続きを読む