カテゴリー : Column

【関西ヴィジュアル系シーンを読む】第4回 Purple Stone

Pocket

Purple Stone『赤と青 (Type-A)』

Purple Stone
赤と青 (Type-A)
CRIMZON, 2017年
BUY: Amazon CD, タワーレコード, 楽天ブックス

【関西ヴィジュアル系(以下V系)シーンを読む】第4回は、前回の〈KANSAI ROCK SUMMIT〉の稿でも取り上げたバンドPurple Stoneを紹介します。

8月23日、彼らのファースト・フル・アルバム『赤と青』が発売されました。大阪を拠点に活動を始めてから4年、初のフル・アルバムとなる本作は、これまでに発表されたシングル曲やカップリング曲(再レコーディング含む)に加え、過去に無料配布や会場限定販売された曲と、新曲が加えられた仕様です。ほとんどが、既発表曲ではありますが、不思議なことに、こうして彼らの歴史をアルバムという形式で捉えてみると、前回の連載で紹介した、ステージ上でのエンターテイメント性溢れる楽しいバンド像とは全く別のPurple Stoneの顔が浮かびあがりました。そこで、今回はその部分に焦点をあて、改めてPurple Stoneについて紹介したいと思います。(※なお、アルバム『赤と青』はType-AとType-Bで、収録曲が異なります。本稿では主にType-Aについて述べます)

続きを読む

【マーガレット安井の日々の泡4】ボロフェスタの思い出~私と彼とキュウソネコカミと~

Pocket

キュウソネコカミ『ハッピーポンコツランド』

キュウソネコカミ
ハッピーポンコツランド
ビクターエンタテインメント, 2017年
BUY: Amazon CD+DVD, タワーレコード, 楽天ブックス

今日は毎年、KBS京都ホールで開催されるボロフェスタのお話です。もう10年以上やっているフェスなのですが私が行き始めたのは一昨年の事で、その時の様子は以前ki-ftでも「坩堝を楽しむ」という題でライヴレポートとして書きました。

本当に毎年「ここはどこの高校の文化祭だ?」ってくらいDIYな感じがあり、面白いフェスで出演者もバラエティーに富んでおり、今年も行こうと思っているのですが、このライヴレポートを書いた2015年のボロフェスタで私にとっては大切な出来事がありました。まるで“新しい思い出”を作るため神様が引き合わせたような。今回はコラムではなくエッセイであり、私の思い出話なのですが私としてはどうしても話しておきたいことなので、今日だけ私のわがままを許してください。

続きを読む

“ベテランバンド”のそれから~スピッツ『CYCLE HIT 2006-2017 Spitz Complete Single Collection』に寄せて~

Pocket

CYCLE HIT 2006-2017 Spitz Complete Single Collection

スピッツ
CYCLE HIT 2006-2017 Spitz Complete Single Collection
ユニバーサルミュージック, 2017年
BUY: Amazon CD, タワーレコード, 楽天ブックス

昨年、音楽ライター講座in京都にディレクター・竹内修氏をお迎えしたスピッツ。今年結成30周年を迎え、シングル・コレクションをまとめたボックスや過去作の重量盤LPなど大量のアイテムがリリースされた。

更に大阪では10月にCentral67とのコラボレーション展示、11月におなじみの自主企画〈ロックロックこんにちは!〉も控えていて、まだまだ祭りは続きそうだ。中でもシングル・コレクション『CYCLE HIT 2006-2017 Spitz Complete Single Collection』(以下今作)は、2006年以降の全シングル曲と新曲3曲がまとめられた新作。しかし、この2006年頃から彼らはアルバムのリリースペースを3年おきに落とし、メディア露出も減らし、“リサイクル騒動”のような事件も無かったため(無いに越したことはないが)、取り立てて話題になることも減っていったように思う。強いて言うなら“安定飛行”か。

というわけでこのコラムでは、ki-ftレビュアー随一のスピッツファンである筆者が(香川野外公演最高でした)、特に2010年以降の“ベテラン”と呼ばれてからの彼らの歩みと、近年(一応)あったささやかな転機についてお話しする。今作を聴く上で参考にして頂けたら幸いだ。

続きを読む

【コラム】市民が繋げた神戸国際フルート音楽祭

Pocket

神戸国際フルート音楽祭の300人アンサンブル

神戸国際フルート音楽祭の300人アンサンブル

Future『Mask Off』やDrake『Portland』などフルートの印象的なフレーズの曲が全米で特大のヒットを記録している2017年。神戸では、世界三大フルートコンクールの一つと評される〈神戸国際フルートコンクール〉が今年も6月に行われた。1985年から4年に一度開催されており第9回となる今大会は、実は最も大きな財源となっていた市の助成金が「認知度に課題があり、市民への還元の度合いも低い」との理由で打ち切られ資金難となり開催が危ぶまれていたのだ。それにより市民の署名や募金、地元企業の援助、大部分はセレモア文化財団による寄付によって事業費を確保し開催された経緯があった。

続きを読む

【関西ヴィジュアル系シーンを読む】第3回 KANSAI ROCK SUMMIT’17 EXPLOSION CIRCUIT

Pocket

KANSAI ROCK SUMMIT’17 EXPLOSION CIRCUIT

KANSAI ROCK SUMMIT’17 EXPLOSION CIRCUIT

コラム【関西ヴィジュアル系シーンを読む】の第3回は、前回までのバンド紹介から少し趣向を変えて、5月21日に開催された〈KANSAI ROCK SUMMIT’17 EXPLOSION CIRCUIT〉のレポートをお届けします。

続きを読む

【関西ヴィジュアル系シーンを読む】第2回 ザアザア

Pocket

ザアザア「○と×」

ザアザア
○と×
タイムリーレコード, 2017年
BUY: Amazon CD&DVD, タワーレコード, 楽天ブックス

先月からスタートしましたコラム、【関西ヴィジュアル系シーンを読む】。第2回目にとりあげたいバンドはザアザアです。ザアザアは、大阪を拠点に2014年12月から、一葵(Vo)、春(G)、零夜(B)、口弐(Dr)の4人で活動を開始。結成から間もないバンドですが、すでに4枚のミニアルバムと、フルアルバムを1枚リリースしており、また、結成からわずか1年でOSAKA MUSEでのワンマン公演もソールドアウトさせるなど、大躍進中のバンドです。

続きを読む

【コラム】森本アリ著『旧グッゲンハイム邸物語』は『バグダッドカフェ』『カーズ』に継ぐ、塩屋における“まちづくり”ドキュメントだ

Pocket

森本アリ著『旧グッゲンハイム邸物語 未来に生きる建築と、小さな町の豊かな暮らし』

森本アリ
旧グッゲンハイム邸物語 未来に生きる建築と、小さな町の豊かな暮らし
ぴあ, 2017年
BUY: Amazon, タワーレコード, 楽天ブックス

いまでは旧グッゲンハイム邸と言えば、ライヴハウスとして、さらに結婚式場やワークショップの会場など、神戸のカルチャーを牽引する一つの基点とも言える程の存在感を示している。しかし、数年前まで旧グッゲンハイム邸やこの邸宅のある塩屋は、神戸に住んでいる者にとっても馴染みのあるものでは決してなかった。本稿で紹介する『旧グッゲンハイム邸物語』とは、旧グッゲンハイム邸を中心に如何にして塩屋が今のように注目されるに至ったかを、当事者の視点から書かれたドキュメンタリーである。

続きを読む

【関西ヴィジュアル系シーンを読む】第1回 FEST VAINQUEUR

Pocket

FEST VAINQUEUR「GLORIA~栄光のキズナ~」

FEST VAINQUEUR
GLORIA~栄光のキズナ~
PLUG RECORDS west, 2015年
BUY: Amazon CD, タワーレコード, 楽天ブックス

このたび、関西のヴィジュアル系(以下V系)シーンについてのコラムを連載することになりました小川あかねと申します。これまでも、当サイトki-ftにて、関西のV系シーンを考察するコラムはいくつか執筆しましたが、今月からは連載として、毎月、関西のV系バンドやシーンにまつわる事柄を取り上げたいと考えています。

続きを読む

【マーガレット安井の日々の泡3】何者になれない私がMISOJI CALLINGで救われた話

Pocket

最近あまり調子が良くない。3月に入ってからであろうか、得体の知れない不吉な塊が私の心を始終おさえつけているのだ。そのため文章を書こうにも手はつかず、以前私を喜ばせたどんな美しい音楽も、楽しかった小説も興味を引かれない。いつものように通っているライヴハウスで好きなバンドのライヴを観ても全く心が躍らない。どのバンドも演奏は確かに素晴らしかったし、以前ならばお酒を片手に楽しんでいたんだろうが、今の私は時が経つにつれて居た堪れない気分になってくるのだ。ライヴハウスからの帰り道にどこか遠くの知らない土地に行って、出来れば旅館なんかに泊まって綺麗な布団と糊のきいた浴衣を着て横になりたいと思うが、現実は本とCDが散らばった汚い自分の部屋で明かりもつけず一日を過ごしている。

続きを読む

【マーガレット安井の日々の泡2】洋楽のライヴを観ながら考えた事 ~ディプロとホイットニーと観客~

Pocket

ホイットニー『ライト・アポン・ザ・レイク』

WHITNEY
ライト・アポン・ザ・レイク
Secretly Canadian, 2016年
BUY: Amazon CD, タワーレコード, 楽天ブックス

今年に入ってから海外のアーティストのライヴを2度ほど観た。一つは、2000年代後半の世界的ダンス・ムーヴメントの立役者の一人でもあるディプロのライヴだ。そもそも、私はダンス・ミュージックにそこまで興味がないのだけど、友達から誘われたのと、ディプロがトラックを手掛けたM.I.A.やMØが割と好きだったので、社会見学的な感じで観に行った。ライヴ自体はMØやメジャー・レイザーのナンバーを含めつつ、時折、ホイットニー・ヒューストンの「I Will Always Love You」(映画『ボディーガード』のアレね)やロス・デル・リオの『恋のマカレナ』をフックに使い、ラストにはMØの『Final Song』で締める。といった鉄壁の布陣で「エンターテインメントはこういう事だ!」と言わんばかりのステージだったので私は楽しんだ。しかし、凄く楽しんでいた気持ちとは裏腹に、気になる事もあった。それは、私の背後に誰もいなかった事だ。

続きを読む

【コラム】西寺郷太著書ワークスでみる〜現代のポップに繋がる80年代ポップ〜

Pocket

西寺郷太『新しいマイケル・ジャクソンの教科書』

西寺郷太
新しいマイケル・ジャクソンの教科書
新潮文庫, 2009年
BUY: Amazon, タワーレコード

2016年のUSポップシーンを振り返った時、ブルーノ・マーズやザ・ウィークエンドなどマイケル・ジャクソンに対するリスペクトの大きさが上げられると思う。それらを紐解くに当たってノーナ・リーヴス西寺郷太氏による関連著作は大きなヒントを与えてくれる。

西寺郷太氏がこれまで書き下ろしてきた6冊の著書では、一貫して1985年から86年の間にポップ・ミュージックの受け入れられ方がどのように変化していったかを、マイケル・ジャクソンやプリンスなどそれぞれのミュージシャンを題材に、パーソナルな特徴に注目して書いてきた。それにより80年代のポップシーンを多角的に検証し、現代と当時の空気感をも内包する形で浮き彫りにしている。これらの著作を読み進めていくに連れ、1986年生まれの私が何となく抱いていた、ウィー・アー・ザ・ワールドやマイケル・ジャクソンと言った80年代ポップに対する偏見は崩れていき、現代のポップ・ミュージックへの繋がりの中で捉え直させてくれた。

続きを読む

【マーガレット安井の日々の泡1】花柄ランタンと僕と岡崎京子と

Pocket

花柄ランタン『ぼくらのフォークロア!』

花柄ランタン
ぼくらのフォークロア!
自主制作, 2016年
BUY: ライヴ会場など

「安井君さ、コラム連載してみない?」

ki-ftでレビューを書き始めて2年を過ぎようとしたある日の事、ファミレスで僕の先生でもあり師匠ともいうべき存在の方からこんな話を持ち掛けられた。ここではこうやって音楽について文章を書いてはいるのだが、本職は介護の仕事をしていて、「そんなことできるかな?」な内心思いながらも、好奇心が上回ったため「やります」と二つ返事で引き受けた。

ちなみに、本来このki-ftでレビューを書くときは自分の実生活や体験をあまり出さないように、つまりは自分語りをあえて避けていた。その理由としては私自身が客観的に作品を聴き、判断したいという批評家的視点からやっていた、という訳ではなく、単純に自分語りが恥ずかしいからである。そう、私は恥ずかしがりやなのだ。

しかし、こうやってコラムを書かせていただくのならば、自分の話も織り込みつつ書いていけたら、それはそれでありなのではと思った次第だ。これから月2回くらいを目安にやっていけたらと思うが、突然月1回に変わったり、はたまたこの連載自体が無くなったりする可能性も否定できない。ただ、無責任な連載のだけはならないよう注意はしていくつもりではある。まあ、マーガレット安井という「今時、少女漫画の投稿欄でもそのペンネームないだろ。」って名前の音楽好きが日々思ったことを連ねていく程度の物なので、皆さま生暖かい目で見てくれたら幸いであります。どうかよろしくお願いします。

さて、ハードルを思いっきり下げたところで、コラムの第1回目は去年の年末に起きたある出来事の話を1つ。

続きを読む

ki-ftレビュアーが選んだ2016年ベストディスク

Pocket

ki-ftレビュアーが選んだ2016年ベストディスク

ki-ftレビュアーが選んだ2016年ベストディスク

ki-ftで毎年恒例となったベストディスクの発表。各ライターのテキストを読んで頂くと分かるように、2016年の音楽シーンで話題となったことにはほとんど触れていないため、他サイトや音楽誌とは似ても似つかぬランキングになっている。強いて言えば、関西音楽にスポットを当てているので、ローカルミュージックの面白さに気付いてもらえるような作品が出揃った。今年の8月末に音楽ライター講座in京都の講師を務める岡村詩野の主宰レーベル〈Helga Press〉からリリースされた『From Here To Another Place』のレビューを読んでから本記事を見て頂くと、今日における関西音楽の層の厚みが分かるのではないかと考える。ki-ftでは春以降に『現代関西音楽帖 Vol.2』を刊行予定ということも合わせて伝えておこう。(ki-ft 編集長・山田慎)

続きを読む

モスクワのアンダーグラウンドシーン最注目!Kedr Livanskiy来日公演が大阪心斎橋club STOMPにて開催

Pocket

CONDOMINIMUM × Kedr Livanskiy Japan Tour

CONDOMINIMUM × Kedr Livanskiy Japan Tour

cemetaryやBatman Winks、Ykiki Beat / DYGLのメンバーからなるCONDOMINIMUM(コンドミニマム)。“東京を中心に活動をしているアーティストが音楽を発信していく為のより良い環境を創る事を目的とした集団”で、彼らによるロシア・モスクワの女性エレクトロ・アーティストKedr Livanskiy(ケダル・リヴァンスキ)の来日公演が東京と大阪で行われる。

続きを読む

【コラム】2016年 関西のヴィジュアル系シーンを紐解く

Pocket

【コラム】2016年  関西のヴィジュアル系シーンを紐解く

【コラム】2016年 関西のヴィジュアル系シーンを紐解く

2015年5月17日、大阪アメリカ村の7つのライヴハウスに、全国から総勢約60組のヴィジュアル系(以下V系)バンドが集結しました。〈KANSAI ROCK SUMMIT’15 EXPLOSION CIRCUIT VOL.2〉と銘打たれたこの大型イベントは、〈MINAMI WHEEL〉や〈見放題〉のような、いわゆるサーキットイベントのV系版と言えるもので、2014年にVOL.1が開催され、今年もVOL.3の開催が5月15日に決定しています。〈MINAMI WHEEL〉開催時ほどの、まるで大きな学園祭かのような賑わいはありませんが、一歩会場に足を踏み入れるとそこには、若者だけでなく、幅広い年齢層のオーディエンスに加え、外国人のお客さんまでもが集い、出演バンドを歓迎する、熱心なオーディエンスの姿がありました。

調べてみると、近年の関西V系界隈では、〈KANSAI ROCK SUMMIT EXPLOSION CIRCUIT〉の他にも、2008年から大阪城音楽堂や服部緑地野外音楽堂で行われていたフェス型イベント〈BANDS SHOCK REVOLUTION ~びじゅある祭~〉が、2015年には会場を舞洲スポーツアイランド 太陽の広場特設ステージに移して開催されていたり、2015年大晦日のカウントダウンイベントが、OSAKA MUSEをはじめ、西九条BRAND NEW、HOLIDAY OSAKA、心斎橋soma、KYOTO MUSEなど、いくつものライヴハウスで開催されるなど、イベント数も増え、その規模も大きくなっています。また、京都の放送局であるKBS京都とネットが連携した、V系とアイドルに特化したテレビ番組『mine Presents CYBER CIRCUS TV』の放送が始まったり、関西のV系バンドを集めたコンピレーション・アルバムも発売されていたりと、熱気を帯びる関西V系シーン。

そこで本稿では、現在の関西V系シーンの盛り上がりを3部構成で紐解いていきます。まず「Part1 関西ヴィジュアル系のルーツ」で、現在の盛り上がりに至るまでの関西のV系のルーツを、「Part2 関西ヴィジュアル系シーンの今」では、現在の関西V系シーンの中心バンドやレーベルについて紹介し、そして「Part3 関西ヴィジュアル系シーンのこれから」では、V系の枠にとどまらず活動するバンドを例に、V系の今後について考えてみたいと思います。

続きを読む

ページ: 1 2 3