カテゴリー : Disc Review

ソウル・フラワー・ユニオン: UNDERGROUND RAILROAD

Pocket

ソウル・フラワー・ユニオン: UNDERGROUND RAILROAD

ソウル・フラワー・ユニオン
UNDERGROUND RAILROAD
ブレスト音楽出版, 2014年
BUY: Amazon CD, タワーレコード, iTunesで見る

震災を挟んで4年ぶりのフルアルバム、中川敬(Vo, G)がいうところの“第2期”の幕開けを告げる本作。長らくバンドを彩ったモモナシ(JIGEN・上村美保子)の2人が脱退し、阿部光一郎(Ba)の加入とオリジナルメンバーうつみようこ(Vo)のサポートを得て、よりマッチョにリフレッシュされている。しかし結成20周年を超え、これまで幾度となくメンバー交代を経てきたはずだ。今「第2期」という言葉を使うのは、社会の変化と自身の生活をイコールにし、歌にリアルを閉じ込めてきた中川敬がソウル・フラワー・ユニオン(以下、SFU)として表現する音楽を完璧に明確化するという宣言のようだ。

続きを読む

【インタビュー】【レビュー】Gotch『Live in Tokyo』

Pocket

Gotch: Live in Tokyo

Gotch
Live in Tokyo
only in dreams, 2014年
BUY: Amazon CD & 2LP+CD, タワーレコード

ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文がGotch名義でリリースした『Can’t Be Forever Young』は2014年を代表するアルバムの一つだ。「Lost/喪失」を始めとする、30代も半ばを過ぎた自身の心情と、3.11以降の世相を重ね合わせたような歌詞。そして現代のインディー・ロックから、フォーク、カントリー、ブルースに至るまでアメリカの音楽の歴史を俯瞰したサウンドには、私たちの未来、これからとるべき行動を考えるにあたって、重要なヒントがあると思うのだ。

そして11月19日にはアナログ2枚組LP盤(+CD)でツアーでのセット・リストを丸ごとパックした『Live in Tokyo』が発売。11月28日には新曲「Route 6」の7インチ(+CD)、12月2日には、翌日の『Live in Tokyo』CD盤発売に先駆け、後藤正文責任編集による『THE FUTURE TIMES』第7号が配布開始される。このインタビューは、後藤がそのタイミングで、海外メディアbeehype(ビーハイプ)の取材(『2014年、日本の聴くべきインディー・ミュージック50枚』)に応じて語った内容の日本語版である。(質問文作成・レビュー:稲垣 有希 / 作成協力:松浦 達(musipl) / 本文・構成:森 豊和

続きを読む

asayake no ato: 追想と未来

Pocket

asayake no ato: 追想と未来

asayake no ato
追想と未来(TOWER RECORDS 限定)
FURTHER PLATONIC, 2014年
BUY: Amazon CD, タワーレコード

淡々とした彼らの演奏には、しかし静かな初期衝動が感じられる。別のバンド目当てで足を運んだライヴハウスで初めて彼らを観た時に、私はステージから目をそらせなくなった。

asayake no atoは、2011年結成の京都発4ピースロック・バンド。今作『追想と未来』で全国流通を果たした。1曲目はシングルのリード曲であり、過去のデモ音源でも何度か収録されている「追想と未来」。ギターの残響音が響いたかと思えば、余韻を感じる前に性急なドラムロールが楽曲の始まりを告げる。タイトルが示す二面性を表現するかのように、叙情的な音が緩急鮮やかにリフレインする。サビでは、神社宏行(Vo, G)の力強くも優しい高音が、掻き鳴らされるメロディとはまるで別次元のものであるかのように響く。

続きを読む

【クロスレビュー】くるり: THE PIER

Pocket

2014年9月17日にビクターエンタテインメント(SPEEDSTAR RECORDS)からリリースされた、くるり『THE PIER』のクロスレビュー(複数人によるディスクレビュー)を掲載します。

続きを読む

ロンリー: 楽しいVoid

Pocket

ロンリー: 楽しいVoid

ロンリー
楽しいVoid
Summer of fan, 2014年

ガリガリ君を仲間の分だけ買って帰る午後、海沿いの町は夕陽に染まって、イヤホンからはクラッシュが流れてくる。ステイ・フリー。パンクの狂騒も今は昔。そういえば、いいともは終わってしまった。ヒップホップ寄りに脱力したOGRE YOU ASSHOLEとでも呼ぼうか、岡山の4人組ロンリーを聴くとそんな情景が目に浮かぶ。

続きを読む

syrup16g: HURT

Pocket

syrup16g: HURT

syrup16g
HURT
DAIZAWA RECORDS, 2014年
BUY: Amazon CD, タワーレコード

正常なのは、五十嵐隆の方だったんだよ。そんな物思いに耽っていた。

実に6年振りの復活となる今作だが、僕の中では2004年の作品『Mouth to Mouse』以降、彼らの時間は止まっていた印象をもっている。それ以降ライヴ活動はあっても作品発表は無く、2008年のラスト・アルバム、武道館公演でバンドは幕を閉じた。

続きを読む

LOSTAGE: Guitar

Pocket

LOSTAGE: Guitar

LOSTAGE
Guitar
THROAT RECORDS, 2014年
BUY: Amazon CD+DVD, タワーレコード, iTunesで見る

疾走感溢れるストレートなパンク・ナンバー「いいこと/離別」で、しかし彼らは自らを年老いた犬に例える。30代も半ばにさしかかり、かつての戦友も一人、また一人姿を消す。音楽不況も叫ばれて久しい。90年代以降のUSオルタナティヴに影響を受けた奈良のロック・バンドLOSTAGEが本作で扱う主要なテーマは喪失だ。2012年より地元でレコード店『THROAT RECORDS』を始めた彼らはそんな状況でも“多分さ いいことあるぜ”と歌い、望むことひとつさえあればいいと続ける。

続きを読む

AZUMI: 夜なし

Pocket

憂歌団、上田正樹とサウス・トゥ・サウスにフジロック限定だが、ソー・バッド・レビューが再始動と、最近関西の重鎮たちが再び動きを見せている。浪速のソウル・ブルースが隆盛の時期は彼らが活動していた70年代だが、その次の世代として80年代に活動を開始し、現在までいぶし銀のブルースをギター一本で鳴らし続けているのがAZUMIだ。71年から現在も続く大阪の名物コンサート「春一番」の70年代の看板がザ・ディラン(Ⅱ)ならば、彼は休止期間を挟んで復活した95年以降の大看板を背負っている。

続きを読む

TheSpringSummer: Pictures

Pocket

TheSpringSummer: Pictures

TheSpringSummer
Pictures
THROAT RECORDS, 2014年
BUY: Amazon CD, タワーレコード

聴き終えた時に、すっと力が抜けていく感覚を覚えた。気付かないうちに、楽曲が描き出す情景に同調して拳を握りしめていたようだ。繊細さと力強さを歌のなかに共存させると、こんなにも込上げる切なさを感じる、それはTheSpringSummerが教えてくれたこと。

続きを読む

ウワノソラ『ウワノソラ』

Pocket

ウワノソラ

ウワノソラ
ウワノソラ
Happiness Records, 2014年
BUY: Amazon CD, タワーレコード, iTunes Music Store

“1980年代のジャパニーズ・ポップスの再来。”

四半世紀を超えて、逸材が現れた。彼らの同世代、tofubeatsやラブリーサマーちゃん、Shiggy Jr.といった、その匂いのする若手注目株は既出している。しかしウワノソラはその「踊れるポップス」のカテゴリーからも(良い意味で)浮いていて、ネット世代と逆走するかのように、もっと純粋にポップスの根底から踏襲しようと始まったバンドではないだろうか。

続きを読む

バイセーシ: 龍

Pocket

バイセーシ: 龍

バイセーシ

SPACE SHOWER MUSIC/チマスト・ディスク, 2014年
BUY: Amazon CD & MP3, タワーレコード, iTunes Music Store

ロックで世界がひっくり返る、なんてことはない。マニック・ストリート・プリーチャーズのリッチー・ジェームスがナイフで腕に「4 REAL」と刻もうが、銀杏BOYZがアルバム製作過程で解体してしまおうが、世間様は知ったことではない。多くのミュージシャンがポスト・パンクのそのまた先の地平を求め傷ついていく。しかし、バイセーシはそういった苦行を拒否し、本能の赴くままに叫び演奏する。抑圧を解放していく。ヴォリュームは最大に、メロディーやリズムも乱調のなかに美学を見出す。

続きを読む

アニメーションズ: THE ANIMATIONS – 2014年リマスター盤 CD & LP

Pocket

アニメーションズ: THE ANIMATIONS - 2014年リマスター盤 CD & LP

アニメーションズ
THE ANIMATIONS リマスター盤
ROSE RECORDS, 2014年
BUY: Amazon CD+LP, タワーレコード, iTunes Music Store

ロックンロールの何たるかを理解していなくても、これさえ聴いていればオールオッケーなんじゃないかとアニメーションズを聴く度に思う。大体、素晴らしい音楽に出会う瞬間は恋に落ちるそれと同じであるが、このバンドにしたってもどこがいいと聞かれても「好きになったからしょうがない」と口をつく。

続きを読む

Special Favorite Music『Explorers』

Pocket

SPECIAL FAVORITE MUSIC: Explorer

SPECIAL FAVORITE MUSIC
Explorer
自主制作, 2014年
BUY: FLAKE RECORDS

関西の若きトリックスターと断言してしまおうこの男、クメユウスケ。同志社大学で結成されたNOKIES! をフロントマンとして率い、SXSW出演・US / EUツアーも経験し、国内外で評価されるインディーロックバンドに。Awesome City Clubのモリシマヒロシとのユニットmorikumeではとびっきりメロウなナンバーを制作しつつ、短編映画「みなと、かこ、げんざい」の音楽も担当。札幌のYOU SAID SOMETHINGのマスタリングや、所属するFLAKE RECORDSの作品を中心にリミックスを手掛けることも多数。この周りを巻き込みながら自身のポップミュージックを複数の角度から表現していくスタイルは、岸田剛(NINGENCLUB, POST MODERN TEAMなど)や、畑は違えどtofubeatsらビートシーンにも通じる、関西の潮流なのか。

続きを読む

みるきーうぇい: ほんとは生きるのとても辛い。

Pocket

みるきーうぇい: ほんとは生きるのとても辛い。

みるきーうぇい
ほんとは生きるのとても辛い。
HOOK UP RECORDS, 2014年
BUY: ライヴ or ウェブ通販

最初は“怖い”とか“メンヘラ”といった類の言葉が脳裏をよぎるかもしれない。しかし、このバンドが掻き鳴らすものはそんな薄っぺらい先入観を切り裂いた先に聴こえてくると私は声を大にして言いたい。伊集院香織(Vo.&Gt.)を筆頭に大阪で結成された3人組バンド、みるきーうぇい。このシングルは津田大介も評するように今の世代の核心を突く問題作だ。伊集院の学校での実体験から生み出されるその生々しい曲たちは彼女の人間性をありのままに映し出している。

続きを読む

ジャングル: Jungle

Pocket

ジャングル: Jungle

Jungle
Jungle
XL Recordings/ホステス, 2014年
BUY: Amazon CD, iTunes Music Store

XL Recordingsが契約したロンドンのユニット、ジャングルの1stアルバム。ビージーズを思わせる甲高いコーラスワーク、マーヴィン・ゲイ生前最後の作品『ミッドナイト・ラブ』に通じる音の重ね方は、70~80年代のディスコ〜ソウルを連想させる。そのディスコサウンドだけでも、本作は十二分に魅力的な作品だ。

続きを読む