カテゴリー : Disc Review

SHISHAMO: 君と夏フェス

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SHISHAMO: 君と夏フェス

SHISHAMO
君と夏フェス
GOOD CREATORS RECORDS, 2014年
BUY: Amazon CD, iTunes Music Store

気づいたらそこにいる。ドラマみたいなストーリーだけど、ちょっぴり期待してしまうし、なんだか自分のことを歌われてるみたいでドキッとする。神奈川県川崎市で結成された、女の子3人組バンドSHISHAMOの歌は宮崎朝子(Vo&Gt)の妄想によってできている。こんなにも誰にでもありそうなことなのに妄想だから誰のものでもない。でも、よくよく考えれば宮崎のものでもないということにハッとする。

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THE ORAL CIGARETTES: 起死回生STORY

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THE ORAL CIGARETTES: 起死回生STORY

THE ORAL CIGARETTES
起死回生STORY
A-Sketch, 2014年
BUY: Amazon CD, iTunes Music Store

彼らの楽曲を初めて聴いたとき、随所に聴こえるキラーメロディーに度肝を抜かれた。そして、こうして一度掴んだ心を離さない一癖ある楽曲展開が更に彼らへの興味を高めていく。

関西の音楽シーンからは彼らと同世代のキュウソネコカミやKANA-BOONらが続々とメジャー進出し、一種の“時代の流れ”のようなものを感じるリスナーも少なくないだろう。そんな中で、山中拓也(Vo&Gt)は、今作の表題作である「起死回生STORY」のなかで、

“「所詮時代はこうだ」なんて威張って笑うvogue riderに応えるつもりはない なんせこれで革命を歌う”

と、自分達の音楽が時代のステレオタイプとして切り取られることを一蹴する言葉を紡ぐ。(ちなみに、vogue riderとは流行に乗る人の意)周囲の様々な評価に対して宣戦布告をするかのような力強い意志が見える。

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金 佑龍: ナイトクルージング

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金 佑龍: ナイトクルージング

金 佑龍
ナイトクルージング
Flake Sounds, 2014年
BUY: FLAKE RECORDS, Amazon CD

カットマン・ブーチェを解散後、精力的に活動を続けている金 佑龍(キム ウリョン)が12インチ・アナログ(同内容のCD付き)でミニアルバム『ナイトクルージング』をリリースした。既出曲を含むが、注目すべきは彼のライヴで定番のナンバーであり、タイトルにもなったフィッシュマンズのカヴァー「ナイトクルージング」である。

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Nothing More: Nothing More

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Nothing More: Nothing More

Nothing More
Nothing More
Eleven Seven Music, 2014年(輸入盤)
BUY: Amazon CD, iTunes Music Store

試聴機で聴いて買うと(知らないバンドならば特に)正直失敗もある。しかし偶然の出会いこそ店で音楽を探す醍醐味だし、お気に入りに出会えた喜びも大きいもの。

米・サンアントニオの4人組、Nothing Moreのセルフタイトル作は、神秘的なプログラミングから苛烈なドラミングへつながる「Ocean Floor」~「This Is The Time[Ballast]」で幕を開ける。自己紹介には十分なインパクトと高いテンションでグッと掴まれてしまった。ジャンルをあてるならばプログレ風味のモダンヘヴィネスか。ぐいぐい引っ張るリズム隊や、空間的にも攻撃的にも働くギターも良いのだが、特筆すべきは情感溢れるJonny Hawkins(Vo)の歌唱力。「If I Were」など中盤以降のミディアムバラードはマイルス・ケネディを思い出すような、そんなスケールの大きさだ。もう涙腺を刺激するエモーショナルさで迫ってくる。アルバムとしても1・6曲目とラストにインストに近い曲を配し、纏まりと奥行きが感じられる。波の音で始まり燃える木の音で終わる最終曲「Pyre」は一気に聴き通した後に不思議な余韻を残してくれる。

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MILK: MY E.P

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MILK: MY E.P

MILK
MY E.P
Summer of Fun, 2014年
BUY: タワーレコード, disk union, 販売店リスト

名古屋のインディー・ハードコアパンク・バンドMILKが延期に延期を重ね、初の7インチレコードをぬるっとリリース!

10年代以降、地元の音楽シーンを支えていくであろう、名古屋発のレーベル「Summer Of Fun」からぱかっと発表!

1曲がせいぜい1分弱の全8曲10分にも満たない、7インチ45回転でぎゅっとパッキング!

レコード盤面のイラストは、ジョセフ・アルカ・ポルカのてんしんくんがゆるっと作画!

Peace Musicの中村宗一郎がさくっとマスタリング!

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アパート: 写生帖

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アパート: 写生帖

アパート
写生帖
自主制作, 2014年
BUY: ライヴ会場, 100000tアローントコ

戦後すぐ、当時の俳句について、とんでもない批判がなされた。素人とプロの俳句を数作、無記名で並べたところ、どれがプロの句か判別できなかった。そのような事態が起こるのは、現代俳句が未完成な芸術だからであり、真の芸術とは区分して“第二芸術”と呼ぶべきだ。仏文学者の桑原武夫『第二芸術論』である。

私はポップミュージックも第二芸術だと思う。未完成と言えば聞こえが悪いが、見方を変えれば、無名の素人が大家に比肩できるほど、その芸術分野には未知の可能性があるとも捉えられる。原田和樹ことアパートの『写生帖』を聴いて、この自論は確固たるものに変わった。

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坂本慎太郎: ナマで踊ろう

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坂本慎太郎: ナマで踊ろう

坂本慎太郎
ナマで踊ろう
zelone records, 2014年
BUY: Amazon CD, iTunes

不安や怒りをつぶやくと同時にそれを許し包み込むようなAOR/ファンク・サウンド。穏やかなムード歌謡のようで、ときに激しいメタルより刺さる。音楽の持ちうる幾つかのカタルシスを矛盾なく止揚することに成功している。ドラム、ベースとのトリオ編成で坂本はスティール・ギター、バンジョー等を操る。ハワイアン、ラテン風の享楽的な調べに、虫声や醒めた歌い回しが加わり、ダークで厭世的な響きすら漂う。

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white white sisters: SOMETHING WONDROUS

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white white sisters: SOMETHING WONDROUS

white white sisters
SOMETHING WONDROUS
micro kingdom, 2014年
BUY: Amazon CD+DVD, iTunes

シェイクスピア悲劇のヒロインから名をとった「Ophelia」、すぐ騙されるカモを意味する「Instant Dupe」と曲名からして悲観的なイメージが漂う。一方で打ち込み重視から歌モノ回帰して新たな肉体性が宿っている。リード曲「Never Ever Land」やシングル・カットされた「Superneutral」にそれは顕著。名古屋発のエレクトロ・ユニットwhite white sistersは新機軸を打ち出している。しかし基本構造は変わりない。ギター/ヴォーカル/プログラミングの松村勇弥が生み出す電子音が飛び交い、田嶋紘大の創るVJがそれを相互補完、加えて平沼喜多郎(ex. caroline rocks)が叩くドラムが激しく彩る。

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遠藤賢司: 恋の歌

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遠藤賢司: 恋の歌

遠藤賢司
恋の歌
disk union / 富士レーベル, 2014年
BUY: Amazon CD

2007年に還暦を迎えたが、その勢いはとどまるところを知らない天下御免の純音楽家、遠藤賢司。デビュー45周年の節目としてキャリア初、全編弾き語りにて作られたこの『恋の歌』は今まで以上に若々しく、エネルギッシュで誰もが新鮮な驚きと感動を得られる作品である。

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コールドプレイ: ゴースト・ストーリーズ

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コールドプレイ: ゴースト・ストーリーズ

Coldplay
Ghost Stories
Parlophone/ワーナーミュージック・ジャパン, 2014年
BUY: Amazon CD & MP3, iTunes

「Always In My Head」で弾かれているギターのアルペジオや「Ink」でのアコースティックギターの使い方、「O」で魅せる寂しげなピアノの旋律など、彼ららしい音の断片が至る所に顔を覗かせる。しかし、ここで鳴らされているサウンドは、前2作までの彼らとは似て非なるものだ。その根幹となっているのがドラムだ。本作では時に電子ドラムを用い、ミニマルなものへ変化している。彼らは意識的にダイナミズムを削りつつも、「Magic」など全体の音のバランスとして、これまでに無い程ドラムを強調することで、メリハリのあるサウンドを獲得した。それは、本作のプロデューサーであるポール・エプワースが手がけてきた音像を想起させる。その脳裏に焼きつく乾いたペタペタと鳴るドラムを軸に、ギターやシンセで彩りを加えていく。その様は夜空に浮かび上がる星のようである。

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カンガルーポー: ※※※ (こめみっつ)

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カンガルーポー: ※※※ (こめみっつ)

カンガルーポー
※※※ (こめみっつ)
自主制作, 2014年
BUY: ライブ会場限定販売(2014.06.01〜)

快楽的なメロディーを派手に鳴らすことだけがロックの醍醐味ではない。音の隙間やズレにこそ最も豊かな音楽がある。ギター/ヴォーカルにキーボードとドラム、神戸の女性スリー・ピース、カンガルーポーは、ニュー・オーダーのようなサウンドを意図して、結果、ジョイ・ディヴィジョンになってしまったかのようだ。

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キュウソネコカミ: チェンジ ザ ワールド

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キュウソネコカミ: チェンジ ザ ワールド

キュウソネコカミ
チェンジ ザ ワールド
ビクターエンタテインメント, 2014年
BUY: Amazon CD, iTunes

どんな反応をするのが正しいのだろう。清々しいまでに堂々と「ウィーアーインディーズバンド!!」と宣言し、インディーズ感丸出しに日常の愚痴や批判、言葉にすることさえ憚られるようなことまで、全部ひっくるめて負という負を歌ってきたキュウソネコカミ。思わず笑ってしまうその人間臭さがたまらない彼らのメジャーデビューに私は戸惑った。しかし、聴こえてきた第一声に安心した。メジャーとかそんなのどうでもいい。キュウソはキュウソだ!

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ハンバートハンバート: むかしぼくはみじめだった

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ハンバートハンバート: むかしぼくはみじめだった

ハンバートハンバート
むかしぼくはみじめだった
ユニバーサルミュージック, 2014年
BUY: Amazon CD, iTunes

彼ら4年ぶりのフルアルバム。その間COOL WISE MANとのコラボ盤発売、NHK子供番組への楽曲提供、佐野遊穂の産休&出産といった刺激を受け、ライブで鍛え上げられた12曲は、喜怒哀楽の先にある人間の本質を奏で始める。浮気をした男の末路「ぶらんぶらん」、得を追い求めて損を被る「ホンマツテントウ虫」、地獄に送られる「くもの糸」…毒はあるがアイロニカルではない。具体的なメッセージ性を野暮と切り捨てるかの如く、粋な余韻を残す。不合理でも思わずやってしまう人間の行動を“業”というが、そんな人間の業にこそ文化が生まれる、と肯定するような描写である。

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SZA: Z

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SZA: Z

SZA
Z
Top Dawg Entertainment, 2014年
BUY: Amazon MP3, iTunes

いまヒップホップシーン最大のアイコンとも言われるケンドリック・ラマー擁するTop Dawg Entertaiment。快進撃を続けるレーベルが初めて契約した女性アクトでありシンガーがSZAだ。米メディアComplexが今年の注目新人に選出するなど、その注目度は高い。そんな彼女が磐石の後ろ盾を得て発表した1stアルバムが本作だ。

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THE LOST CLUB: Rain e.p.

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THE LOST CLUB: Rain e.p.

THE LOST CLUB
Rain e.p.
自主制作, 2014年
BUY: discography – THE LOST CLUB

インディー・ポップには失われた過去への郷愁が込められている。ザ・スミスのコンピレーションを聴いていてシーラ・ブラックのカヴァーにぐっときた。モリッシーはガール・ポップを好んでカヴァーする。97年発表のソロ作『MALADJUSTED』を聴くとご時世か、ブリット・ポップ、シューゲイザーを意識したかのような音像にむしろ2014年の今こそ1周回ってOK感が漂う。長野で知り合ったメンバー中心に東京で結成されたバンドTHE LOST CLUBは、そういった音楽的背景を濃厚に感じさせる。

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