OL兼業ライターのひとりロクサミ(仮)Vol.6

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本稿は、今年のKANSAI ROCK SUMMIT(通称ロクサミ)が新型コロナウイルスの影響で中止になったことを受け、出演予定だった81組のヴィジュアル系(以下V系)バンドを紹介しようと企画した短期集中連載です。

 

V系シーンでよく耳にするサウンドに、メタルやハードコアなどのヘヴィロックがある。そもそも、V系の総大将的存在であるX JAPANの代表曲の多くは、スラッシュメタルとクラシックをかけ合わせたものだ。速く激しく、そして極めて美しく。YOSHIKIが作るX JAPANの代表曲の数々にはそういう美学がある。(一方、HIDEはまた別のアプローチをしており、それが、V系というジャンルの成り立ちに大きく関わっているが ここではメタルの部分にフォーカスしたい。)X JAPANがメタルなのだから、それがV系の主流になるのは当然と思われるかもしれないが、X JAPAN直後の、いわゆるV系を世に広めた、LUNA SEAやGLAY、黒夢らは、メタルとは距離を置いた音楽性だった。

さて、そんなV系シーンで、ふたたびメタルに接近し、以後のシーンの主流をヘヴィロックに塗り替えたのが、DIR EN GREYである。

YOSHIKIプロデュースでメジャー・デビューしたDIR EN GREYは、2003年発表のアルバム『VULGAR』から、メタルやハードコア、スクリーモを取り込んで、ヘヴィな音楽性に舵を切り、とにかく低く、重くという価値観をV系シーンに持ち込んだ。リフを主体に空間を構築するような音作り、そして、自らを痛めつけるような、まさに身を削るボーカルスタイル。暴力的なまでの激しさと、胸をかきむしりたくなるほどに切ないメロディが同居するサウンドは、以降のV系シーンにおいて、ひとつのひな形となり、多様化が進んだ現在においても、V系は、激しくてなんぼという価値観はいまだに根強くあるように思う。

近年は、NOCTURNAL BLOODLUST(以下ノクブラ)やDEVILOOFといった、本格的なメタルコア、デスコアバンドも登場し、彼らは国内のメタルシーンだけでなく、海外を股にかけた活動もしているし、ヒップホップを取り入れたり、ラウドシーンに接近したりと、ミクスチャーな感性を持つバンドも多く、ひとくくりにメタル、ヘヴィロックとはいえ、その内実は大変バラエティに富んでいるのだ。というわけで、今回は、そのようなバンドについて紹介したい。

 

DEXCORE

2016年に始動。2020年7月に新メンバー伶司 -reizi-(Dr)が加入し4人体制となった。バンド名に“コア”と入っているとおり、デスコア、メタルコア、エクストリームを武器とするバンド。ノクブラやDEVILOOFのように、V系の外のシーンを横断し、海外も股にかけた活動をしていくのだろう。

DOBE

2018年始動の4人組。この曲は、ザクザク刻む低いリフに打ち込みのエレクトロ二コアなサウンドだが、サビでは極めてメロディアスに展開するところが、たいへんV系らしい。異国情緒を感じさせるギターソロが、怪しげな雰囲気を醸し出しているのも聴きどころ。

NAZARE

元DIMLIMのドラマー壱世を中心に2018年に結成された4人組バンド。重厚なサウンドで埋め尽くすというよりは、休符をきかせて、間をつくる。その構築はDIR EN GREYを彷彿とさせる美意識。今後がとても楽しみだったが、先日、2021年1月11日のライブをもって解散することが発表になった。

ワルアガキ

2019年に始動した5人組。派手な打ち込みにラウドな楽器隊と分かりやすいメロディの歌、更に中盤では、かなりドスの効いたデスボも登場し、軽やかなツーステップも聴こえてくる。ZONらと同じく、UVERworldやSiMなどのラウド系ミクスチャーシーンとの接近が感じられるのがいい。

CHOKE

2017年結成。今、V系シーンで最もスリリングな3人組だろう。彼らの曲は、なんと、ラップメタル。ブラックミュージックや、こういったストリートカルチャーの感性は、ひと昔前のV系には遠いものだったが、J-POPのメインストリームでKing gnuやOfficial 髭男 dismら、ブラックミュージックを経由したバンドの活躍が目立つ今、V系にも、これまでにあまりなかったタイプの感性を持つバンドが出現しているのは大変頼もしい。

ミスイ

2019年結成の5人組。楽器隊の演奏技術が高く、特に、ギターのフレーズがとても多彩。同期の音に頼るのではなく、あくまで5人の力量で曲を構築し表現させようという心意気を感じる。ツインギターのソロもあり、コピーしたくなる、キッズの心をくすぐる1曲。

ビス

2020年1月にプレ始動し、4月に1stシングルをリリースしたばかりの4人組。不気味で怪しい雰囲気だが、オーディエンスがどのようなノリを求めているのかをよく心得た、バンギャの心をつかむフックがたくさん仕掛けられている1曲。



2018年始動の現在4人組。彼らもミクスチャーな感覚を持つバンドで、この曲は8ビートのシャッフルを、ヴォーカルのTAICHIがヒップホップっぽいノリで歌うところがとてもユニーク。

XANVALA

2020年1月に始動した5人組。バンド名は“ザンバラ”と読む。ヘドバンで乱れる様は美しいというコンセプトがあるそうで、この曲も、冒頭は4つ打ち、その後ツーバスになるが一定のリズムパターンを叩き続けるドラムと、リズミカルなスラップ奏法のベースは、ヘヴィではあるが、ヘドバンしやすいテンポ、リズムに計算され尽くされているように感じる。これはフロアでヘドバンが炸裂するだろう。

LANTANA

2015年始動の4人組。楽器隊はかなりヘヴィなサウンドだが、歌は、シャウトこそあれ、サビはシンコペーションでとにかくキャッチーなメロディ。この展開は、V系のポイントを押さえまくっているという印象。かつての関西を代表するバンド、Sadieを思い起こした。

DARRELL

2015年にDEATHGAZEのヴォーカリスト藍のソロプロジェクトとして活動していたメンバーを中心とし、2017年にバンドとして本格始動。現在は3ピースである。BPM300は超えているであろう、駆け抜けるよう高速ツーバスに刻みまくりのギター、炸裂するシャウト、そして美しいメロディを流れるように歌唱するという、lynch.やDEATHEGAZEの十八番と言える1曲であり、歌も演奏もすべてが高水準だからこそプレイできる曲でもある。

 

◆小川あかね
セーラームーン&SPEED世代。ヴィジュアル系村の住人。ガンダムはシャア派。モビルスーツはシナンジュ。好きなタイプは空条承太郎。声優沼に腰くらいまで浸かってます。
akane.o1218*gmail.com (*=@)
Twitter:@akam00n

 


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