OL兼業ライターのひとりロクサミ(仮)Vol. 1

Column
Pocket

KANSAI ROCK SUMMIT EXPLOSION CIRCUIT、通称“ロクサミ”は、主にインディーズで活動するヴィジュアル系(以下V系)バンドたちのサーキットイベントだ。京都のV系レーベルCROW MUSICの主宰で、2014年から毎年5月に、大阪心斎橋アメリカ村の複数のライブハウスを利用し、開催されている。

関西のV系シーンには、活気がある。それは、ロクサミがあるからだと思えるほどに、このイベントの存在は大きい。

もちろん、他にもイベントやフェスはあるが、ロクサミは少々特別だ。結成間もないニューフェイスや、今まさに勢いのある気鋭バンド、更には、すでにキャリアのあるミュージシャンが新たに始めたプロジェクトなどが出演するサーキットイベントだから、観に行く側は、タイムテーブルを確認し、誰を観るかをチョイスし、会場を移動して、目的を果たさなければならない。このイベントを最大限に楽しむには、観る側が能動的に動かなければならないのだ。だから、ロクサミには、新しいバンドとの出会いを求めたり、推しているバンドの成長を見守りたいなど、V系シーンそのものに愛着と関心のあるファンが多く集まる。V系インディーズのショーケースライブとして、しっかり機能しているのだ。

となると、やはりバンド側も、ロクサミにはかなり力が入るだろう。実際に、私は過去のロクサミで、「ここに出ることをひとつの目標にしていた」とか、「去年より大きい会場でできた」などの、ロクサミをひとつの指針にしているという旨の発言を、何度も耳にしてきた。
もはや、関西のみならず、V系シーンにとってロクサミは、「今年は誰がくる?」「今なにがおもしろい?」をはかる、一大イベントなのだ。

 

さて、そのロクサミだが、本年は、5月10日(日)に開催することが予告され、81組のV系バンドが心斎橋アメリカ村に集う予定だった。しかしながら、新型コロナウィルスの影響で、本年は中止が決まった。

先述のとおり、ロクサミは出演者にとっても、V系ファンにとっても特別だ。中止は仕方がないが、私は今年のロクサミも楽しみたい!ということで、ロクサミ出演者をひたすら紹介する連載をしようと考えた。
実際の会場だと、出演者すべて観るのは不可能なので、例年であれば、事前に観る出演者を決めて臨み、さらにその中から数組を厳選してレポートなり、レビューを書いてきたのだが、せっかくなので、今回は、全81組の出演者を紹介したい。

ちなみに、ロクサミについては、これまでも何度か記事にしているので、是非、関連記事もご覧いただきたい。

【関西ヴィジュアル系シーンを読む 】第5回KANSAI ROCK SUMMIT’19に見る、関西V系シーンの今

【関西ヴィジュアル系シーンを読む】第3回 KANSAI ROCK SUMMIT’17 EXPLOSION CIRCUIT

【コラム】2016年 関西のヴィジュアル系シーンを紐解く

2016年関西のヴィジュアル系シーンを紐解く | 〈KANSAI ROCK SUMMIT 2016〉でのTHE BLACK SWANとグリーヴァについて

それでは前置きは以上にして、さっそく始めます!OL兼業ライターのひとりロクサミ!

 

まずは、ロクサミのオーガナイザーである京都の老舗V系レーベルCROW MUSICに所属する4バンドから。

 

アルケミ

2015年に始動。仏教、宗教、和、というコンセプトが、ひと目見ただけですぐに分かるバンド。和×V系はいつの時代も需要があるが、アルケミは和にホラーが掛け合わさっている点がユニーク。見た目のおどろおどろしさに、鬼気迫るツーバスと低いリフが絶妙にマッチしている。

JE:NOVA

イントロのあと、いきなり分かりやすいサビがきたり、そのサビの旋律をギターが奏でるちょっとベタな展開の曲を、ものすごく久しぶりに聴いた気がする。歌を活かしつつも、楽器隊もそれぞれに主張があるこの「Acid Blue」を聴いて、私はLUNA SEAの「TRUE BLUE」を思い起こした。JE:NOVAは、2019年に結成されたバンドだが、鳴(Vo)や紫苑(Dr)は、10年以上のキャリアがある人たちだ。このバンドで、自分たちがキッズの頃死ぬほど憧れたヴィジュアルロックをやろうという決意と覚悟を感じる。

GzNDLH

2018年に結成した新しいバンドだが、このロクサミでの解散が発表されていた。エレクトロを取り入れたり、影響を受けたと話す、ジャンヌダルクのような覚えやすいメロディーの歌ものだったりと、発表されたのは数曲だが、いろんな表情をもった粒揃いの楽曲だった。

 

アダビトヲコガラヌ
2019年12月に始動を発表し、この3月の主催ライブで本格的に活動を開始したバンドで、現時点ではまだ情報がほとんどない。CROW MUSICは、次々に新しいバンドを輩出する、新陳代謝が活発なレーベルだ。近年こそ、イベントオーガナイザーとしての役割を担っているが、V系という専門分野に特化したいちインディーレーベルが、1997年から20年以上もの間続いているのは、新しいバンドを見つけたり生み出すことがうまいからだろうと思う。

Leetspeak monsters

ここからはCROW MUSIC所属ではないバンドを紹介する。Leetspeak monstersは、ヴィジュアルを見れば察しがつくだろうが、ハロウィンやダークファンタジーをテーマとし、「墓場の街グレイヴタウン出身のモンスター4人組」という設定まである、まるでV系界のMAN WITH A MISSION。おもしろいのが、V系にはめずらしくラップが入っているところだ。もはや普通にJ-POPとして受け入れられるであろうほど、洗練されてもいる。また、昨年には、アニソン界や声優ファンの間でも注目を集める、声優が演じるキャラクターが、ラップでバトルするプロジェクト、ヒプノシスマイク(ヒプマイ)に楽曲提供したことでも話題になった。シーンの中でも、最も特異な活動をしているバンドだ。このまま独自路線を突き進んでほしい。

 

怪人十二面奏

元ドレミ團のマコト(Vo)と、KEN(G)による、大正ロマンを感じさせるユニット。この二人は、関西V系の重鎮と言って差し支えないだろう。彼らのような、2000年代から長くV系シーンで活動し、一定の評価と知名度を得たアーティストを観ることができるのも、ロクサミの醍醐味だ。
また、怪人二十面奏にせよ、JE:NOVAにせよ、以前のバンドからの熱心なファンも、会場に訪れており、ロクサミは客層もさまざまだ。それが、より一層、このイベントを特別感のあるものにしていると思う。

 

SHIVA

2015年結成のSHIVAは、関西を中心に活動していたが、2018年に拠点を東京に移した。もともと関西のバンドということで、ロクサミにも常連の1組だ。数度のメンバーチェンジを経ているが、サウンドはヘヴィで、グロウルやシャウトを多用するスタイルも初期からずっと変わっていない。迫力のある演奏に引けをとらない声量と、艶のある歌声は、このバンドの持ち味だ。

 

ここからは少し余談だが、アルケミやSHIVAがモチーフにする、“信仰”や“揺るぎない忠誠心”というのは、V系には90年代からずっと、アーティストとファンの間にはある。何せ、LUNA SEAのファンクラブの名称は「SLAVE」なのだから。
それが、2010年代後半、V系が国内のロックフェスに出演するようになって以降、ファン側が、教祖と信者のような関係を強調する振る舞いをするようになり、より明るみに出たように思う。例えば、サマーソニックでガゼットのファンが一斉に気合の入ったヘドバンをかましたり、氣志團万博で、シドのファンが、マオ(Vo)が甘いセリフを叫ぶたびに、「キャー」と黄色い声を上げて咲いたりして、ファンが熱狂する様子は、そこでパフォーマンスするバンドの演出の一部のように機能し、V系に馴染みのないお客さんを驚かせる。そして、それは、「簡単には立ち入れない間柄」に見え、バンドとファンの固い絆を感じさせる。アーティストとファンとの結びつきの深さは、V系のひとつの特徴だろう。

以上、連載第1回目はこのあたりで閉じたい。このあともゆる~く、ひとりロクサミ、続けます。

 

◆小川あかね

セーラームーン&SPEED世代。ヴィジュアル系村の住人。ガンダムはシャア派。モビルスーツはシナンジュ。好きなタイプは空条承太郎。声優沼に腰くらいまで浸かってます。

akane.o1218*gmail.com  (*=@)

Twitter:@akam00n

 

Column
OL兼業ライターのひとりロクサミ(仮)Vol.6

本稿は、今年のKANSAI ROCK SUMMIT(通称ロクサミ)が新型コロナウイルスの影響で中止に …

Column
OL兼業ライターのひとりロクサミ(仮)Vol.5

本稿は、今年のKANSAI ROCK SUMMIT(通称ロクサミ)が新型コロナウイルスの影響で中止に …

Column
OL兼業ライターのひとりロクサミ(仮)Vol.4

本稿は、今年のKANSAI ROCK SUMMIT(通称ロクサミ)が新型コロナウイルスの影響で中止に …