【関西ヴィジュアル系シーンを読む】第3回 KANSAI ROCK SUMMIT’17 EXPLOSION CIRCUIT

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KANSAI ROCK SUMMIT’17 EXPLOSION CIRCUIT

KANSAI ROCK SUMMIT’17 EXPLOSION CIRCUIT

コラム【関西ヴィジュアル系シーンを読む】の第3回は、前回までのバンド紹介から少し趣向を変えて、5月21日に開催された〈KANSAI ROCK SUMMIT’17 EXPLOSION CIRCUIT〉のレポートをお届けします。

この〈KANSAI ROCK SUMMIT EXPLOSION CIRCUIT〉は、昨年も当サイトでレポートを掲載いたしましたが、改めてどのようなイベントかを説明します。

通称“ロクサミ”で親しまれているこのイベントは、関西をはじめ、全国各地の、主にインディーズで活動しているヴィジュアル系(以下V系)バンドが出演する大型のサーキットイベントです。京都に拠点を置くV系レーベル〈CROW MUSIC〉が主催しており、2014年に第1回が開催されて以降、毎年5月に大阪心斎橋のライヴハウス数箇所で催され、今年はOSAKA MUSE、club JANUS、DROP、FANJ twice、CLAPPER、SUNHALLとSUNHALL B2特設会場の7会場で行われました。年々動員を伸ばし(CROW MUSIC代表@TATSUYAofficialのツイートを参照)、認知度も上がってきている関西屈指のV系に特化したショーケースイベントです。

世代間のクロスオーバー

さて、今年のロクサミで特筆すべきこととしては、出演者、客層、双方の年齢層の広さが挙げられます。というのも、昨年の2016年は、2010年以降に結成した若手バンドが主で、客層も比較的若い印象を受けました。対して、今年は、再結成したchariotsや、DEATHGAZEのボーカル 藍のソロプロジェクト、他にも、活動休止中のドレミ團のマコト(Vo)、同じく活動休止中の人格ラヂオの那オキ(B)、メトロノームの福助。(G)、The Benjaminのミネムラアキノリ(G)、Psycho le CémuのYURAサマ(Dr)で結成されたバンド、THE BEETHOVENなど、90年代後半または、2000年代前半から活動しているキャリアのあるメンバーで構成されたバンドも出演しており、決して若手主導というわけではありませんでした。

そして、客層も10代や20代だけでなく、30代以上と思しきオーディエンスの姿もたくさん見かけましたし、男性の姿も外国人の姿も多く見かけました。年々動員数を増やしていることもあり、過去のロクサミを振り返っても、今年は年齢、性別、人種問わず、かなり幅広い客層という印象です。さまざまな世代のバンドが出演することで、若いファンがキャリアのあるバンドを観るきっかけになったり、またその逆もしかりで、新たな出会いや発見の場としても、今年のロクサミは機能していたように思います。

かく言う私も、chariotsを観た際には、初めてchariotsを観るオーディエンスもかなりいたであろう環境でも、普段通りの自分たちのステージを魅せるだけという、揺るぎない自信がパフォーマンスから見て取れ、更に、その余裕のある姿勢が風格を生んでおり、キャリアのあるバンドならではの頼もしさを感じました。

club JANUSを超満員にしたPurple Stone

そんな中、今年のロクサミで最も印象に残ったアクトが、Purple Stoneです。彼らは2013年から活動している3ピースバンドで、ロクサミには初年度から出演しており、年々大きな会場へとステップアップしているバンドでもあります。今年はついに、ロクサミで使用される会場の中では、2番目に大きなキャパシティであるclub JANUSへの出演を果たし、しかも、彼らの出演時、club JANUSのフロアは超満員になり、フロアの扉を開け放して、エントランスロビーまで人で埋め尽くされていました。そして、更に驚いたのは、フロアを埋め尽くしたオーディエンスのほとんどが、サイリウムを手に、曲の振り付けを完璧にマスターして踊っていることです。さすがにこれほどの光景を目の当たりにすると、Purple Stone目当てではなかったオーディエンスたちも、エントランスロビーの後方から「なになに?」とその様子を伺い、ついには、食い入るようにステージと、踊りまくるフロアを見つめていました。

Purple Stoneの曲は、ダイナミックなハードロックと、ダンスミュージックを掛け合わせており、メロディックでノリやすいという特性があります。それでいて、振り付けもあるとなると、初見のオーディエンスも親しみやすいでしょう。加えて、曲名も「歌舞伎町バタフライ」、「パニックパニック!」「ポイズンチョコレート」という、キャッチーどころか、思わずツッコミたくなるようなタイトルで、ここにも初めて観る人の気を引きつける仕掛けが施されていることに気が付きます。そうして、持ち時間が終わる頃には、会場にいるほとんどのオーディエンスを自分たちの世界へ巻き込んでしまっている状態。それこそ、幅広い年代の男性も女性も、外国人のオーディエンスも、Purple Stoneに釘付けでした。

Purple Stone『赤と青 (Type-A)』

Purple Stone
赤と青 (Type-A)
CRIMZON, 2017年
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関西で活動するV系バンドの目標としてのロクサミ

最後に、今回のロクサミで、とても心に残ったMCを紹介します。それは、OSAKA MUSEに登場したAxkeyの優稀(Vo)が語った次のような言葉です。

「去年は出られなくて悔しい思いをしたけれど、今年は出演できたうえに、大きい会場に出られて光栄」

と。この言葉が表しているのは、ロクサミは今や、関西で活動するV系バンドの目標のひとつとなっているということです。しかも、主催しているCROW MUSICは、ロクサミの他にも、新人ばかりを取り上げたイベントや、毎年大晦日はKYOTO MUSEでカウントダウンイベントを開催していたり、今年の8月30日から9月3日は、5日間連続でKYOTO MUSEにて〈KYOTO ROCK SUMMIT’17〉を開催したりと、自社レーベル以外の新しいバンドや若いバンドを取り上げることにもとても積極的です。見てくれる人がいる、具体的に目指す舞台があるというのは、関西のバンドマンにとって、大きなモチベーションになっていることでしょうし、関西で新しいV系バンドがどんどん生まれる要因のひとつでもあるはずです。間違いなく、ロクサミは、現在の関西V系シーンに活気をもたらしているイベントです。

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