【コラム】2016年 関西のヴィジュアル系シーンを紐解く

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【Part2】関西ヴィジュアル系シーンの今

ここからはいよいよ、現在の関西V系シーンについて紹介していきます。

シーンの中心人物、FEST VAINQUEUR

若手主導で盛り上がりを見せている近年の関西V系シーン。今、その中心にいるのが、 FEST VAINQUEUR(フェストヴァンクール)です。2010年に結成された5人組で、彼らについては昨年の2月にリリースされたシングル「ペルソナ傷女」のレヴューに寄せましたが、昨年はその後の活躍もめざましく、9月にリリースした結成5周年記念シングル「GLORIA~栄光のキズナ~」はオリコンウィークリーCDランキング8位を獲得。ライヴの動員も梅田クラブクアトロやBIG CATでワンマンライヴができるほどで、関西だけでなく全国規模で人気を獲得しています。そんな彼らの特徴は、なんと言っても、関西の地域性を打ち出した活動方法です。そのこだわりは、楽曲にも表れていて、「NANIWA SAMBA」、「NANIWAリスペクト」など、定期的に“NANIWA”を冠した作品を発表しています。

NANIWAリスペクト~Yah man!俺たちラガマフィン~

しかも、これだけユーモラスで愛嬌のある曲を発表しながらも、V系然としたクールさも持ち合わせているのが彼らのおもしろいところです。昨年5月にリリースされた2ndフルアルバム『シャンバラ』では、メタル、ハードコア、レゲエ、エレクトロ、アコースティック編成も取り入れながらも、親しみやすいメロディをのせることで、V系初心者でも聴きやすく、グッと間口を広げるということをさらりとやってのけています。また、関西で活動するV系バンドが、レーベルや事務所を超えて、「関西からV系を盛り上げよう」という理念のもと結成された「NANIWA V系連合軍」の発起人でもあり、昨年はバンド主催のフェス、〈FEST FES 2015〉を開催するなど、まさに現在の関西シーンの立役者です。

FEST VAINQUEUR『ベストばんくーる初回盤』

FEST VAINQUEUR
ベストばんくーる[初回盤 A-TYPE]
PLUG RECORDS west, 2016年
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関西の熱気を感じさせるコンピレーション・アルバム『妖幻鏡-WEST-』

2014年6月、関西V系バンドを集めたコンピレーション・アルバム『妖幻鏡-WEST-Conquest of NANIWA』が発売されました。このコンピレーションは、姫路出身のV系バンド、Psycho le Cemu(サイコルシェイム)などが在籍した、東京のインディーズレーベル「PLUG RECORDS」が、2000年代前半から、その時々の注目株のインディバンドを集めてリリースしていた『妖幻鏡』シリーズの関西版で、2014年に「PLUG RECORDS west」として関西に進出したことを機に『妖幻鏡-WEST-』第1弾がリリースされ、2015年7月には第2弾が、『妖幻鏡-WEST-Vol.2~大阪・名古屋連合~』と銘打ちリリースされました。

妖幻鏡-WEST- The Conquest of NANIWA

Various Artists: 凛、BIOSPHIA、RevleZ、ジン、the Raid.、たとえばこんなはなし、マイナス人生オーケストラ、Crimson Shiva、LUCHe.、Royz、FEST VAINQUEUR
妖幻鏡-WEST- The Conquest of NANIWA
PLUG RECORDS, 2014年
BUY: Amazon CD, タワーレコード

本作を聴くと、現在関西のV系バンドたちが、しのぎを削りながらそれぞれに刺激しあって活動している様子がうかがえます。音楽性もメタル、ハードロック、シンフォニックメタル、エレクトロニック、パンク、など多岐に渡っており、それぞれのバンドが従来のV系的な様式美音楽に、なにかひとひねり自分たちの個性を加えることでオンリーワンになろうとする気概をひしひしと感じます。

例えばSHIVAは、2015年までcrimson shiva(クリムゾンシヴァ)として活動していたバンドで、『妖幻鏡-WEST-』第1弾のに「6月の雨降る夜。」で参加しています。2015年、ドラムの亜輝-aki-の脱退と、新ドラムRUKAの加入を機にSHIVAとバンド名を改めて活動を再開。ヴォーカルTOKIYAの低く声量のある歌が持ち味で、その声を活かしたシャウトや、グロウルが炸裂する激しく気迫のあるサウンドと、サビでの美しい旋律との対比が魅力のバンドです。

また、彼らの場合は事務所やレーベルに所属せずに、完全に自主で活動を続けているバンドでもあります。

SHIVA 1st Single「VARUNA

京都のバンド、パノラマ虚構ゼノンは第2弾に参加しており、参加楽曲の「PLANETARIA-Re:master Ver.-」は、とにかくすべての楽器がアグレッシブに暴れまくり、そこへ華やかなシンセやスクラッチ音などを融合させて、更にダンスビートも取り入れて踊れるサウンドになっており、このコンピレーションの中でも特に異彩を放っています。活動開始は2009年頃で、2011年にギターのカイトが逝去しており、その困難を乗り越えて活動を続け、2015年には梅田AKASO、大阪BIG CATでのワンマンも成功させました。

パノラマ虚構ゼノン「PLANETARIA」2013年8月28日 at OSAKA MUSE ワンマンライヴ

(先日、パノラマ虚構ゼノンは、5月31日のOSAKA MUSEでのワンマン・ライヴをもって解散することを発表。非常に残念です)

パノラマ虚構ゼノン『XENON BEST SELECTION』

パノラマ虚構ゼノン
XENON BEST SELECTION
XENON, 2016年
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シーン活性化の仕掛け人、京都の老舗レーベルCROW MUSIC

そして、現在の関西のV系シーン活性において、大きな役割を果たしているレーベルがあります。1997年に設立された京都のV系レーベル「CROW MUSIC」です。HOLYCLOCK、REVINE、ARCHEMI.、更に、今年に入って新バンドDIEALOも始動し、コンスタントに新しいバンドを輩出しているレーベルですが、それに加えて注目したいのが、主催イベントの多さです。しかも、レーベル所属バンドを中心としたイベントだけでなく、全国のV系バンドを関西に集めるオーガナイザーとしての側面も目立っています。冒頭で紹介した〈KANSAI ROCK SUMMIT〉を主催しているのも、このCROW MUSICですし、新人バンドをフックアップする役割も大きく、2016年4月1日には〈NEW SCREAM CIRCUIT 2016〉と銘打ち、新進気鋭バンドばかりを集めた、大阪長堀橋の3会場でのサーキットイベントも発表。KYOTO MUSEで開催されるCROW MUSIC主催のカウントダウンイベントは2015年で10回目を数えています。

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