【コラム】もしも、tofubeatsが乃木坂46をプロデュースしたら。

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【コラム】もしも、tofubeatsが乃木坂46をプロデュースしたら。
【コラム】もしも、tofubeatsが乃木坂46をプロデュースしたら。

読者の方へ……

これは全て私の頭の中で起こった出来事であり、実際の事実とは異なりますこと、ご報告させて頂きます。

私はここ2ヶ月ほど風邪が治らず、休みの日は家で寝るばかりの生活。本や映画もろくに見ることなく寝てばかりの生活。そんな中で私の見つけた楽しみが、ありえないだろうけど、実現したら楽しそうだなというコラボを考えるというもの。

今回は、乃木坂46をtofubeatsがプロデュースしたらどうなるかを考えてみました。きっかけは単純なもので、欅坂46結成のニュースを見たときに、神戸だと北野坂だなという漠然としたモノから、もしも神戸のトラックメイカーtofubeatsが乃木坂46をプロデュースしたら「北野坂」という曲ができるんじゃないかと思い、彼がEP一枚をプロデュースしたらどんなトラックリストになるのかと考えていく内に、誰かに伝えたくなってしまい、気がつくと原稿を書いていました。

乃木坂46とtofubeats

乃木坂46は、2015年ついに紅白歌合戦に初出場が決定するなど、今年最も注目を集めたグループの一つ。もちろん、AKB48やおニャン子クラブを生んだ秋元康が総合プロデュースを手がけています。tofubeatsは、インターネットに音源をアップしていく内に話題を集め、これまでに森高千里や小室哲哉、Krevaなどとコラボしてきた神戸在住の新世代トラックメイカーです。では、この二組を比べてみましょう。

少女たちの葛藤をメンバーとそれぞれの親の二つの視点から描いた『悲しみの忘れ方』を観て涙した方も多いことと思われます。そこからも分かるように良いことも悪いことも心情を曝け出すこと、ドキュメンタリー性を信条とする乃木坂46。対して新たな音楽シーンの顔役としてクレバーな論客という意味では語りはするが、音楽面では全てを語るのではなく余白を残し、ポップ・ミュージックにおける解釈の幅を大事にするtofubeats。そして彼の初期の代表曲「水星」のような単音で作る着メロ的なメロディーラインは、これまでの乃木坂楽曲との相性が良さそうな雰囲気。しかし、太いベースや数の多いドラムパターンは彼女たちにとっては新機軸となると思われます。このコラボでもたらされる音楽的な変化は乃木坂46にクールなポップミュージックとしての新たな顔を付け加えるのではないでしょうか。

では肝心のトラックリストを見ていきましょう。乃木坂46「今、話したい誰かがいる (Special Edition) 」のようにiTunesで発表される6曲入りEPという程で考えました。

『根がティブ』トラックリスト

  1. 「根がティブ」センター西野七瀬
  2. 内海和子withおニャン子「思い出美人」のリメイク
  3. 北野坂
  4. for my darling(too many girlsへのリプライソング)
  5. 「toppoさん」
  6. 思い出美人(seiho remix)

1. 「根がティブ」

シングルとなるこの曲では、センターにお馴染み西野七瀬を起用、小学生の頃からデスクトップに向かい絵を描いていたなど、WEB上に広がるインターネット・コミュニティを当たり前のように触れてきた彼女とは意外と共通点が多いのではと思いました。なのでこの曲では、根がネガティブであることを公言しているtofubeatsと陰と陽なら陰が多いという乃木坂46の面々なので、ポジティブの次は、思いっきりネガティブな曲を。でも、ただネガティブなのではなくて、tofubeats特有の「BABY」や「水星」のような黄昏とワクワク感が同居するポップソング。

2. 「思い出美人(リメイク)」

EPにとって次に大事なカップリングは彼女たちの大先輩おニャン子クラブが内田和子とコラボした「思い出美人」を元に作り変えたリメイク作。tofubeatsはこれまでも森高千里「勉強の歌」をリメイクしてokadadaとのdancinthruthenightsで「マジ勉NOW!」などをリリースしてきた。この曲のシティーハンターなど80年代後半のテレビアニメのテーマソングで使われてもおかしくないような雰囲気は、tofubeatsのPVなどを手掛けているsukeburi氏のVJを彷彿とさせるものがあるほか、seihoを思わせるシンセの使い方や水をモチーフとしたサウンドなどtofubeats周辺へと繋がっていくように思う。ある意味この曲は、その界隈と秋元康帝国を繋ぐ一曲と言えるのではないでしょうか。

3. 「北野坂」アンダー楽曲

今回のコラボを考えるキッカケとなった楽曲。やはり、“坂大国”神戸を題材にした曲が一曲収録されていてもいいのではないかということで、神戸で最も有名な坂こと「北野坂」を題材にした楽曲。北野坂とは、街の中心部とTHE 神戸的な観光地である異人館などの異国情緒ある街並みの北野とをつなぐ坂。就職で上京していたが久々に地元へと帰ってきた主人公。やりがいがない訳ではないが東京でこれをやったといえるような手ごたえは薄く、でも周りからは「頑張ってるねぇ~」と言われなんとも言えない感情を抱えつつも、昔を懐かしむように観光客に交じりながら坂を上がっていくという哀愁漂う一曲。

4. for my darling feat Kreva (too many girlsへのreply)

「too many girls」を女の子の視点から描いたリプライソング。この曲が「乃木坂工事中」でも共演中である乃木坂46公式お兄ちゃんであるバナナマンがパーソナリティを務めるTBSラジオ『金曜JUNKバナナマンのバナナムーンGOLD』の人気コーナー「音楽の悩みなんでも解決 ヒムペキ兄さん」に取り上げられ、モテない男たちの嘆きの歌へと作り変えられる。

5.「TOPPOさん」ユニット新内眞衣、深川麻衣、白石麻衣

乃木坂46のお姉さんによるユニット。ロッテのチョコ菓子「TOPPO」のタイアップソングとしての一曲。ミュージシャンになっていなかったらお菓子メーカーに就職したかったというtofubeats。お菓子フリークなのは知られており、これまでにも「Galbo」への愛を語るなど、そのクレバーな視点はお菓子界にも影響を与えているとかいないとか。そんな彼は、いまTOPPOにハマっているとか。ここでは、乃木坂46「シャキイズム」に見られたような少し肩の力を抜いたピコピコ系なコミックソングに仕上げる感じ。新内眞衣はここで会社員ラップを披露する。tofubeatsは会社員ラッパー、オノマトペ大臣とのコンビが有名だが、今回は会社員アイドル新内眞衣をプロデュース。これにより会社員をプロデュースするならtofubeatsと言われるようになり、会社員プロデューサーとしての地位を確立する。

6. 思い出美人 seiho remix

seihoはtofubeatsと共に新世代を代表するトラックメイカーであり、大阪のリック・ジェームスという異名も持ってるとか持ってないとか。2人はスプリットシングルを出していたりしていたが、ここ数年ライブではよく共演するもののremixなどの楽曲のやり取りは意外にも公開されていない。そんな夢のコラボがここで実現。思い出美人のオリジナルで使われている水の音は、seihoのトレードマークの一つでもあり、tofubeatsがリメイクした楽曲をどのように解体し再構築するのか、アジアンテイストなものなのか、ストイックでエッジの効いたサウンドになるのか、はたまた想像の斜め上をいってしまうのか。

いかがでしたか? ただの自己満足企画にお付き合い頂きありがとうございます。共通項がないように思っていましたが、ネガティブと言いつつも前を向いている感じは少し同じ匂いを感じるなと思いました。実際、乃木坂46の楽曲は全て秋元康氏が作詞を手掛けているのでこんなことは絶対にありえないんですが(笑)。今回、特に「思い出美人」を聞いた時の衝撃といったら忘れられません。まさか、おニャン子クラブといまのトラックメイカーが繋がるとは想定外だったので、ぜひいつかこの曲のリメイクやカバーなどを聴いてみたいなと思いました。

追記

結成当初から現在までを描いた乃木坂46のドキュメンタリー映画『悲しみの忘れ方』を見ようとしているのなら、先に『乃木坂って、どこ?』(※1)をご覧になられることをオススメします。この映画の題材となった時期は、ちょうど『乃木坂って、どこ?』が放送されていた時期と重なり、この番組でも描かれていた部分も含め、映画ではその当時を振り返りながらメンバー本人や母親の視点として描かれています。なので、番組を先に見ることにより親近感を持って映画をみることが出来、涙腺が刺激されてしまいます。あと「無口なライオン」や「いま話したい誰かがいる」のPVも秀逸なのでぜひ。

※1『乃木坂って、どこ?』:結成された2011年から2015年4月まで放送された乃木坂46の冠番組。現在は『乃木坂工事中』として後継番組が放送されている。

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