【インタビュー】10年先へ。環境の変化を乗り越えて作ったアルバム | BED『via nowhere』

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京都のオルタナティブロックバンドBEDのライブ

京都のオルタナティブロックバンドBEDのライブ

新曲をどんどんやっていくことが、僕らの中で刺激になっている

──次に本作の曲作りについてです。前作までのリフ主体からある程度、曲の骨格を作ってから取り掛かるという変化があったと話されています。新しい曲はどんどん作っているのでしょうか? それとも昔に断片的に作った曲を練り直しているのでしょうか?

山本:僕は昨日も1曲作りましたね。鼻歌をヴォイスメモで録音したり、コードを弾いてアコギ1本で作っています。歌詞はあとから付けています。それ自体は日常的にずっとやっていますね。そんなポンポンとは出来ませんが、最近は曲をスタジオに持っていっているので、「これはBEDで出来たらいいな」という意識をして作るようになりました。

山口:今は作っていないんですけど、レコ発がスタートくらいのタイミングで曲作りモードに入りたいと思います。ある程度、自分で曲を作って、スタジオに持っていってから作るという感覚ができたので、新曲をどんどんやっていきたいんですよね。そうしないとバンドとしての停滞感が生まれてしまうように思います。2014年以前にベースサポートをしてもらっていた時期もあるんですけど、そのときは全く曲を作っていなかったんですよ。だから停滞感があったんですよね。今回はサポートの人にも新曲をやってもらいました。それはベースラインまで僕ら3人が考えるということなんですけどね。サポートメンバーで新曲を披露したことに対して、批判的な意見ももらったんです。でも、それをやらないと停滞してしまうんですよ。今までの曲をブラッシュアップしていくことも大事ですけど、新曲をどんどんやっていくことが、僕らの中で刺激になっているんですよね。

──初期は「ジャーン!」というバンド・サウンドがアルバム全般に出ていたように思います今作では生音を取り入れたりなどの変化がありますよね。壺阪恵(ex.ecosystem)さんがトランペットで、CARDの白神セチナ康裕さんがコーラスとシェイカーで参加していたり、アコースティック・ギターを取り入れています。

山口:ジャムセッション主体から曲作りが変化して、特にレコーディングに関しては「全体感」を考えるようになってきました。前作のレコーディング・エンジニアの原さんは「バラエティーが欲しいな」と話す方でした。それ以前は、あまりそういったことを考えたことがなかったんですよね。基本的にはエレキギター2本、ベース、ドラムで、ちょろっとアクセント的にアコギが入ればいいかなって。「もうちょい色んなことをやってみたら?」と言われて、ちょっとずつトライしていったんです。アコギの使い方も変わりました。それを経ての本作でした。前作でレコーディングをしている感というのがあって。自分の頭の中にある引き出しを無理やりにでも開けていくと、聞いている音楽をフィードバックしていくときもありました。もちろん、それらを思い切り曲に反映させていくバンドではないと思っているので、聞いていると分からないかもしれません。自分らなりに色んな楽器を入れてみようと思うことで、BEDにはあまり近くない音楽が少しリンクして、結果的に幅の広さや懐の深さにつながるんかなあと。それをもっともっと深めたいです。

──本人は感じてないかもしれないんですけど、あえて言うと、山本君の曲は「バラード感」というか緩やかさが増しているように思いました。

山本:自分の曲調が出たからだと思います。昔だとみんなで一つのリフを作り上げてから、歌を乗せていたから。

山口:リフだと決まるまでずっと弾いていた感じです。暗黙の了解で「これはいけるな」という瞬間が来て、曲を作っていった感じですね。ベースがリフを作って曲を引っ張っていくと、ハード目に発展することが多かったです。最近はそんなモードではないですね。

──どんなモードですか?

山口:やっぱり無理しないというか(笑)。前のインタビューでも話しましたが、BPMが120〜130くらいが一番心地よくて。アクセント的にそうではない曲も、もちろんあるんですけど、しっくり来るところがあるんですね。それがいわゆる「バラード感」なのかもしれません。そしてそこに熱さが注入されていく。それが自分たちらしさかなと思っています。

──前回のインタビューでも「BEDはライヴバンドだ」と話していましたが、作品をライヴで表現していくにあたって、正確に演奏するのか、それとも異なるのかというのはありますか?

山口:ライヴで作品を再現しようとは思わないですね。今回はライヴで何度も演奏を重ねた曲をレコーディングしたというより、アルバム用に作った曲が多いんです。そうなると、どうやって厚みを見せていくのかということを考えますね。

──音の厚みやグルーヴ感を意識して作っているなと聞いていて思いました。

山口:そうですね。レコーディング前に、それこそ魚頭さんに弦楽器のメンテナンスもやってもらいました。昨年の5月、札幌に弾き語りをしに行った際、魚頭さんと話す時間が多くて、次に目指すところは、自分らの鳴らしている音への意識の高め方だと意識するようになりました。そうすると、ライヴも音源もぐっと持ち上がるんじゃないかと思いました。それはいい効果として表れています。

──レコーディングで各自こだわった部分はありますか?

山本:作品の中ではギター・ソロがあって、そのときの音作りは聞いている音楽や、好きなアーティストの音の運び方が反映されています。山本精一のアルバム『Falsetto』は、ギター・ソロがわりと丁寧に弾いている感じで、参考になりました。あとはスパルタローカルズの単音ソロ、テレヴィジョンの2作目『アドヴェンチャー』のソロなどをイメージしながら作りましたね。ギターもストラトキャスターで弾いてみて音を作ったりだとか、アンプを変えたりだとか、その辺りは前作より時間をかけてやりましたね。

村山:レコーディングまであまり時間がなかったんですよ。新曲に関しては録る日までフレーズをやっているみたいな感じでした。意識したのは手グセをいかに出すかというところですね。「こうするとグルーヴが出る」みたいなものが自分の中にあるんですよね。音源にどれだけ入れていくのかがあって。僕はデス・キャブ・フォー・キューティーとステレオラブを参考にしています。ルートを弾いているんですけど、シンプルなところにいかに魂を込められるか。「ルート弾かせたらあいつヤバい」みたいな。そういうのがありますね(笑)。

山口:メロコアやんな。

村山:やっぱりね、ルートをいかに弾くか。ディープ・パープルに「Burn」って曲があるんですけど、ずっと「で~ん、で~ん、で~ん」って感じななんですけど、真似しようとしてもなかなか出来ない。そういうところを追求し続けたい。アルバムの聞きどころは、やや走ることがいかにいいかというせめぎ合いみたいな、絶妙な走り方をしている7〜8曲目ですね。

一同:(笑)

長生:ドラムのリズム・パターンは山口君から「こんな感じで」と、イメージを話してもらって叩くんですけど、フィルとか細かい間のオカズとかって、レコーディング直前まで迷って、録音時にノリでやったりすることがあったんです。それをやると本番で失敗することがあったので、今回はしっかりと決めてから練習をして、録音に挑みました。

──ドラムの音を左右に散らしたりしているのはエンジニアの方のアイデアでやっているのでしょうか?

山口:僕のアイデアでやっています。PANの意識はめっちゃあるんですよね。ギターの音が左右でどう鳴るかとか、細かく注文しました。最初は参考音源とかありましたけど、それをやりすぎると自分たちらしく無いと思いました。ライヴのときに音を「バーン」と出して気持ちいい瞬間があるんですけど、それにいかに近づけるかという意識はあります。ギターは「リアンプ」と言って、ラインで録音してから、アンプで録り直すということをやったんですけど、気に入らない音が結構多くて、結局弾き直しているんですよ。ドラムに関しては、前作でドラムテックに入ってもらったんです。曲ごとにチューニングして、シンバルを変えてみたりしたんです。今回もドラムサポートもしてもらったことのある、G君(ex.OUTATBERO、ex.CARD、LLama)が手伝ってくれています。気心の知れていて、彼なりに僕らのいいポイントも知っているので、はるちゃんも言いたいことを言えたと思います。

BEDジューシー山本のギター

BEDジューシー山本のギター

──技術的な質問ですが、前は出来なかったけど、今回出来るようになったテクニックや演奏面での変化はありますか?

山口:多分無いっすね……。

一同:(笑)

山本:ハモりとかは?

山口:前作でコーラス録りは1曲くらいで、「ヴォーカル2人いるのにハモりが無くて勿体なくない?」と原さんに言われたのが発端ですね。確かになあと思って、ツイッターとかで検索してみたら、「歌が2人いるのに、1人が歌っているときにもう1人は全く歌わへん」って書かれていて(笑)。歌が完全分担されているから、あまり考えたこともなくて。それからハモりをやってみてもいいかなと思って、ライヴができる曲はその段階でハモっていきました。僕なりにはそれが挑戦でした。カラオケもめっちゃ行ったし。

一同:(笑)

山口:奥さんと行くんですけど、僕はえげつないくらいハモるという。

山本:それ、嫌がらへんの? 奥さん。

山口:いや、そこは阿吽の呼吸と、ハモリが気持ちいい曲というのがあって。モーニング娘。の「Memory 青春の光」をハモり続けるんですよ。それを完璧にやると、向こうも気持ちいい。自分が上手くなったように聞こえるんですよ。うちの奥さんはピッチがすごく安定しているんですよ。

山本:あ、そうなん(笑)。

山口:音を絶対に外さないんで、僕も練習になるという。

──へえ〜。影で練習をしていたんですね……。

山口:……実は。

一同:(笑)

山口:月に1〜2回は行きますからね。

山本:定期的に?

山口:じゃ、いこか〜! って。1時間半から2時間くらいですけどね。

山本:今月全然行ってないし、そろそろ行くか、みたいな。

山口:そろそろ歌いたいな、みたいな。香里園のジャンカラに。

──これはすごいネタですね。でもコーラスは練習しないと出来るようにならないですからね。

山本:そうですよね。

──あとライヴでは3人で歌う場面もありましたね。

山口:レコーディングではるちゃんもやってみたらどうかな、というところから始まる感じですね。

山本:あとはクリックを使いながらレコーディングをしましたね。

山口:初めてやな。前作のときにちょろっとやろうとして、「普段からやってないと意味ないよ」って言われたよな。

長生:前作のときは、その場でこの曲のBPMを探して……というような、それくらいの感じでやろうとしていました。「それやったらあかん」みたいなことを言われて。

山口:普段の練習からちゃんと決めてやっていかないと、と。

長生:それがあって、BPMも事前に決めてから録音に挑みました。

山口:それは将棋につながっていくと思うんですよ。性格的にもクリックを聞きながらやるのは合っている。苦手な人は一生苦手やと思うから。もしも俺がドラムやったら苦手。はるちゃんはハマってやっているから、性格的にもいい。

山本:なんでやらんかったの?

長生:なんでやろ。

一同:(笑)

山口:今は練習でもやっているし、過去の曲もクリックを聞きながら合わせている。さすがにライヴでは出来ないですけどね。

Author Profile

山田 慎運営者、sweet music、PAINLOT
1982年東京生まれ。東京新宿で過ごした後、2008年夏にふらっと京都市へ移住。フリーペーパーを製作した後、sweet musicとしてライター、音楽ライター講座in京都の企画、インタビュー、Web制作などで活動中。紆余曲折を経てパンの水先案内人PAINLOTというプロジェクトを開始。ex. CRJ-tokyo、OTOTOY
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