【インタビュー】Circa Waves

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ビートルズ、フランキー・ゴーズ・トゥー・ハリウッド、ラスカルズ、コーラルなど始め多くのロックンロール・バンドを輩出してきた街リバプール。音楽文化が根づき歴史と伝統が息づいてきた。2000年以降は、ブロック・パーティーのケレ・オケレケなどがこの街で育った。しかし、近年は決して勢いがあったとは言い難かった。そんな街からUK全土を巻き込むブライテスト・ホープが現れた。その名は、Circa Waves(サーカ・ウェーヴス)。フロントマンであるKeiran Shuddall(キエラン・シュッダル)がSoundCloudにアップした「Young Chasers」がラジオでプレイされたことがきっかけとなり、NMEなどでも特集が組まれるなど瞬く間に注目新人として話題を集めた。今回のインタビューは、〈サマーソニック2014〉で来日した際、大阪公演の前日に大阪は心斎橋で行った。(取材・文 / 杉山 慧

数々のビッグバンドを輩出してきたリバプールでピックアップされたのは誇りに思う。

──店内にはあなた方と同じリバプールのバンドの代表格であるビートルズが流れていますが、リバプール出身という意識はありますか?

ジョー・ファルコナー(G、以下ジョー) : プレッシャーは感じないけど、50年の歴史の中で、偉大なバンドが集まってくる所でもあるので、そこでピックアップされることは誇りに思う。リバプールだからと言って保証されるものではないが、リバプール出身と書かれることでプレッシャーというより守られた状態で、自分たちらしさをアピールできるので、僕の場合は良い方向に働いているかな。

──では、なぜリバプールは音楽文化が盛んだと思いますか?

サム・ローク (B、以下サム): ロンドンとか物価の高い所より住みやすいし、ミュージシャンにやさしい街なので、生活に苦しむ前に音楽に投資しやすい環境があるからじゃないかな。

──例えば、エコー&ザ・バニーメンのジュリアン・コープは、港町で色んな文化が入ってくるから、音楽文化が盛んになったのではないか? と話していましたが、あなた方はどのように感じますか?

サム : かつてはそうだったかも知れないけど、誰もが来やすい文化がある。それにより街に来た人から学ぶことは多い。既にあるリバプールのブランドを求めて来る人か学ぶことは多い。そういう意味では港町というのは関係あるかも知れないね。

必然的にバンドを組むという構成のもと、始めていたんだよ。

──キエランにお伺いします。SoundCloudにアップした「Young Chasers」がラジオでオンエアーされ、大きな反響を獲得しましたが、この頃は全てのパートを演奏していて、ソロとして活動していましたが、なぜバンドに拘ったのですか?

キエラン : 意図的に1人でやるつもりはなく、必然的にバンドを組むという構成のもと、始めていたんだよ。このバンドはそれぞれが、別のバンドをやっていたけど、同じ方向を向いている人が集まって、いい要素をかき集めたベスト体系になっていると思う。

──バンドとして出発してNMEで取り上げられるわけですよね。

サム : 毎週自分が買っていた雑誌に載ったのは夢のようだったね!

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──さらにインターポール、テンプルズ、ロイヤル・ブラッドと共にNMEツアーにも出演されましたね。

ジョー : 大きいツアーに出ることができたのはもちろん光栄だよ。さらに共演者からも刺激をもらい良い経験になったよ。

サム : あのツアーは、アメージングだったね!

キエラン : 俺もそう思ったよ!

──あなたたち同様、ロックンロール・リバイバルの機運を高めている、いま注目のバンドのロイヤル・ブラッドとも一緒に回りましたが、彼らについてどう感じましたか。

キエラン : 彼らは常に僕らの前を行っているので、追っかけている感じだよ。

サム : まさにヤング・チェイングだな(笑)。

キエラン : そうだな(笑)。ロイヤル・ブラッドをヤング・チェイングしているよ(笑)。

確かにどのPVにも、共通する世界観を意識している。

──あなた方のPVを見ていると「Get Away」「Good For Me」「Stuck In My Teeth」そして「Young Chasers」と、少しサビついた感覚というか、ヴィジュアル・イメージとして一貫する統一感が見られますが、それは自分たちで意識的に作っていることなのでしょうか?

キエラン : 確かにどのPVにも、共通する世界観を意識している。やればやる程、どんどん上手くなっていく中で、同じイメージ、世界観のモノを作っている。でも、最初の方に作ったPVは今となっては見れないよ(笑)。

──その中でも特に「Young Chasers」は印象的ですね。監督はDavid Silisとあります。

キエラン : 彼はとにかくアイデアが素晴らしいんだよ。あの背後の黒く光る月や噴火する火柱であったりね。

ジョー : そうだよね。それから、このEPのアートワークのような色合いみたいに僕らの持っていたイメージと、彼が使いたいと言ってきたイメージが一致したことが大きいかな。

──このDavis SillisはまだPVは4つしか監督されていませんが、若手であることと自分たちが新人であることは関係しているのかでしょうか?

サム : 新しい人たちにチャンスを上げたいのもあるし、自分たちが若いこともあって、新しい感覚を取り込みたいというのはあるね。

僕たちは自分たちのやりたいことをストイックにしたいと思っているよ。

──では、サウンド面についてお聞きします。あなた方の楽曲は、「Young Chasers」や「Get Away」同様、シンガロングという言葉がしっくり来る楽曲が多いように感じます。それはみんなで歌える曲が少なくなっているという今の状況が、大合唱できるメロディックな曲を書かせているのでしょうか?

キエラン : 決して、そういったことを意識的に考えて曲を作っている訳ではないんだ。無意識にそういうものを感じて、メロディックな曲が増えているのかもしれない。それはあると思うな。

──マニックス・ストリート・プリーチャーズのような、みんながスタジアムで一緒になって歌うようなバンドがあなた方にとってお手本となっているのでしょうか。

サム : マニックスは僕も好きだよ。確かに自分たちもそうだったようにオーディエンスと即座に繋がることができる、そう言ったビッグバンドの感覚は影響を得ていると思う。

──サウンド面でロールモデルになっているバンドはいますか?

キエラン : メトロノミーやマッカビーズ、ボンベイ・バイシクル・クラブのように爆発的な人気を獲得するのを目の当たりにして、確かにそういうトコロに憧れはあるよ。でも、それよりも、僕たちは自分たちのやりたいことをストイックにしたいと思っているよ。

──そう言ったビッグバンドへと繋がっていく魅力がある一方で、あなた方には、ストリート感というか、カジュアルな良さもあると思うのですが、その辺りは考えをバランスを取っているのでしょうか。

サム : バンドとしてやりたいことクリエイトしたい事をすることが重要で、そこを変えるつもりはないんだ。その上でピックアップのされ方で、大きくなるかもしれない。僕らが言えることは、意図的に大きくなりたいということが優先ではないということかな。

インタビュー後記

00年代を代表するロック・バンドである、アークティック・モンキーズのアレックス・ターナーが、ブリット・アワードのスピーチでギターロックの勝利なる発言をした。彼の口からこのような言葉が出たということは、裏を返せば、ここ数年ギターロックに勢いが無かったということの証明でもあっただろう。そして、いまUKでギターロック復権の鍵を握る若手の中でも、大きな期待を寄せられている一組がCirca Wavesだ。結成から半年も経たぬ内に、大きなバズの波の中へと突然放り込まれた彼ら。周囲の盛り上がる期待とは裏腹に、自分たちの状況を意外と冷静に受け止めていたことが印象的だった。

結成の経緯などから、フロントマンであるキエランよるワンマンバンドという印象を持っていた。しかし、今回のインタビューでメンバー同士が、相手の技量やアイデアを含め互いにプロフェッショナルとして認めており、バンドとしての信頼関係ができているように感じた。

6月にレコーディングは終了しており、あとは発売を待つのみとなっているアルバムだが、この度の〈サマーソニック2014〉では、収録されているであろう新曲も多数披露していた。そして、そのパフォーマンスは、今回の彼らの言葉を裏付けるかのように、バンドとして同じ方向を向いている勢いのようなモノを肌で感じた。

CircaWaves: サーカ・ウェーヴス EP

Circa Waves「サーカ・ウェーヴス EP」
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