【インタビュー】花泥棒

Pocket

花泥棒

花泥棒

1960年代から独自の音楽文化が花開く土地、京都。2010年代に入っても全国に向けて様々な音楽を発信し続けている状況は「現代関西音楽帖」でも伝えてきた。4人組オルタナティヴ・ポップ・ロック・バンド、花泥棒も近年の京都シーンを語る上で重要な位置を占めていた。スピッツやホフディランを彷彿とするJ-POPサウンドをオルタナティヴなリフに乗せて、飄々と王道をいく彼らの音楽は、多彩な京都シーンの中でもど真ん中を狙える存在と期待されていた。

昨年にはボロフェスタにも出演し順調な活動と思われた矢先に発表された、オリジナルメンバーであるノズエ(G)、オカザキ(B)の脱退。中心人物である稲本裕太(Vo,G)の単身東京移住。そして京都に残り、関西でのライヴで稲本を支えていた寺田(Dr)の脱退も先ごろ発表され、彼以外のメンバーは募集中という状況になった。京都拠点で音楽活動を続けるミュージシャンも多いこのご時世、敢えて上京ドリームをつかもうとすることを選び、たった一人になってしまった花泥棒。前編成で最後となった初の全国流通作『daydream ep』はそんな脱退の雰囲気を感じさせることなく能天気なまでに甘酸っぱく、全国の夏を彩っている。稲本の求めるポップミュージックとは? 東京の地で話を聞いた。(取材・文 / 峯 大貴

結成当初はギター始めたばっかりで、自分の弾けるコード内で曲作りをしていました。

──私が初めて花泥棒を見たのが去年8月の『Live House nano』でのナノボロフェスタで。そこからちょうど一年で、まさか東京でインタビューするとは思いませんでした。

本当ですね、光栄です。

──その時ちょうど稲本さんがMCでめっちゃ語ってたんですよね。“僕たちのポップはブレイクしやすいという意味でのJ-POPではなくて、やりたい音楽としてのポップミュージックを鳴らしたい”って。でも同時に意識的にセルアウトしたいということも言っていて。

あ〜言ってた気がするなぁ。そうだそうだ。

──そういうことが今回の上京というところにも繋がっているのではないかなと思っていまして、まずその原点からお伺いしていきたいのですけれども。まず花泥棒の結成は立命館大学の軽音楽部ということで、どういうようにして集まったメンバーなのでしょうか?

うちのサークルはコピーもオリジナルも半々くらいいて、2回生の時に僕もそろそろオリジナルを自分で曲を作るバンドをやろうと思っていたんですね。でもかなり漠然としていて、歌を中心に据えたバンドであることだけ決まっていたんですけど、そこからサークルの中で誘うならこいつかなーという感じで声かけていって、とりあえずやってみようというところで始めました。

──花泥棒について調べていたら立命館大学のサイトの中に2010年頃の皆さんの写真とブルーハーツの「夢」をやっている音源があったのですが。スピッツも結成当初はブルーハーツのコピーから始まったバンドということで“踏襲している!”って思ったのですけど。

あのやばいやつですね(笑)。あれは当時大学のサークルを毎月紹介するみたいな企画があって、たまたま軽音楽部に来た時にオリジナルでやっている人があんまりいなかったから、僕らがやりますって言って。そしたら「夢」やってくれって言われただけで。えーって言いながら歌いました。ブルーハーツはもちろん好きですけどね、まぁ偶然という名の必然ですかね(笑)。

──大学以前からバンドはやっていたんですか?

高校の時は軽音楽部でボーカルだけで楽器は触ったことなく、ギターも大学から始めました。

──オリジナルをやりたいということで稲本さんを中心に結成されたということですが、まだ楽器は慣れないわけですよね? どのようにして曲を作っていったのですか?

曲は僕がスタジオに弾き語りで持っていって、ギターはこうで、ベースはこんな感じでってみんなに伝える感じで作っていました。それは今でも変わらないですね。でも今よりも勢い一発のガレージ・ロックっぽい曲が多かったです。影響を受けたところはbloodthirsty butchersとか今とあまり変わっていないけど、やっぱり単純に僕がギター始めたばっかりでそもそも弾けるものがほとんどなくて、自分の弾けるコード内で曲作りをしていました。簡単なコードでしか曲作れなくて、それだとどうしてもパワーコード中心のわかりやすくて単純な曲が多かったんですけど、それはそれでいいかなと思ってやっていました。似てないけどイメージするところでは「青い空」だとか初期くるりの勢いのある曲の感じをちょっと意識してたかな。

──でもオリジナルで勝負しようとしていたということは、結成当初からこのバンドでずっとやっていこうという思いがあったのですか?

バンド中心の生活が出来たらいいなぁとは思っていたけど、その頃は曲も作り始めたばかりだったし、そんなこと出来るのかなぁってくらいですね。とりあえずやってみよう、ゆくゆくそうなったらいいなぁぐらいの漠然とした感じかな。

スピッツ: インディゴ地平線

スピッツ
インディゴ地平線
ユニバーサルJ, 1996年
BUY: Amazon CD, タワーレコード, iTunes Music Store

──最初からバンド名は「花泥棒」で?

うん。当初はあんまり深く考えてなかったし、今より歌っていることが泥臭かったので、全然花泥棒で合っていたんだけど。今は“漢字て!”って後悔している部分も少しありまして。元ネタのスピッツの曲名(「花泥棒」:アルバム『インディゴ地平線』(1996年)収録)を知っている人はいいんだけど、知らない人が見たら“あぁ? 花泥棒? なんか怒髪天みたいな感じ?”ってことで、もうちょい男っぽいと思っていたと言われることもあってちょっと名前変えよかなと…。

──ボールズ(exミラーマン)みたいに(笑)。

ちょっと先にやられちゃったねぇ(笑)。

Author Profile

峯 大貴音楽ライター兼社会人、京都講座東京特派員
1991年大阪生まれ。2014年3月に京都講座 で制作した「現代関西音楽帖」を編集長として発刊し、同志社大卒業、就職のため上京。 現在もライターとしてQuick Japan,CDジャーナル,BELONGなどに寄稿。落語とフォークをこよなく愛する生粋の大阪人。HITORI JAMBOREE~Mine Daiki Official Tumblr~
1 2 3