【インタビュー】花泥棒

花泥棒
Interview
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花泥棒の稲本裕太: 取材写真
花泥棒の稲本裕太(Vo,G) 取材時にて。フレーミング・リップスのTシャツを着用

新譜『daydream ep』、今の花泥棒の名刺になるようなものにしましたね。

──そんな中で発売される『daydream ep』ですが、これは現メンバーの4人での最後の音源ということで。収録されている4曲はすでにライヴで披露されている曲で、ライヴを見ている人にとっては“やっと音源として聴ける!”というものだと思うのですが。

恐縮ですねぇ(笑)。

──ライヴも人気曲だった花泥棒王道ポップス「黄昏」もようやく収録される中、「ソニックユースインザハウス」ってタイトルが目を惹きますよねやっぱり。

あれは意味が一つもなくて語感がよさ重視ですね。Aメロのリフの不協和音の感じがSonic Youthっぽいなって思ってこれはいけるぞと。サビのメロがもしこうなったら面白いぞって感じで思い浮かんだ言葉が“ソニックユースインザハウス”で。歌詞も特に何も言ってない(笑)。

──“烏丸御池”って京都の地名も入っていますが。

あれもたまたまばっちりはまったからですね。半分はふざけていることを真面目にやってみようということで。

花泥棒: nagisa ep
花泥棒
nagisa ep
自主制作, 2014年
BUY: Amazon CD, タワーレコード

──前作の『nagisa ep』収録の2曲では日本のメロウなポップスど真ん中を行ったかと思いきや、久々に「生活」を初めとする初期花泥棒のオルタナティブでガレージな面が見えたと思ったのですが。

割ともうあんまり歪ませた曲よりかは歌モノを追及したいところはあるんだけど、偶然にも出来ちゃって、ライヴでの評判もいいですね。

──だから花泥棒の両面が味わえるものになっていますよね。ライヴではやっているけど、まだ音源化されていないものもあると思うのですが、今回の4曲はどんな感じで選んだんですか?

今ある中で一番キャッチーな4曲です。全国流通だし、出し惜しみしてもしゃあないなってことで。今の花泥棒の名刺になるようなものにしましたね。

誰が聴いてもいいと思えるようなものを作るのをやりたいなと。そういう方が自分の作る曲は向いているなと思えてきたんです。

──また冒頭の話に戻るんですけど、昨年初めて花泥棒を見た時に稲本さんがMCで言っていた“僕たちのポップはブレイクしやすいという意味でのJ-POPではなくて、やりたい音楽としてのポップミュージックを鳴らしたい”という言葉について、稲本さんが思う自分のやりたいポップミュージックの理想形ってどんなものなのでしょうか?

一番理想としているのはスピッツかな。サウンドが面白くて、曲がよくて、みんな歌えるし、音楽好きが聴いていてもいいし、アレンジ練られているなぁってなるし、ミュージックステーションしか見ないような人も“この人知らないけどいいね”ってなるような、「大衆音楽」を目指していて。スピッツとかサニーデイ・サービスとかくるりとか歌がぐっと前に出たような音楽をやりたいなと思っています。

──わかる人にだけわかればいいというものでもなく。

自分たちだけで完結するようなものでもなく、誰が聴いてもいいと思えるようなものを作るのをやりたいなと。そういう方が自分の作る曲は向いているなと思えてきたんです。インディーバンドも大好きでそういうこともやりたいし、オザケンみたいなめっちゃポップみたいなこともしたいなぁってどっちつかずのところが今まであったんだけど、なんかもうそれじゃどっちも引き寄せられないと思って、最近は開き直って絶対J-POPを作ろって決めた感じかな。J-POPっていうと取りようによっては語弊があるけど、日本のポップミュージックというものをですね。

──そういうことに意識的になり出したのはいつくらいからなのですか?

2人が辞めることになった直前かな。ここでそういう覚悟を決める必要があるって思って。好きな音楽をやって結果よかったから話題になるってのが多かったから、“大衆音楽を作りたいんです!”っていう日本のインディーバンドって最近全然いなくて。話題に上る人はいてもお茶の間の人にも“いいね”って言ってもらえるような大衆音楽的なバンドとは違うのかなと。多分一番難しい道なんだろうけど。

──では同世代の中で、方向性が共感できるバンドとかいますか?

パンクとか他のジャンルをやっていてカッコイイなぁとは思うバンドはいるけど自分のやりたいこととは別になるし、歌モノとかだとあんまりシンパシーを感じるバンドは関西では正直少なかったですね、えらそうな言い方だけど。でもその中で自分でも“こいつらのやりたいことすげぇわかる”って思ったのは、すでに結果出しているけどミラーマンとか、メシアと人人とか。メシアは単純に曲がよくてライヴがカッコよくて。あとはTHE FULL TEENZとか。曲が短くてめっちゃポップでカッコイイ。あの辺は一方的にシンパシー感じていたなぁ。全部やっていることは違いますけど。

Deerhunter: Monomania
Deerhunter
Monomania
ホステス/4AD, 2013年
BUY: Amazon CD, タワーレコード, iTunes Music Store

──どれも攻めたことをやりつつも、根っこにポップってところがある関西のバンドですね。最近聴いているバンドとかよかったものとかあります?

やっぱフレーミング・リップスとか聴いていると、こういうサウンドを取り入れるのもありだなって思ったりもしますね。ストーン・ローゼズのきれいなギターの絡み合う感じとかいいなぁと思うし。ディアハンターの去年出た『Monomania』はギターの絡み方、空気もよかったし、テーム・インパラの『Lonerism』も楽器の合わさり方、音の埋まらせ方が面白いし勉強になるなぁって思います。ローゼズとかキュアーとかのリフががつっとしたのもめっちゃいいし、自分のサウンドの参考にするものは限りないですね。

Tame Impala: Lonerism
Tame Impala
Lonerism
ユニバーサル/Modular Interscope, 2012年
BUY: Amazon CD, タワーレコード, iTunes Music Store

──花泥棒の語表記「Hanadorobow(ie)」のちょっとしたデヴィッド・ボウイ意識だったり、HPプロフィールの画像はソニック・ユースのパロディだったりちょいちょい挟んできますよね。今もフレーミング・リップスのTシャツを着てらっしゃいますし(笑)。好きな音楽はそういうところで、サウンドには取り込んでいくけれども、やりたい音楽はまた別のところにあると。

やっぱ好きなサウンドとかはやっぱこっちなんで(笑)。でも歌メロがキャッチーになってなれば全然J-POPにもなりえますしね。

──トレンドや一過性のものではなく“普遍的なポップス”というところの意味でのJ-POPですね。

正にそんな感じ。“普遍的なもの”というところは意識しているかな。昔も今もなくいい曲。日本中みんなが歌える曲を目指したいですね。

花泥棒: daydream ep
花泥棒
daydream ep
自主制作, 2014年
BUY: Amazon CD, タワーレコード
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