【インタビュー】ハリネコ: roOt.

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ハリネコ: roOt.

ハリネコ
roOt.
SPACE SHOWER MUSIC, 2014年
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札幌出身のSSW沙知による変幻自在な音楽プロジェクト、ハリネコが初のフル・アルバム『roOt.』を2014年7月16日にリリースし、来る8月1日(金)TSUTAYA O-NESTにてリリース・パーティー・ライヴを行う。共演は、大森靖子&THEピンクトカレフ、白波多カミン+ハジメタル(ex.ミドリ)、そして来来来チームにマモル(nhhmbase)と畠山(H mountains)という豪華な顔ぶれだ。対するハリネコのバンド・メンバーはギターにRyo Hamamoto(moools)、ベースはケイタイモ(WUJA BIN BIN)、シンセサイザー奏者として蓮尾理之(385, THE JETZEJOHNSON, SEAGULL SCREAMING KISS HER KISS HER)、ドラムにとがしひろき(ロア, サンガツ)という鉄壁の布陣。

『POPSを軸としながら、あらゆるジャンルにインプロヴァイゼーションをも取り入れたアートパフォーマンスのような景色観と独自の音楽世界を展開』するというハリネコの主催、沙知に話を聞いた。彼女の半生、そして死生観にまで話は及び、そのなかで革新的でありながらスタンダードなもの、多くの人の日常に寄り添えるものを創ろうとする強い意思をたびたび感じた。(取材・文 / 森 豊和)

ハリネコ

ハリネコ

私は音楽をやる上で“こうでなくてはいけない”という思考を覆していくことを求める意思があって。あとは、“音を楽しむ”“笑顔になれる”ということが大切だと思って作っています

──ハリネコ『roOt.』聴かせていただきました。すごく素敵な声! と同時に胸をわしづかみするパワーも感じます。声質もジャンルも違いますが、二階堂和美さんなどとも通じるような……。沙知さんは作詞作曲、鍵盤と歌をされますが、音楽を作る上でのポリシーなどがあれば教えて下さい。

ありがとうございます。私は音楽をやる上で“こうでなくてはいけない”という思考を覆していくことを求める意思があって。あとは、“音を楽しむ”“笑顔になれる”ということが大切だと思って作っています。女弾き語りでもないし、バンドでもない。私たちってなんだか得たいが知れないですよね(笑)。

このメンバーだからこそできる世界観をパッケージしたくて

──本作は参加メンバーもすごいですね。何か特別なエピソードやこだわりがあって選んでいるのですか? 謎のベーシストも気になりますが(笑)。

2013年に『とうきょう』というミニ・アルバムをリリースしたのですが、そのアルバムを聴いてくださって“弾きたい”と言ってくださった方々にお声がけしました。『とうきょう』と違って次のアルバムはフルレングス、バンド・サウンドでロック色を出したいと決めていたので、どういう返答が返ってくるか不安でしたが、皆さん快く引き受けてくださって、とてもうれしかったです。毎回、作品はこのメンバーだからこそできる世界観をパッケージしたくて作っています。

──本作「roOt.」でも参加メンバーのセンスと技術力が全面に渡って、うまく絡まり合い溶け合って表現されている気がします。それでは各メンバー、アルバム収録曲の紹介をお願いします。

アレンジもバンド全体で行えたことがとても大きかったです。特にドラムのとがし君やギターのRyo Hamamotoさんは、アレンジのボトム作りから携わってくれていて、一人では出てこないアイディアをどんどん出してくれました。Ryo Hamamotoさんのギターは、特に幅の広さというか、卓越したセンスの中でジャンルレスなプレイを沢山出してくれています。彼がSSWであるということも、とても大きいなと感じていて。もともとお互いソロ・ライヴで始めて対バンして、私がいつもやってるポテチと即興する曲で共演したのが出会いだったのですが、本当に奥行きある豊かな音楽性を持っているミュージシャンだなと感じていて。それが今作では全面に出ていて、とてもうれしいなと思っています。

(注:”ポテチと即興する曲”とは、沙知がテーマを弾きつつ、挙手してくれた方にポテチを食べてもらい、その音をモチーフにインプロしていくというインスト曲「ある晴れた窓際で」のこと)

──リードトラック「砂の絵」は構成が特徴的で面白いですね。

すごく嬉しいです。「砂の絵」はとがし君とRyoさんが居なかったら絶対にできないアレンジと楽曲、その完成形だと思っています。また蓮尾君のシンセは、今彼が所属している385やTHE JETZEJOHNSなどでは聞けない「綺麗」とか「オシャレ」なポップ・センスが前面的に出ていると思います。蓮尾君は楽曲をすごく理解してくれて、いちミュージシャンとして心から尊敬しています。要点しかオーダーしていないのに彼のシンセが今作「roOt.」の世界観の軸を作ってくれたと思っています。

──蓮尾さんのシンセ・アレンジはschool food punishmentの頃から素晴らしかったですけど、今回はさらに彼の本領発揮、水を得た魚という感じです。ドラムも面白い暴れ方をしていますね。

とがし君のドラムはホントに器用で多彩、どんなジャンルも的確にこなしてくれます。特に2曲目「真藍の実」のラストは、ロアというバンドのドラムを担っているからこそのアイディアと技術だと思います。とがし君はRyo Hamamoto & The Wetlandのカヴァー曲である「汗とシーツ」のアレンジも担当してくれていて、レコーディングの時点でミキシングの世界観を作り出していました。「汗とシーツ」ではアレンジ・ディレクションを完全にとがし君にお任せして、私も彼のオーダー通りにピアノとVoを録りました。

──洞窟の中でぼんやり聞こえてくるようなドラムの音ですよね。原曲に比べても楽曲が持つ世界観がより際立っているように思います。

出来上がりの美しさに良い意味でびっくりでした! 歌の柔らかさや、メロディーの美しさを引き立てるようなドラムのミキシング。インプロなんですけど、楽曲のアクセントやダイナミクスにきちんと呼応してます。 「汗とシーツ」は元からすごく素敵な曲だからカヴァーしたんですけど、とがし君が新しい「汗とシーツ」を作ったんだなと感じました。

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