【インタビュー】ハリネコ: roOt.

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札幌の石山緑地というところの景色がモチーフになっていて。秋になると札幌は空がグッと高くなるのですが、石山緑地という空間で、その秋の空を見上げたときに流れるように出てきた曲

──ベースについて聞かせて下さい。アルバム中、特にポップな「ハロー、さよなら」でもベースが良い仕事をしていますね。

絶妙なリズムとフレーズ・ラインで、全体的なグルーヴもぴったりでした。その曲を含む2、3、4、8曲目のベースはケイタイモさんなんですが、とってもセンスが良くて、インプロ・フレーズも唸っちゃうほど個性的で素敵です。ライヴではベースを担当していない残る1曲目と9曲目のベースも弾いていただくのですが、これも本当にかっこいいです。作品とはまた違う面白さが感じられると思います。

そして「砂の絵」、「Good-bye dawn.」が謎のベーシスト(笑)。彼女は北海道出身の友達です。ミュージシャンとしてバリバリ活躍していて、フレーズもリズム感もアレンジも卓越したセンスの持ち主です。ワケあって“謎の人”ですが、「思い切り遊んでほしい」というオーダーに対して、ポップスというベーシックを念頭におきながら素晴らしい演奏をしていただけました。

──ベース・ラインが全体を支えてこその楽曲なんですね。マルコシアスバンプの佐藤さんの参加はまた別の意味で驚きですが、しかもベースでなくてチェロ。

佐藤研二さんは以前、別のバンドでご一緒してから色々お世話になっているんです。彼のベースはとっても有名ですが、今回はチェロでお願いしました。参加していただいた「空と風と水の彼方へ」という曲は、頭の中で作っているときから絶対にチェロを入れようと思っていたんです。札幌の石山緑地というところの景色がモチーフになっていて。秋になると札幌は空がグッと高くなるのですが、石山緑地という空間で、その秋の空を見上げたときに流れるように出てきた曲です。

──クラシカルな曲ですが、大空と自然の壮大なイメージがまずあったんですね。

はい、楽しさと美しさが絶妙に混在する佐藤さんのセンスと、とがし君の揺るぎないドラミングで、イメージ通りの世界観が出来上がったと自負しています。佐藤さんへは色々オーダーしたのですが全て応えてくださって、心底すばらしい、と感謝しています。

札幌・北海道出身のバンドって独特のメロディー・センスやエモーショナル感があると思うんです。やっぱり雪を感じるなぁとか

──その北海道といえばeastern youthや、サカナクション、MONOBRIGHTなどを輩出していますが、彼らの音楽はどう思いますか? bloodthirsty butchersの小松さんとは実際に交流がおありのようですが。

はい、bloodthirsty butchersの小松さんとは、前述した佐藤研二さんとお会いしたバンド1/2btb+S.Sというバンドでご一緒しました。他にbloodthirsty butchersの射守矢さんもメンバーで、射守矢さんの曲を主体にインプロを織り交ぜながら作っていくバンドでした。小松さんとはSOSITEで初めて対バンしてご挨拶したんですけど、その後、小松さんから1/2btb+S.Sのお話をいただいたときは心臓が飛び出るかと思いました(笑)。

──bloodthirsty butchersをお好きだというのは一見意外なようで、本作を聴き込むと妙に納得します。

bloodthirsty butchersも勿論ですが、札幌・北海道出身のバンドって独特のメロディー・センスやエモーショナル感があると思うんです。やっぱり雪を感じるなぁとか、ギター・ロック色を感じるとか。その中で、MONOBRIGHTやサカナクションは素晴らしいポップ・センスを持ったバンドですよね。サカナクションは前身バンドから知っていて、個人的にも仲良くさせていただいているですが、特にアレンジ力がずば抜けているバンドだと思います。そしてきちんと“札幌”を意識しているんじゃないかと思います。故郷というよりはルーツという印象で。最近の曲ですけど「ユリイカ」は個人的に一番好きな曲で、歌詞にもとても共感できるし、総じて色々な音楽へ興味を抱き、研究してきてるんだろうなって。草刈愛美ちゃんのベース・ラインは本当に素晴らしいと思います。リズム感がダイレクトだし、短いフレーズもハッとさせられる。彼女はDJもしますが、センス含めて憧れのミュージシャンです。

──あぁ、謎が解けた気がします(笑)。話を戻して、ハリネコの演奏はアヴァンギャルドなようでスタンダードな曲だと思います。アウトサイダー・アートの素晴らしいものが普遍的であるように。

そうですね。アウトサイダー・アートっぽいかも。わりと『とうきょう』出そうと思うまでは誰にも触れないような界隈で黙々と作っていました。本当はもっと早い時期に出したかった作品ですが、エンジニアが決まらなくてレコーディング自体が延び延びになってしまって、今作も担当してくれた鈴木鉄也さんにお会いしてからやっと出せたものです。いつも曲自体は私がかっちり作るんですが、その後はおおまかなオーダー以外は即興セッションのような試行錯誤を経て作ってきました。だから今のようなスタイルがあるのかもしれません。

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