【インタビュー】ハリネコ: roOt.

ハリネコ: roOt.
Interview
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ピアノは三歳から習っていましたが「譜面どおりに弾くことが高評価を得る」ということが、いつのまにか理解できなくなっていました

──『とうきょう』は出だしからびっくりするアレンジで印象的な作品でした。でも通して聴くとポップで耳ざわりのいい作品ですね。

どうしても前作のリード曲「とうきょう」のイメージが強く、ハリネコ自体がアヴァンギャルドだと言われてきたけど、私自身は全然アヴァンギャルドな人間とは思ってなくって(笑)。『とうきょう』収録曲も「とうきょう」だけがクレイジーで、他はおっしゃる通りストレートなポップスばかりなんです。でも他の曲は全くと言っていいほど注目されなかったのが寂しいです(笑)。

──そうだったんですか……。でも本作で評価は変わると思います。素敵なメロディーがあってこそ驚くような展開も生きている気がします。実際、基礎のしっかりした音楽的素養がある方じゃないかと思いました。

よくアカデミックだと言われるんですけど、そんなこと全然ないです(笑)。コードも曲も「これ、なんかいい、響きがいい」という感覚で作ってます。ピアノは三歳から習っていましたが「譜面どおりに弾くことが高評価を得る」ということが、いつのまにか理解できなくなっていました。ピアノは18歳まで続けていましたが、小学校高学年でミニバスに入っちゃって中高とバスケ部だったので、指は硬くなるし、ピアノは練習もロクにせずという状況。譜面は読めるけど初見は苦手ですし、作曲もしますがコードも細かい詳しいことは分からないです。曲の作り方や構築の仕方も習ったことはありません。楽器はギターに十回以上挑戦したけどどうしても挫折してしまって、ピアノだけに落ち着きました。

『roOt.』には “死”にまつわる曲も数曲あります。もっと言えば、輪廻とか、幸せの尺度とか、視点の持ち方とか、ちょっとややこしいことが根底になっています。

──でもプリンスも譜面読めなかったというし、天才的なミュージシャンにも多いですよね(苦笑)。そして即興に行き着くんですね。

即興については、20歳くらいのときに、いきなりステージでインプロをやる機会を得て、「あれ、私にもできるんだ!」と思ったのがキッカケです。それからとにかくいろんな方々と、それはミュージシャンに限らず、テーマをつけたりナシにしたりして毎日のようにインプロばっかりしていました。テーマも「吹雪」とか「夏のビニールプール」とか分かりやすいものから「とんかつ」とかまで幅広く。でも今このテーマでインプロしてって言われたら無理かもしれませんけど(笑)。

──今回の録音についてもお聞きしたいのですが、大谷能生さんが音をほめてらっしゃいますね。特にピアノ。

このアルバムではスタインウェイのグランドピアノを弾いています。状態もとても良いピアノで、何よりすごく綺麗に録れているんです。ピアノのキリリとした中音域や、倍音を含めた柔らかさと温かさ。そしてこのピアノは滑らかな音色が特徴だと感じました。ピアノは長く弾かれると音にムラが出てきます。良く使う音と使わない音が出てくるからなんですけど、今回のstudioDedeのピアノはすべての音が滑らかでした。調律やメンテナンスを担当される方の意思さえも感じられるほど。弾いていてとにかく気持ちがいい! メンバーもエンジニアも、レコーディング時からピアノの音を聴いて幸せな気持ちになるほどでした(笑)。録り音に関しては、エンジニア鈴木鉄也さんのおかげでもあるんです。MONKEY MAJIKなどメジャーの仕事もされている方で、ピアノに限らず生音に対する意識がとても高くて。ピアノの音色に関しては、「汗とシーツ」、「Good-bye dawn.」辺りが聴き所だと思います。

──本当にこだわって録音されたんですね! それでは最後に今回の作品に込めた思いについて教えてください。

『roOt.』には “死”にまつわる曲も数曲あります。もっと言えば、輪廻とか、幸せの尺度とか、視点の持ち方とか、ちょっとややこしいことが根底になっています。公表していないんですが、実は原発問題や今の日本の体制に対する思いをこめた1曲もあります。でも音楽で問題提起をしたいわけじゃなくて、最終的には「音楽は楽しいものである」ということを体現したい。そう思って作品に取り組んでいます。

参加ミュージシャンの皆さんのおかげもあって、『roOt.』は、振り切れてるけどカラフルに仕上がったと思います。できればたくさんの人の日常に流れてほしい。そして自然と近くに寄り添えたらいいなと。音楽的にも普通にポップスやロックを聴く方や、流行の一部として音楽と接する方でも、とにかく新しい音楽はないかな? という人みんなに聴いてもらいたいですね。ちょっとストレンジかもしれませんが(笑)、前作以上にもっと多くの人に聴いてもらいたい。

──お話を通して、本当にポップであることにこだわってらっしゃるなぁって感じます。実際、『roOt.』は朝の通学、出勤前の「行くぞ!」ってときも、疲れたなぁと休日に家で寝転んでいるときも、色々な場面で流れ、色々な人に聴かれると思います。最後に一言お願いします。

アルバム製作メンバーそろってのライヴはとても貴重なので、リリース・パーティーにはぜひ多くの方に足を運んでほしいです。そして思い切り楽しんでもらえたら。よろしくお願いします!

ハリネコ Live
ハリネコバンドメンバー[沙知(vo,key)、Ryo Hamamoto(gt)、ケイタイモ(b/WUJA BIN BIN)、蓮尾理之(syn/385, THE JETZEJOHNSON, SEAGULL SCREAMING KISS HER KISS HER)、とがしひろき(ds/ロア, サンガツ)]

ライヴインフォメーション

『roOt.』release ParTyYY!! at TSUTAYA O-NEST
2014年8月1日(金)
adv¥2300 door¥2800 (+1drink)
open18:30 start19:00

Live: ハリネコ[沙知(vo,key)、Ryo Hamamoto(gt)、ケイタイモ(b/WUJA BIN BIN)、蓮尾理之(syn/385, THE JETZEJOHNSON, SEAGULL SCREAMING KISS HER KISS HER)、とがしひろき(ds/ロア, サンガツ)]、大森靖子 & THEピンクトカレフ、白波多カミン + ハジメタル(ex.ミドリ)、来来来チームにマモル(nhhmbase)と畠山(H mountains)

Food: ウミネコカレー

Ticket: 【前売り予約】『roOt.』release ParTyYY!! メールフォームにて受付中
e+ / ローソンチケット(Lコード: 74767) / O-NEST店頭

ハリネコ試聴リンク

ハリネコ『roOt.』アルバム全曲試聴 – soundcloud

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