【インタビュー】紀州ロックインパクト代表・山野丙午(和歌山GATEオーナー)

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バンドマンって寿命があるんですよ。

──和歌山でロックフェスをやる! と宣言した時、周りの反応はどうでしたか?

「えー! 絶対やめとけ。」みたいな感じでしたね(笑)。「和歌山のバンドで客を300人入れるだけでも大変なのに」「莫大な費用もかかるし無謀や」というのが大半の意見でした。

でもね、引けない理由があったんです。バンドマンって寿命があるんですよ。どんな寿命かというと、大学を卒業する22歳、その次が25歳、そして30歳。僕も学生の頃からずっとバンドをやってたんで経験しましたけど、30歳がギリギリの寿命で、ここが本気でバンドをやっていくかどうか見切りをつける年代だと感じます。

そして、先ほど話した3バンドが寿命を迎えて消滅してしまうと、和歌山の音楽シーンは当分活気が出ないな、っていう直感があったんです。バンドに寿命があると分かっているのなら、意地でも僕が頑張れば、それを伸ばせるかもしれない。悔いのないように思って色々やっていったんですよ。 本当を言うと、もっと準備した方が良かったのかもしれないですけどね。

──勝算があったというよりは、和歌山県でフェスを実現しなければならない理由があったからですね。この3バンドに惹きつけられた理由はありますか?

共通して言えることは、彼らには人間力があるんですよ。

──「人間力」とは具体的にどういったことですか?

言葉にしようとすると非常に難しいんですけれど……、ライヴで観客を巻き込む力がある。「彼らなら何かやらかしてくれそう!」という期待感があります。いろんなアーティストがいますけど、彼らは特にハングリーなんですよ。音楽に全てを捧げてるバンドのライヴって、気迫が凄い。賭けているものが全然違うから感動するんです。彼らは音楽に対して真摯に向き合っているし、音楽への使命感のようなものも感じます。そんなバンドが最近の和歌山のシーンに出てきた。だから後押ししたいと思ったんです。

──では、この3バンドについて教えて下さい。

まず、リリーギャング。生きてて感じたことを時に激しく、時に切なく唄います。ライヴもエモーショナルですよ。感情溢れるライヴが魅力ですね。

──SEX addictはどうですか?

正直、演奏が荒かったり、唄がまだまだ下手だったりします。でも、それらを補えるような、エネルギー溢れるライヴをするバンドです。恋愛について唄っていましたが、今はラヴソングの枠を出て人間への愛を唄うようになりました。突き刺さるような歌詞やメロディーで、ライヴ中に泣いてしまう観客もいます。

──DRAW INTO DISORDERは、和歌山にこんなバンドがいるのか! と驚きました。音像に冷たさを感じるところがかっこいいですね。

確かにあんまり出てこないですよね。ライヴはカオスです。ニルヴァーナに影響を受けているみたいです。 ヴォーカルのHIDEは日本のカート・コバーンやと思います。是非、ニルヴァーナ・ファンに聴いてもらいたいですね。

──和歌山って、のんびりとお人好しが多いといわれる県民性の割に、音楽は激しいバンドが多い気がします(笑)。

激しくて、熱いバンドが多いですね。なんででしょうね?(笑)。パンクの町なんですかね。先輩たちもやんちゃだったんで、その血を受け継いでいるんですかね(笑)。

──では、和歌山以外のアーティストのブッキングについて訊いていきます。今回、一番意外だったのがピエール中野です。今までDJとして出演したアーティストはいませんでしたよね? オファーされた理由を教えて下さい。

彼の全国ツアー時に和歌山GATEでライヴをしたときに、打ち上げで意気投合しまして。それから去年の〈OTODAMA〉では彼がクロージングアクトとして出てたんです。フェスの余韻を感じてるときにピエールさんのDJはぴったりで。気分が最高に上がったんですよね。だから今回、KRIにも絶対来て欲しいと思って。KRIでは、ステージ転換時に地元のDJが音楽をかけてるんですが、ピエールさんにはクロージングアクトとしてステージを再び盛り上げてもらうつもりです。

──今年はガガガSPが初登場ですね。

バンドでの出演は初めてですね。コザック前田さんがソロで出てくれた年は、実は最初、バンドにオファーを出していたんです。でも、ベースの桑原さんが入院してしまって。去年もオファーを出していたんですが、残念ながらタイミングが合わず……。だから今回、ガガガSPとしては3度目の正直で、今年は何もないことを祈ります(笑)。

コザックさんと僕は歳が近いんです。リスペクトするミュージシャンの1人です。一世風靡されましたからね。今も現役だし、刺激を受けてます。それに、和歌山のバンドのことも可愛がってくれているんですよ。だから和歌山にとっても重要というか……、兄貴的バンドです。ライヴも勿論かっこいいですからね。

──初登場バンドからもう1つ、HAKAIHAYABUSAですが、私は彼らの曲を初めて聴いて、一瞬で好きになりました。ものすごくいいですね!

いいでしょ!? かっこいいでしょ!?

──はい! アメリカ西海岸を感じるリラックスした雰囲気も最高です。会場の片男波のビーチに合いそうですよね。

そうなんですよ! 彼ら自身も言ってましたもん。「片男波の会場に僕ら絶対合いますから!」って(笑)。メンバーのMobyさんが和歌山出身ということもあって、前から呼びたいリストには入ってたんです。向こうもこのフェスを知ってくれてたみたいでね。アーティストの間で「地元にフェスが出来て頑張ってるんやから、力にならんとあかんで~。」みたいな話になっていたらしいです。BRAHMANのKOHKIさんも和歌山出身で、彼がMobyさんに「1回、話聞いてきて」という話もされたらしいですね。それで、Mobyさんが和歌山に帰ってきたときに、向こうから話がしたいと言ってくれて。それから話し合いの場を設けて意気投合しました。「僕らにも力貸させてください」と。そのとき、偶然アーティスト枠が1つだけ空いていたんですよ! ほんとタイミングいいなと思って。それで決まったんです。

──運命的なものを感じますね!

そう、HAKAIHAYABUSAのために空いてたみたいな(笑)。

Author Profile

稲垣 有希
常春の和歌山県出身。ハイレベルな大阪人のツッコミに揉まれながら日々奮闘中の90年生まれ。音楽を聴かない友人をお誘いすべく、マイペースに書き始めました。みんなでRISING SUN ROCK FESTIVALへ行って、ロックを聴きながらスープカレーを食べるのが現在の目標です。
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