【インタビュー】my letter『my letter』

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my letterまつもと(G)のエフェクター。ライブハウスnanoにて(2014年11月30日)

my letterまつもと(G)のエフェクター。ライブハウスnanoにて(2014年11月30日)

私は友達や知り合いのバンドに聴いて欲しくて。「デモしか出さへんの?」「CD出さへんの?」って声をかけてくれた人たちに。

──ライヴと作品の話につながるわけですね。ありがとうございます。話は変わりますが、京都で活動してきた中で、やりやすさはどうでしょうか? 近年はライヴハウスもたくさんできていますよね。

おざわさよこ : やりやすいんじゃなかな? ライヴハウスには学生バンドが出やすいし、うちらはノルマとかもなかったし。ウェルカムな感じやし。ちょっと面白いなと思ってもらえて、東京のバンドと共演することが多くなったんですよね。

キヌガサ : ツアーサポートみたいな感じで。

おざわさよこ : nanoが多くて。オワリカラとかと演奏しましたね。BEDとかの京都のバンドではないチャンネルを開いてくれたのはライヴハウスやと思います。同じくらいのバンドの年代の人と比べると、いろんなバンドと演奏している方やと思うんですよね。パンクの人ともできるし、わりとメジャーに近いバンドとできたのはよかったです。

──京都ライヴハウス事情についてはどうでしょう。

おざわさよこ : 京都にあまり出なくなったよね?

キヌガサ : 誘われてから面白そうだったら出るということしかやっていなかったんですよね。

おざわさよこ : nanoに誘われたら出るし、メトロアバンギルドグローリーにも出るし。

キヌガサ : 京都に関して言うと、ライヴハウスでやると距離が近いんです。どういうことかというと、知り合いだったり、バンドマンだったりして、「こいつ知らん」って人が少ないんですよ。キャパのレベルもありますけど。だから手厳しいかもしれませんね。若いバンドが年上のバンドのステージを見ていて「絶対こいつら超えたるぞ」みたいに思っていることは多いのではないかと。それが僕らにも影響を与えている。

キャシー : 京都はお客さんも楽器ができるんですよ。だから求められるものが違うんですよね。大阪にも呼ばれますけど、バンドマンじゃないけどバンド好きの人がイベントをやっているんです。京都だとボロフェスタはバンドマンがやっていますよね。

おざわさよこ : 私はいろんなライヴハウスによく行きます。でも自分のバンドにあまり関係ない気がする(笑)。山田さんはどうですか?

──僕が京都に来たとき(2008年)は祇園にハードコアやパンク、あとはドープなヒップホップイベントをやっているウーピーズがあったんですよね。今よりもジャンル的に分かれていた感じがありました。

キヌガサ : あぁ〜。そうですね。

キャシー : グローリーとか何でも出てるもんね。

おざわさよこ : でも、若い感じだよ?

キヌガサ : ウーピーズ感とオルタナ感がはっきり分かれているというか。

おざわさよこ : ウーピーズ感がある日はすごいよね(笑)。

──そう言った点では、今、立命館で行われている学内ライヴはそれをよく表しているのではないかと思います。近かったようで遠かったバンドが一緒にやっている。my letterが今、共演している状況もそうなのではないかと思いました。

おざわさよこ : なるほど~。最近はメトロやアバンギルドでやっていますけど、BEDとかdOPPOってウーララネガポジのイメージがあったんですよね。この前、久しぶりに平日のネガポジへ行ったんですよ。弾き語りの人ばかり出ていたんですけど、ノーチャージでやっていて、めっちゃ人いて。ネガポジはバンド感が無くなっちゃったから、変わっていったんだなあと思いました。京都感あるバンドはウーララとネガポジというイメージが自分にはありました。

キヌガサ : ライヴハウス毎の特性をあまり感じてなかったから、my letterはホームがなかったかもしれない。

──my letterは「京都っぽい」っ言われないですよね?

キヌガサ : いやいや、言われますよ。

おざわさよこ : 東京行ったらめっちゃ言われます。

──えっ?? そうなんですか?

おざわさよこ : 飯田さん(OTOTOY / Limited Express (has gone?))に「一音聴いただけだけ京都っぽいね」って言われましたよ(笑)。「自分たちでそう思ってる?」って聞かれて、「いや、ちょっと分からないです」と(笑)。

キヌガサ : 京都外から見るとそうなんですよね。

──東京に居た頃は、京都っぽいのは歌モノのイメージがありますけどね。京都に来てから、いろんなミュージシャンが活動していることを知って、間近で聴いて、だんだん薄れてきましたけど。

キヌガサ : BEDはすごく京都っぽいなと思います。

おざわさよこ : くるりや、つじあやのはネガポジっぽいと思う。磔磔とか。

キヌガサ : 掴みづらいところ。ポップっぽいけどよく分からないところが京都っぽいと言われる理由なのかな。少なくともストレートではない。「僕らが東京っぽいよね、このバンド」と思うのと同じ理由じゃないかと。

──関西の人にどう聴いて欲しいかを聞きたいです。東京のレーベルから出しますし。

おざわさよこ : 大阪とか神戸は近いですけど、あまりライヴをしてきてないですからね。先ほどの話ではありませんが、「大阪っぽい」「神戸っぽい」というのはイメージがあって。自分たちとは合わないかなあと思っていたんです。この前、初めて神戸のライヴハウスに出たんですけど、近いのに全然つながりが無かったからCDを聴いてもらえたらなあと思います。

キヌガサ : 僕はあまり地域性に興味はないんですよね。レーベルは東京ですけど、あまり距離を感じていないからかもしれません。自分たちか、その他の聴いてくれる人たちかの違いだと思っていたので、関西の人に向けてというのはないですね。

──my letterは7年間やっていて、京都の人にとってはある意味、お馴染み感があるじゃないですか。そういう人たちに向けては何か思いますか?

キヌガサ : 昔からmy letterを知っている人にとっては、音やギラギラした部分などは変わっちゃったので……。好きか嫌いかで分かれると思います。正直、聴いて欲しいという気持ちはありますね。距離が近いバンドだからって褒める必要はないと思いますが。ただ、音が悪いからよくわからない、ということはないはずです。聴いてもらったら何かしらの反応が得られる、いわゆる世に出ている音楽になったかなと思います。

キャシー : 私たちのライヴ見ていて、音源を聴いたら「あれっ?」てなるかと思います。

おざわさよこ : 私は友達や知り合いのバンドに聴いて欲しくて。「デモしか出さへんの?」「CD出さへんの?」って声をかけてくれた人たちに。

キャシー : 悪い方か、いい方か、転がる方向は分からないけど、「思っていたのと違う」となるはずです。それが好きか嫌いか。ライヴでのmy letterとは違うんですよね。聴いてもらいたいですね。面白いと思いますよ。

キヌガサ : そういう点では期待に添えるか分かんないっすよ(笑)。

キャシー : もっと違う面が好きという人にとっては逆をいくかもしれないですし。

おざわさよこ : ライヴを見てピンとこなかった人は感じるものがあるかもしれないですし。

キャシー : うん、そうなの。

キヌガサ : 音源はかっこいいけどライヴは微妙やな〜っていうのも嫌いではないので(笑)。

まつもと : 知り合いという知り合いには全員聴いて欲しいし。石川県のバンドマンにも!

インタビュー後記

11月のある夜、京都河原町の地球屋(ライヴのフライヤーを壁一面に貼っている居酒屋)にてmy letterの面々とレーベルオーナーである& records畠山実さん、そして岡村詩野さんと団欒していたときのこと。アルバム『my letter』を一足先に聴かせてもらったので、聴き終えた感想を伝えた。

「my letterってライ麦パンだよね」

と。「はて?」と困惑するか、もしくは笑うかという二者択一を迫る感想であるのだが、以下の理由を挙げたい。ライ麦パンは酸っぱいというイメージがあると思う。確かに独特の酸味があり、好き嫌いが分かれるパンだ。ライ麦はグルテンをほとんど形成しないため、ドライイーストや果実を使った酵母で発酵させることはできない。そのため、ライ麦粉と水を混ぜて作る「サワードウ」という酵母種を必要とする。このサワードウは乳酸菌が発生するので、ちょっとパンチの効いた酸味が発生するのだ。間違ってはいけないのだが、ライ麦粉自体に酸味はない。

サワードウで発酵させたライ麦パンの焼き上がり時は、非常に酸味が強い。ちょっと顔を歪めるような酸っぱさである。だが、不思議なことに1日経つと、酸味が徐々に抜けていき、円やかになっていく。焼き上がり後よりも食べやすくなる。更にはクラスト(外皮)のカルボニル化合物がクラム(中身)に浸透していき、風味も全体に広がる。

何が言いたいのかというと、my letterのアルバムには円やかさがあるのだ。ついこの前までは、その鋭利なサウンドは彼らの持ち味であったが、メンバーチェンジによって、次第にふくよかになり、音は色彩を帯びていった。時間が経つことによる変化はライ麦パンの様ではないだろうか。だが、決してその酸味が無くなったわけではなく、どこか機会を伺っているというか、ちょっとしたパンチも忘れていない、通好みな部分も似ている。薄くスライスしてサンドイッチなどのバリエーションで食べるように、このアルバムも少しずつ、いろんな場所で聴いてみると、新しい発見があるのだと思う。

12月にリリースというのも共通項が見える。ドイツや北欧などの寒い地域では、低温に強いライ麦が欠かせない。冬のアルバム、冬のパン!

日本でも市民権を得つつあるライ麦パン。my letterも多くの人に届いてくれたら、願わくばこの7年間で彼らが出会ってきた人たちも、音源に向き合ってくれたら。という想いを胸に秘めつつ、今日もアルバムを聴いている。最後に。この作品は最初から最後まで聴き終えると、意外とどっしりとしていることに気がつく。まさにライ麦パン的なのが『my letter』というわけです。

my letterのアルバムとベッカライ福十(富山)のドイツパン「ミッシュ・ブロート」

my letterのアルバムとベッカライ福十(富山)のドイツパン「ミッシュ・ブロート」

my letter ライヴ・インフォメーション

my letter企画〈1st アルバムリリースパーティー東京編〉
日時:12月20日18:00〜、場所:池袋ミュージックオルグ
出演:my letter / ゆーきゃん / HELLO HAWK / H MOUNTAINS / Taiko Super Kicks

タワーレコード京都店〈インストアライブ〉
日時:12月21日15:00〜、場所:タワーレコード京都
出演:my letter

ehon presents〈BOOKSHELF〉
日時:2015年1月17日、場所:金沢vanvanV4
出演:ehon / my letter / VIVARTA / noid / NINGEN OK

my letter企画〈1st アルバムリリースパーティー京都編〉
日時:1月24日、場所:京都二条グローリー
出演:my letter / CARD / the mornings / LOW-PASS

日時:2月7日、場所:徳島CROWBAR
出演:my letter / & more

日時:2月21日、場所:熊本NAVARO
出演:my letter / & more

my letter『1st album - my letter』

my letter
my letter
& records, 2014年
BUY: Amazon CD & MP3, タワーレコード, iTunesで見る

Author Profile

山田 慎運営者、sweet music、PAINLOT
1982年東京生まれ。東京新宿で過ごした後、2008年夏にふらっと京都市へ移住。フリーペーパーを製作した後、sweet musicとしてライター、音楽ライター講座in京都の企画、インタビュー、Web制作などで活動中。紆余曲折を経てパンの水先案内人PAINLOTというプロジェクトを開始。ex. CRJ-tokyo、OTOTOY
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