【四国の音楽シーン大調査!】ライヴハウス、レーベル経営者から見る四国の音楽

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井川晃里さん運営のTOONICE店内

井川晃里さん運営のTOONICE店内

四国四県それぞれ色があるんです。

──話は変わりますが、実際に四国でお店を持つ前と今のイメージの違いはありますか?

井川 : 覚悟はしてたので、そんなに印象の変わりはないです(笑)。僕自身、四国でずっと音楽活動をやってましたし、香川にもライヴとかで来る機会もたくさんあって。だから“いいとこも悪いとこもあるだろな”とは思ってました。でも、思っていたよりいいかなと(笑)。時間が経つにつれて、どんどん愛着も湧いて、この場所自体も好きになってます。だから、2年目の今、やれてよかったなと思ってます。来年にどう思ってるのかはわからないですけどね(笑)。

──大阪や東京などの都市と比較すると、集客や知名度を上げたりするのも難しいと思うんですけど、何らかの対策をしていますか?

井川 : 都市に比べると、リスナーよりもバンドマンがライヴを観にくる機会が多いと思うので、地元のバンドマン同士を仲良くさせたいとか、バンドマンの表情を見てもらえるイベントがしたいなとは思っています。あと、トークイベントなどで、もっとお客さんが来やすい環境にしたいです。バンド側にはいい音楽やいいライヴを提供してもらえるように、話し合いながら色々と決めていけたらいいですね。

東京とか大阪に比べると、四国のお客さんっておとなしいじゃないですか。楽しみ方は人それぞれあっていいと思うんですけど、もうちょっと楽しめる感じにしたいなっていうのが、今の目標の一つでもあります。それが課題ですね。そういうのができてきて、楽しい雰囲気ができれば、もっともっと人は増えてくれるかなと信じてます。

──先ほど、地元のバンドマン同士が仲良くできる場所にしたいとおっしゃってましたが、それは井川さん自身がバンドマンとして活動しているうちに思うようになったのでしょうか。

井川 : そうですね。単純に自分が人と人との繋がりが好きで音楽をやっている理由でもあるので。結構暴力的な言い方をすると、人と人の繋がりがなかったら、音楽なんてなくてもいいんじゃないかって思ってて。酒飲むのが好きな人は、友達と酒を飲んで楽しいっていうのと同じで、人とつながって、いい音楽とつながって、仲いい友達と集まってライヴをやって、その友達のバンドがかっこよかったら、もっと最高じゃないですか。自分が十何年と音楽をやってきて、続けるモチベーションというか、一番助けてもらってる部分がつながりだと思うんで、それは知ってほしいなと。それを知った上でどうかっていうのは、本人たち次第だとは思うんですけど。だけど、“自分たちだけで、音楽やってるってるんじゃないよ”と、お客さんにしても共演者にしても、いろんな人との関わりがあって、面白くなってると思うので、そういうのはもっと大事にしてほしいなってのはありますね。

──先ほどお店を始める前と今のイメージはあまり変わらないっておっしゃったと思うんですけど、四国だからこその喜びとか苦労とかありますか?

井川 : やっぱり人が少ないっていう(苦笑)。でも、それでも“もうだめだ”って思うことはないですね。人が少ないと言っても、知り合ってつながっていける人がいてくれるのは一番嬉しいですからね。出会える数が少ない分、出会えたときの感動はでかいですし。2年近く香川でお店やってますけど、いまだに新しい知り合いとかつながりとか増えてるんで。今は新鮮で刺激的です。だから、まだまだ面白くなるだろうとは思いますね。

──次に井川さんが思う四国の音楽シーンの現状について教えていただけますか。

井川 : 面白いと思います。四国四県それぞれ色があるんです。愛媛は新しいライヴハウスが増えて、何年か前から野外フェスも始まったりしています。

徳島も〈秘響〉っていうイベントがあって、その人たちが学生を巻き込んで面白い企画をずっとやっています。今はもっともっと広げて、「GOODNESS team」っていうのを作って、この前も祖谷の温泉宿を使った〈GOODNESS onsen〉でスチャダラパーを呼んだり。山奥なんですけど、ちゃんとお客さんも入って、チケット500枚ソールドさせたりとか。だから「GOODNESS team」は今後面白いことをやっていくと思います。

高知は高知で、すごく独特な文化です。パーティー野郎が多いんで(笑)、クラブイベントも面白いし。

すごく積極的に動いている人たちがいて、四国四県それぞれが面白い動きがあるので、一緒になにかやっていけると、もっともっとすごいパワーになると思います。よそと比べてどうってのはわからないですけど、逆に四国に来てびっくりして帰っていく人も多いと思うんですよ。バンドの人とかも、「こんなに人が入るとは思わなかった」とか、「こんなに盛り上がるとは思わなかった」とかっていう声が結構多いです。毎回とか、全部が全部そうっていうわけではないと思うんですけど、頑張ってる人がいて、そこに賛同してついてきてる人がいて、ちょっとずつ環境も変わってきてると思うんです。それも今、まさに動き出してるタイミングだと思うんで、これからどうなるかはわからないですけどね。

でも、大阪に行ってライヴをやって、“四国は駄目だな”とは思わないです。いい部分を見て、もっと四国にいいものを還元しようとは思ったりするけど、“もう四国でやりたくねえ”とは思わないですね(笑)。よそが良ければ、地元でもっともっとやりたいって思うんですよ。だから、今はほんといい環境じゃないかなって思います。ちょっとずつ(四県の繋がりも密接になって)四国内も狭くなってきているとは感じてて、僕自身、愛媛のライヴハウスの人とかともお互いにバンドを紹介しあったり。

これは以前から定期的にやってたんですけど、今度、〈秘響〉と共同企画をやる予定です。高知でも自分がバンドをやってるんで、そのイベントで関わったりとか。それがもっとお客さん同士とか、バンド同士とか、ライヴハウス同士が細かくつながったら、たぶんもっと面白くなると思います。ちょっとずつそうしたいなと思いますね。

──では、具体的に香川代表としてやりたいことは〈秘響〉とのコラボであったり、高知でやっていくということでしょうか?

井川 : 一番というと、やはり香川にいるので、香川をいい感じにしたいなと思いますね。そのために高知や徳島、愛媛とのつながりをこっち(香川)に持ってきたいっていうのがありますね。外の刺激をもっと中に入れたいです。

──〈Impulse FEST〉の開催もありますが、香川を盛り上げるために何か考えていることはありますか?

井川 : 今やっていることが、自分の中ではとりあえずの精一杯かな(笑)。香川ではなかなか見ることができなかったバンドをTOONICEに呼んでお客さんに観てもらったりだとか、いろんなバンドが共演できる場所を作るっていうことですね。やっぱり何が一番やりたいかって言ったら、バンドとかライヴなので、まずはそこですね。大きいことっていうよりは、生活にもっと音楽が浸透すればいいなっていうのがとりあえずの目標です。学生なら学生で、学校終わったら一回、家に帰って制服を着替えても、そのままでもいいから、ライヴをぷらっと観に来たりだとか、社会人の人がスーツのまま来て、酒飲みながらライヴ観たりっていうのが、日常生活のひとつになればいいかなって。ライヴは特別なものではあるんですけど、もっと生活の中に入っていけたらなというのが目標ですね。

──四国の音楽シーンについて調査するにあたって、香川、徳島には有名なアーティスト来るけど、高知、愛媛にはなかなか来てくれないと感じていますが、それについてはどう思われますか?

井川 : 単純に橋があるかないかですよね(笑)。徳島だったら、「なるとの淡路の橋」があって、こっちだと「瀬戸大橋」があって。単純にアクセスがいいと外からの人も来やすいですし。だから、お客さんの面でも徳島、香川は来やすいってのがあるんじゃないですかね。岡山からも来れるし、大阪や神戸からも来れるし。でも、だからこそ、愛媛や高知って独自のものがあって面白いと思うんです。表現は悪いですけど、閉鎖されてるから自分たちで工夫してやらないとって部分があるから、面白い人が多いなとは思いますね。いい部分と悪い部分があると思いますけど。

──最後に、井川さんおすすめの四国のバンドを教えてください。

井川 : いっぱいいるんですけど香川で言ったら、自分のレーベルから出しているlook at momentっていうバンドは、結構自分がやってたバンドを観に来てくれたり、慕ってくれてた子たちです。同じ様に自分たちで独立してやっていきたいって子たちだから、観ていてすごくいいなと思います。

迷走ループっていうギターロックというか歌もののバンドは同年代で、ずっと一緒に頑張ってやっていますね。

レトロカラーコレクション(2015年9月5日にライヴ活動休止)っていう、ギター・ロック、歌ものバンドの子たちも、ツアーをたくさんやったり、イベントをしています。“若い子を育てよう”と言ってゲストを呼んで、若手と共演させて刺激を与えさせたりしています。

軍鶏っていうバンドの子も、自分たちがライヴをするためにお店を開いたり、若い子を育てようと言ってイベントを主催しています。

四国外にはなかなか名前は届かないかもしれないけど、すごくいいバンドはいっぱい居るんですよね。SQUADっていうバンドは僕が高校生の頃から観ていたような大先輩バンドで、今観てもすごい先輩だなってくらいかっこいいライヴをやっていたりだとか。Deadpuddingっていう、バンドもめちゃめちゃいいバンドだし。

だから、めちゃくちゃいいバンドは多いです。実際に観てほしいですね。香川に来て観てくれるのが一番いいですし、外に行ったときとかに関西とか関東でも観てもらえたらいいなと思います。四国のバンド特有の四国臭さがあると思うんで(笑)。

インタビュー後記

TOONICEでは、音楽だけではなく、漫画について語り合ったり、おでんを食べながらライヴを観たり、格闘ゲームナイトというイベントがあったりと、ジャンルにとらわれない企画が盛りだくさん! 普段、あまりライヴハウスには行かないという人でも、アットホームな雰囲気なので、ぜひとも気軽に足を運んでいただきたいです。私自身、18年間四国の愛媛で過ごしてきましたが、ここまで四国の音楽シーンが盛り上がっているとは知りませんでした。四国在住の方はもちろん、四国以外に住んでいる方にも、ぜひとも四国の音楽に触れていただきたいです!

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