BADBADNOTGOOD Japan Tour 大阪: at 東心斎橋CONPASS: バッドバッドノットグッド
- By: 杉山 慧
- カテゴリー: Live Review
- Tags: BADBADNOTGOOD


BADBADNOTGOOD Japan Tour
at 東心斎橋CONPASS
BADBADNOTGOOD
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「Osaka! Are you Ready!!」
「Yeah!!」
「Osaka!! Are you F**k’n Ready!!!!!」
「Yeah!!!!!」
「1! 2! 3! 4!」
のカウントで鳴らされるカオティックなサウンドと共に、前方ではモッシュが、そして発狂にも似た歓声が会場に木霊する。
大阪は東心斎橋CONPASSで行われたトロントの3人組バッドバッドノットグッドの初来日公演の一コマだ。アレックス・ソウィンスキー(Dr)、マット・タヴァレス(Key)、チェスター・ハンセン(B)の3人からなるマッドでオッドでホットな新世代ジャズ・トリオだ。温故知新系レーベルとして注目を集めているInnovative Leisureが契約しただけあり、彼らもジャズがベースにありつつも、ヒップホップを通過した尖ったサウンドで注目を集めている。この日の枠に収まらない衝動に満ちたパフォーマンスは、そんなレーベルカラーを体現していたように思う。

この日のセットリストは、デビューアルバムとなる最新作『III』から「CAN’T LEAVE THE NIGHT」「Cs60s」。さらに注目を集めるきっかけとなったオッド・フューチャーのカバー「Busterd / Lemonede」。そしてフライング・ロータス「Putty Boy Strut」では、原曲のコミック的な面白さをアダルトなモノへ変換。さらにジャム・セッションを差し込みテンポを速めるなど、彼らのクールだが沸き起こる若いエネルギーに溢れた一面を押し出したステージとなった。
特に「KAleidoscope」と「Bugg’n」はその中でも際立っていた。前者では、徐々に熱を帯びていくドラム、それに応えるかのように鳴らされるキーボードのエモーショナルな音色で惹きつけられる。そこに哀愁あるベースラインが入ってきたときの緩和と緊張が入り混じるサウンドが展開される場面は、混沌としていながらも美しかった。そして、ハドソン・モホークとLuniceのユニットTNGHTのカバー「Bugg’n」では、原曲同様、金属音の混じるメロディーラインが狂気を思わせる独特な世界観を築く。さらにBPMを上げることでピーク・ポイントはより激しさを増す。そこがジャムセッションの如く何度も繰り返される。それに圧倒され箍の外れた観客たちの歓声は、いつしか奇声となり思い思いにブチまけられていた。その様は動物園の檻の中にいるような錯覚を起こすほどであった。
そんなアグレッシヴなパフォーマンスをする彼らだが、観客と集合写真を撮ったり、1人1人と目を合わせながら握手してステージを後にする様は、とても礼儀正しい普通の青年であった。そのアーティスト然としていない所が、彼らの初期衝動的なエモーショナルなサウンドを生み出しているのだろう。

