【ライヴレビュー】CHIODOS JAPAN TOUR 2015 at 大阪心斎橋OSAKA MUSE
- By: 増澤 祥子
- カテゴリー: Live Review
- Tags: CHIODOS


2015年2月8日 at 大阪心斎橋OSAKA MUSE
Craigにはどこまでもドキドキさせられる。鬼気迫る表情で歌い終えた途端にハニかむのがいちいち可愛い。大柄な30男だが男性でもそう思ったと断言しよう。ただ勿論そんな話だけじゃない。
2000年代スクリーモ/ポスト・ハードコア・シーンの一翼を担ったミシガンの6人組Chiodos(チオドス)。これを圧倒的なカリスマ性で率いたのがCraig Owens(Vo)だ。曲構成の変態さが際立つ1st、妖しく演劇的な2ndで人気は盤石に。しかしなんと、カリスマは強制脱退させられる。共倒れではと危ぶまれる中、Craigはエモ界隈の猛者を集めDestroy Rebuild Until God Shows(以下D.R.U.G.S.)を結成したが、2012年に復帰。ファンは大いに歓迎した。
ただ私は、結局戻ったのか、と正直思っていた。脱退中の3rdは2ndの路線を進めた、皆の心配を一掃する内容で、一方D.R.U.G.S.も、よりストレートだが素直にのれて愛聴していたからだ。なので、大阪には6年ぶりで(〈PUNKSPRING 2014〉は東京のみ)強く待ち侘びてはいたものの、今の状態について冷めた目線も持っていた。
が、ライヴが始まると懺悔した。華、と簡単にいうが、それは経験を積めばついてくるわけではなくやはり天賦のもの。フロントマン然とした振舞いや煽り方など文句のない存在感を放つCraig。しかも格段に上手くなった歌唱で説得力が増している。特に初期の曲ほどアップデートされていることが如実。重い部分も美しい部分も、慣れ親しんだ音源の音じゃない。次々届けられる“知っているけれど初めての曲”に、自ずと観客の熱気は高まった。初期の曲だけではなく、復帰後の4thの曲、更にメロディと歌詞はD.R.U.G.S.名義で収録された曰く付きの「Thermacare」に至るまで大合唱。またバラード曲の情感も格別で、ピアノと歌だけで始まる「Intensity In Ten Cities」など堪らなかった。
たった1時間だったが密度は濃く、ChiodosはやはりCraigがいてこそかと思うに十分だった。大阪がアジアツアーの最後で、メンバーに何度も感謝を述べていたことやその親密な様子に、色々あっての今かと思うと胸が熱くもなった。しかし現メンバーの半分がサポートで、全く安心できないのも現実。妙な変容をせずただ 強度を増しているバンドは貴重なだけに、急がず地面を固め、我々を興奮させ続けてほしいと強く願っている。

Devil
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