『dj sniff、ダウトミュージックを斬る。』リリース記念LIVE大阪: at 難波ROCKETS: bonanzas, 半野田拓, mn, WADA SHINJI

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dj sniff: dj sniff、ダウトミュージックを斬る。

2014年7月5日
『dj sniff、ダウトミュージックを斬る。』リリース記念LIVE大阪
at 難波ROCKETS
WADA SHINJI, mn, 半野田拓, bonanzas
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アムステルダムのSTEIMで長年ディレクターを務め、現在は香港を拠点に活動するターンテーブル奏者dj sniffの『dj sniff、ダウトミュージックを斬る。』リリース記念として行われた今回のイベント。

トップバッターはbirdFriendから『PANA CUT 8 / PANA 8』をリリースしたばかりの和田晋侍。彼がフロア中央にセッティングされた巨大なドラムセットの前に座ると、ピンと張りつめたような空気が会場を包む。それはこれから最後の出演者まで続くであろう大音量のノイズの世界の扉の前に立ったことへの緊張感のようにも思えた。先日pulpで行われたライブは会場の都合上、(本来)大音量での演奏はできないという状況の中で行われたものであったが、この日はもちろん音量制限はなく、和田は全身を使ってアンプリファイドドラムを叩きまくり、その度強烈なビートと彼自身も制御しきれていないようなノイズが放出される。「これは想像の更に上をゆくイベントなのではないか?」。そう感じさせるスタートでイベントは幕を開ける。

和田のフロアライブからほとんど間を空けることなくステージ上で演奏を始めたのは、ダウトミュージックの主宰者でもある沼田順と、非常階段やINCAPACITANTSで活動するT.美川によるユニットmn。ノイズの要素は強いものの、あくまで生ドラムによるビートを中心に構成された和田のライブに比べると、こちらは純粋なノイズミュージックに聴こえるが、2人のギターとエレクトロニクスによる即興演奏は、次第にノイズのキャッチボールを見ているかのような感覚に陥ってくる。こんな歪なやり取りを成立させてしまう、2人の蓄積された知識と経験を垣間見ることができた。

次はこの日の主役でもあるdj sniffと兵庫のインプロ奏者半野田拓によるセッション。このあたりから若干耳の状態が気になりつつあったのだが、dj sniffがDJ卓を自在に操り生み出した深く、そして溶けていくようなノイズ、半野田がサンプラーを中心にしながらも、時折気まぐれかのようにギターを弾いたり、ハイハットを叩くことによって、多彩な音色が加わり心地よい時間が流れる。

フロアに流れる空気を一変させたのが次に登場したbonanzasだ。今回はmnとして出演しているT.美川を迎えて特別編成での演奏。元々、bonanzasのサウンドは簡単に言えばベースとドラム、そしてノイズという三つの要素で成立しているので、ライブが始まったときは正直、普段の彼らとの違いは大きく感じることはできなかった。しかし演奏が進むにつれ、T.美川によるノイズに引っ張られるかのように、バンド全体の音の破壊力が増していくのが分かる。吉田ヤスシの原始の叫びのようなボーカルも、いつにも増して迫力がある。フロアの熱気もどんどん上がる中、日野が髪を振り乱しながらライブは終了。

興奮冷めやらぬ中、dj sniffの演奏がスタート。ターンテーブルに乗せるアナログレコードを次々と変えていくことで、ノイズから四つ打ちまで自由に音を変化させていく。6月にリリースされた『dj sniff、ダウトミュージックを斬る。』は大友良英によるフィードバックノイズ作品など、過去リリースされてきたダウトミュージックの作品を、dj sniff自らセレクトし、カットアップとエフェクトを加え再構築したもの。この日のライブもそうだったが、彼は本来1つの作品として完成している楽曲やレコードを解体し素材として利用している。楽曲の持つオリジナリティやメッセージは一切放棄される。ただただ音に身を任せればいい。目の前で鳴っている音だけが真実なのだと感じさせられたステージだった。

今日のようなイベントはそう何度も観れるものではないだろう。東京以上に大阪では少ないかもしれない。聴きやすさを排除したノイズミュージックに、カットアップとコラージュで構成されたライブ。今回のイベントは自分にとっても音楽の聴き方が少し変わるきっかけになった。そして願わくは大阪の街はそういう刺激の中心であってほしい。なおki-ftでは、本日出演したbonanzasの中心メンバーであり、まさに今大阪で最も注目すべき人物、日野浩志郎のロングインタビューを公開予定。こちらも是非チェックして頂きたい。