EARTH JAPAN TOUR 2014 大阪: at 東心斎橋CONPASS: アース, 山本精一ユニット
- By: 増澤 祥子
- カテゴリー: Live Review
- Tags: EARTH, 山本精一


EARTH JAPAN TOUR 2014 at 東心斎橋CONPASS
Live: EARTH, 山本精一ユニット
“奇跡”の初来日からわずか2年。短期間での再来日実現は嬉しい驚きだった。グランジの辺境でドローン・ドゥームの道を拓き、後続のサン O)))やBorisへの影響が有名なアース。大阪公演では山本精一との素晴らしい組合せとなった。
一人ゆるりと登場し「30分ほどやります」と前置きした山本。ギターと机に並べたエフェクターによる即興ノイズ一本勝負。ギターを掻き毟りエフェクターをいじる。上がる音圧に、身体の限界に挑戦している気分だ。ノイズの大きさにフレーズもよく分からない。CONPASSごとガタガタ震え、地震かと錯覚するほどの轟音。アンプまで触りだした狂気の沙汰はケーブルを引き抜き終了した。器官が壊れてしまいそうだが、仕方ないと思えるような格好良さだ。

ANGELS OF DARKNESS, DEMONS OF LIGHT 1 (エンジェルズ・オブ・ダークネス、ディーモンズ・オブ・ライト 1)
Daymare Recordings, 2011年
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立派な顎ヒゲで渋い風貌のディラン・カールソン(G)のギターには、子供向けキャラクターのシールが。可愛いような怖いような。アースの9月発売の新作『プリミティヴ・アンド・デッドリー』は、”ダークなアメリカーナ的作風の近作からヘヴィ寄りに回帰、ライブもその流れに準じる”と聞いていたが、実際の印象は近作とも初期ヘヴィドローンとも違っていた。遅いテンポで緩やかに流れる反復のメロディは美しく、音が大きいわけでもない。だが途轍もなく重い。鈍く太く重いのだ。ミニマルなフレーズは思考を内側へ誘うが、想像したのは闇の中恐ろしく長い半径でゆっくり振り回され遠心力を感じる様。初期の「Ouroboros Is Broken」も”有名な曲を”と始めた「The Bee Made Honey In The Lion’s Skull」も確かにヘヴィだった新曲群も、ありえない空想をかきたてる稀有な音像だった。もう、心地よすぎる。

PRIMITIVE AND DEADLY (プリミティヴ・アンド・デッドリー:+bonus track)
Daymare Recordings, 2014年
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ドローンはライブにこそ醍醐味がある音楽の一つだと思う。この日もまさに全身でそれを”体感”した。そんなアースの音との共演に、身体に訴えるノイズを選択した山本もニクい。ぐったり疲労するまで徹頭徹尾音の波に飲まれる快感は、なかなかやめられそうにない。