古川本舗 .QV. 大阪公演: at umeda AKASO
- By: 富樫 重太
- カテゴリー: Live Review
- Tags: 古川本舗


古川本舗 .QV. 大阪公演
at umeda AKASO
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出端から和田たけあき(G)の歪みがうねる「スカート」で幕を開けた、男女のヴォーカルを含む6人を率い来阪したポップミュージシャン・古川本舗のワンマン。2009年から活動を開始し、昨年11月に3rdアルバムをリリース。今年ようやくバンドでのライヴ活動を始めた彼らだけに、僕らは長く音源のみでのリスナー経験を積んできた。それだけに、前半の憂いの中にある轟音や壮大さを忠実に再現した演奏に鳥肌。特に「グリグリメガネと月光蟲」での和田のノイジーなギターソロ、耳に染み付いたタイミングで打ち鳴らされる森信行(Dr)のドラムに、心が、体が、揺さぶられないはずがなかった。
後半は森がカホンに、仁村学(Ba)がウッドベースに持ち替え、アコースティック編成へ。切ない詞と裏腹にメロディーに多幸感溢れる「Good Morning EMMA Sympson」。新曲「Hail against the barn door」は久保裕矢(Key)の鍵盤ハーモニカとキクチリョウタ(Vo,G)、和田、古川(G,Syn,Vo)のアコギ三本が絡み合い、醸し出される長閑さにうっとり。音源ではYeYeをフィーチャーした「family」を演奏すると、ジャズの即興性も取り込んだ「ピアノ・レッスン」では観客の手拍子をも利用した回し飲みパフォーマンス。古川が大阪、キクチが兵庫出身とあって、トークも関西弁が飛び交うなど、笑いのポテンシャルも見せつける。
再び通常編成に戻り、締めの定番となったロックナンバー「アン=サリヴァンの休日」、アンコールで「girlfriend」へ。大阪初登場となった、女性ヴォーカリスト・ちびた(Vo)の歌に合わせて、観客は腕を大きく揺らし、詞を口ずさんだ。去り際には7人が手をつなぎ、劇団のように深々と礼。個人制作から、ゲストヴォーカル制を経て、現在の固定メンバーへ。まだ日は浅いが、この日は古川がシンセに触れたのは2曲程度に留まり、よりギターの音圧を感じた。ライヴごとに異なる表情を見せることからも、まだ実験を繰り返していることが伺える。既に次回の公演が楽しみだ。