【ライヴレビュー】完全にノンフィクション: at 扇町para-dice

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完全にノンフィクション: MUSESSOU COMMUNICATION

完全にノンフィクション
MUSESSOU COMMUNICATION
studio another place, 2014年
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一年間の活動休止宣言から10ヶ月。活動休止声明文には、「完全にノンフィクションのことですから、また神出鬼没に現れるでしょう」とあったが、その日が訪れた。NUMBER GIRLの系譜を感じるオルタナティヴ・ロックを鳴らす彼らから、2014年7月25日に「MUSESSOU COMMUNICATION」のデジタルリリースと同時に発表された今回のライヴ。対バン形式のイベントだったが、彼らの出番となり場内が暗転すると、沸き上がる歓声。その瞬間から扇町para-diceは、完全にノンフィクションの独壇場と化した。

3人が一気にフロアに轟音を鳴らす。「ベッティー!」と別所英和(Vo, G)を呼ぶ声がそれに応える。別所が「大阪、元気出していこか! 踊れー!」と咆哮し、「開幕戦」を披露。上野(B)がモーション大きく、フロアを煽る。一方で、淡々と時に激しくギターをかき鳴らす別所。熱量そのままに「MUSESSOU COMMUNICATION」へ。リフレインされるメロディに揺れるフロア。アウトロではステージの3人が攻撃的な音圧をフロアにぶつけた。

「活動休止期間なんですけど、夏やしライヴしたいと思ってたら、めっきり秋ですね。完ノンは夏の歌ばっかりやのに。だから、夏はまだ終わってないですよ?」と別所が語り、フロアからは野次や笑い声が聞こえてくる。「この曲で夏を終わらせましょう」と始まったのは「アイスキャンデー」。ギターがロングトーンで叙情感たっぷりに響く。そして3人が視線を合わせ、バンドの音を加速させる。淡々と歌いあげる別所の姿が、楽曲の持つ寂しさをぐっと高める。そして、新曲を挟み、佳境を迎える。「大阪! ラストー!」と何度も叫び、フロアのヴォルテージが最高潮を迎えたところで、「DRUNK NEWCITY」を披露。曲中に惜しみなくあがる歓声と、お酒片手に踊るオーディエンスの姿は、この日の盛り上がりを、完ノンにしっかりと伝えただろう。それに応えて、ギターを高らかに掲げる別所。圧巻のライヴで堂々と本編終了!……とはいえ久々の復活を、すんなり終らせる筈がない。再登場したメンバーは「生ビール下さい」と一言。渡されたビール片手に「10ヶ月ぶりの再会に!」と乾杯。アンコールに披露されたのは「aVico」! 立ち回れるスペースがなくとも、それぞれが激しく音に身を任せ、躍動する。上野が衝動のままにドラムに突っ込み、彼らのライヴは完結した。

夏をみんなと感じたいと挙行されたライヴ。私自身含め、足を運んだオーディエンスは、変わることない完ノンのライヴ空間を目の当たりにし、彼らの本格的な始動に更なる期待を高める機会となったことだろう。あくまで神出鬼没、そして一度現れれば、常に最高を更新していく。久々に観たライヴで、その事実を改めて実感させられることとなった。

Author Profile

佐藤 ワカナ音楽ライター、DJ
1988年生まれ。音楽フェスの為に全国津々浦々。邦楽ロックに軸足を置いています。不定期でDJやったりもしてます。小説よりも漫画派です。