【ライヴレビュー】京都音楽博覧会2014
- By: 杉山 慧
- カテゴリー: Live Review
- Tags: Sam Lee, Tomi Lebrero, Yasmine Hamdan, くるり


自分としては、初めて訪れた”おんぱく”。普段の梅小路公園のほのぼのとした雰囲気とは違い、人で溢れかえるフェスらしい独特の雰囲気。ここではフェスの主旨である新たなアーティストとの出会いを体現していた3組を振り返る。

NUEVA KAN ZE ON 新観世音
大洋レコード, 2009年
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この日のトップバッターであったアルゼンチンのバンドネオン奏者トミ・レブレロ。陽気な楽曲での鍵盤を弾く様は、休日の午後にピッタリであった。普段あまり耳慣れないラテンのリズムによる区切り方はバイブスの違いを感じると共に普段触れている音楽の外にある広がりを目の当たりにした。彼が日本の俳人”松尾芭蕉”について書いた曲では、サビでの「マツオバショウォォオ!」にざわめきと共に笑いが起こり、会場に一体感を生んだ。
レバノン出身で現在フランス活動しているSSWヤスミン・ハムダンは、ギター、キーボード、ドラムを引き連れたバンドセット。岸田繁も大絶賛した「ベイルート」のようなオーガニックなサウンドはこの曲のみで、ダイナミズムを持ったサウンドをバックに、腰を動かし妖艶に歌い上げる。その歌声は芯のあるとエコーをかけ優しく包み込む声、その時々により使い分けられていた。そんな彼女からはジェシー・ウェア以降、健在化してきた女性SSWの流れを感じた。

グラウンド・オブ・イッツ・オウン(国内盤特典:DVD付き)
PLANKTON, 2013年
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イングランドの民謡を語りかけるようにやさしく包み込む歌声でカバーするサム・リー。古の歌に琴や三味線と言った、イングランドから見れば異国の楽器を組み合わせたリアレンジをはじめ、異文化が現代の京都で混じり合う様は異質かと思いきや、語り継がれてきた音色は溶け合っていた。それは子守歌を思わせた。
親しみを込めて”おんぱく”と呼ばれている、京都音楽博覧会も今年で8回目。京都の街では、もう夏の風物詩となっているのだろう。会場の周辺には、近所の子供たちが休日のピクニック日和を嬉々として楽しんでいた。屋台もフェス飯の域を越えており、筆者は有機トマトを使ったオムライスを食べた。その後、ピクニック気分でつい公園で森林浴をしてしまう程であった。転換時に梅小路公園に隣接された京都水族館のイルカショーがちょうど見れるのだが、それも含め音楽と街が繋がっており乙なものがあった。




YA NASS(国内盤初回特典:ボーナスDVD-R付・解説・ブックレット訳付)
PLANKTON, 2013年
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