【ライヴレビュー】LOSTAGE GUITAR TOUR 2014: at 大阪十三FANDANGO
- By: 増澤 祥子
- カテゴリー: Live Review
- Tags: LOSTAGE


LOSTAGE GUITAR TOUR 2014
いつからこんなに歌詞が聴き取れるようになったのかな、なんてことを『GUITAR』を聴きながら思った。3人になった頃の変化が如実なのか。ただそれ以前からも、徐々にヴォーカルが”楽器の中の一つ”という体裁ではない鮮明さを得ていたようにも思う。
陰のある色気をまとった荒々しさと同じくらい、稀有なメロディセンスがLOSTAGEの魅力なのは自明だ。その”歌”にピントを絞った新譜『GUITAR』のツアーは、しっかりアルバムの色が反映されたものだった。まず『GUITAR』から3曲、MCを挟み「BARON」「楽園」「SURRENDER」「ガラスに映る」と、強弱ありつつメロディの良さが沁みる過去作を。そしてまた新作と続くセットリストで、ライヴ自体のまとめ方・届け方まで丁寧な印象を受けた。五味岳久(Vo, B)の切なく暖かい歌い方や聴く者に深く刻み込むようなベース音、五味拓人(G)の表情を変化させながら歌うギター、岩城(Dr)は音数が減ろうとむしろいつも以上の存在感で。ひとたまりもなく酔わされてしまう。
ただ、そんなじっくり聴き惚れる雰囲気が変わる場面も。ワンマンならではの長めのMCでは「湿っぽいバンドがあっても良い。」「おっさんの客多い……長いけど腰大丈夫?」と、観客と笑いや穏やかさを共有。また「DOWN」「ひとり」「カナリア」「人間ロボット」と激しさを畳み掛けた場面では異様な盛り上がりに。この日の空気を一転させ、そもそもの持ち味である凄まじい強度を見せつけた。油断というと違うけれど、「ひとり」でがっちり呼吸を揃えてキメられた時など、もう完全に打ち抜かれてしまった。

Guitar
THROAT RECORDS, 2014年
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この日のEn.1が「海の果実」「手紙」でEn.2が「2:50」。今でもライヴの終盤に組まれる初期の美しい名曲だが、立て続けに聴かせる終わり方は珍しいと思う。この3曲、音源では歌詞カードがないと正直歌詞は分からない。音の持ち味で歌詞が鳴る原曲も十分格好いいのだけれど、今のLOSTAGEは歌も着実に届けられる。更に深く刺すことができる。その意思を体感し終えた観客からは熱い溜息が漏れた、そんなライヴだった。