【クロスレビュー】LOSTAGE GUITAR TOUR 2014: 京都ライヴハウス磔磔
- By: 関西拠点の音楽メディア/レビューサイト ki-ft(キフト)
- カテゴリー: Live Review
- Tags: bloodthirsty butchers, LOSTAGE, おとぎ話


LOSTAGE GUITAR TOUR 2014
ゲスト:おとぎ話
言葉に、生活に寄り添う音楽を彼らは鳴らし続ける
夏も終わろうとしていた8月21日、磔磔ではLOSTAGEの新しいアルバム『Guitar』に伴ったツアー「LOSTAGE GUITAR TOUR 2014」が行われていた。ツアー2日目となる今日はおとぎ話を迎えての対バン。音楽性の違いから、この2組が対バンをすると聞いて驚く人もいるかもしれない。しかし、LOSTAGEとおとぎ話は過去に何度か対バンしており、お互いが認め合うほどに相思相愛である。そして、私は今日のライブを観たことで2組にある親和性を感じた。
「LOSTAGEの新しいアルバム『Guitar』を聴いて、こんなライブがしたいって思いながら今日やる曲を選びました」と有馬和樹(Vo, G)が言って始めたのは、人間の弱さや脆さを素直に唄った「WHITE SONG」。そしてLOSTAGEがおとぎ話の楽曲のなかで大好きだと言っていた「COSMOS」では最高潮の盛り上がりをみせた。この曲には牛尾健太(G)が様々なエフェクターを使いその場で曲のイントロを作っていくという、聴いていて思わず引き込まれてしまうような演出がある。悲しみや苦しみでさえ優しく包み込んでくれるような温かい雰囲気を持つ曲であり、そしてそれが一層感じられる演奏であった。
そんなおとぎ話の演奏に応えるかのように始まったLOSTAGEの演奏は凄まじい勢いであった。私は初めて生で彼らの演奏を観たのだが、その1音目から3人とは思えない音圧に圧倒されてしまい、茫然としてしまった。「1曲1曲味わいながらやるのもいいですね」と五味岳久(B, Vo)が言うように、ひとつひとつの言葉を噛みしめるように唄う姿や感情に身をまかせながらも丁寧な演奏をする彼らの姿は観る者を惹きつけた。アルバム『Guitar』はメロディと歌詞を大切にして作られた“歌もの”の作品である。だから「言葉が刺さる」という感覚が生で聴くとさらに強く伝わってきた。最後に演奏された「2:50」はこのツアーのアルバム収録曲ではないけれど、人間の生々しい感情が歌詞に表現されていて、この曲は今日のライブに似合いすぎていたように感じた。
LOSTAGEとおとぎ話の音楽において、私が感じた親和性とは「人間の弱く繊細な感情を絶妙な言葉とメロディで生々しく表現し伝えようとする」ということだ。別に汗をかくほど暴れたわけでもないのに、何か熱く感じさせたこの2組をまた一緒のステージで観られるのを楽しみにしている。(レビュアー:奥田 みお)


京都ライヴハウス磔磔
お互いの敬意がハハコグサを咲かせた京都の夜〜サラバ世界君主
ジミ・ヘンドリックス、ルー・リード、カート・コバーン……。ロック・ギタリストの系譜を引き継ぎつつも、京都の夜に音色を鳴動させたのは、おとぎ話の牛尾健太とLOSTAGEの五味拓人だった。LOSTAGE『GUITAR』リリースツアー京都編は老舗ライヴハウス磔磔での開催。両バンドは限られた時間の中で、互いに最大限のリスペクトを贈りあい、大いなる世界君主=ギタリストへの胸いっぱい愛を捧げた日になった。
おとぎ話の有馬和樹は「発売日にCDを買って、今日のセットリストを決めた」と言う。それほどの熱意を持って挑んだ公演だと言うことは、現場にいた者たちに伝わっていた。とにかく”少年”のように純粋無垢で無邪気なパフォーマンスだったのだ。ギターを弾くのが楽しくて仕方ない、と言わんばかりの牛尾は「White Song」で王道のリフを円やかにキメる。
五味岳久が好きだという「COSMOS」も演奏。曲には“手紙を書くよ”という歌詞があり、彼らは想いを綴ったそれを読んでいるかのようなライヴを披露する。「15年間バンドを続けて、一番対バンしたくて一番CD買ってるのがLOSTAGEです。『GUITAR』は言葉が刺さるアルバム。そして言葉が馴染むバンドだと思っています。」という有馬の言葉が、今でも記憶の片隅にしっかりと残っている。
LOSTAGEはもちろん、最新作を中心としたセットリスト。岩城智和の重厚感のあるビートに五味弟のリフが重なり、兄のベースがうねりだす。それは彼らのバンド・スタイルであり、骨格だ。だが、アルバムでは”唄”や”言葉”に重きを置いた部分が垣間見られる。おとぎ話に呼応するかのように演奏された、花にまつわる曲「Flowers / 路傍の花」がそれを証明していた。実際、ライヴでは以前よりも詞が明瞭に耳へ響いてくる。今作を代表する「Good Luck / 美しき敗北者達」から、6分30秒に及ぶ名曲「2:50」で締めたのは印象的だった。
ハハコグサの花言葉には「いつも思う」「忘れない」といった意味があるという。両者はバンドを続けて約15年。苦楽を共にし、bloodthirsty butchersの吉村秀樹にも敬意を贈った日を迎えられたことが、1ファンとしてただただ嬉しく、フィードバックするディストーション・サウンドの余韻に包まれながら帰路についた。(レビュアー:山田 慎)

Guitar
THROAT RECORDS, 2014年
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