見放題2014ウェブサイトより
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見放題2014ライヴレビュー (レビュアー:安井 豊喜)

大阪にある心斎橋。いつもはオシャレな若者が集まる街だが、年に1度、昼間からリストバンドをした音楽好き達が走り回る日がある。それがライヴサーキットイベント〈見放題2014〉である。今回で6回目を迎え、今年も120組ものアーティストが出演し熱演を繰り広げた。

見放題2014 COMPILATION CD『ここにある音楽6』
見放題2014 COMPILATION CD『ここにある音楽6』

〈見放題〉に参加して思うのは“素晴らしいバンドにたくさん出会える”という事である。見放題ではスタッフが様々なバンドのライヴを自分たちの目で観て、厳選して毎年出演交渉を行っている。そのため、名前は知られていないバンドも多いが、楽曲やパフォーマンスの水準は非常に高い。また、参加者には『ここにある音楽』という出演したバンドが収録されたCDが付き、新たなる出会いを後押しする。

金 佑龍: ナイトクルージング
金 佑龍
ナイトクルージング
Flake Sounds, 2014年
BUY: FLAKE RECORDS, Amazon CD

今回、私自身も様々なバンドを観た。3人だが技巧的なピアノサウンドと力強く伸びのあるハイトーンボイスで観客を圧倒したENTHRALLSやスカパラ時代のナンバーまで飛び出し会場を熱狂の渦にした冷牟田竜之率いるTHE MANも素晴らしかった。しかし、とりわけ印象に残ったのが金 佑龍と京都界隈であった。サウンド・チェックからそのまま「金 佑龍と京都界隈始めます」といい、心地の良いサウンドが会場を包む。観客も椅子に座り音に身を委ねていると、「僕の歌にはお酒が合うんで、歌を聴くよりも皆さんお酒を飲んでくださいね」と笑いながら観客に語りかける金 佑龍。そして、お店にこの時だけお酒代を値引きして欲しいとお願いしたのだ。これには観客から歓声と拍手。そこからスタートした「Pora Pora」でスタンドアップを促し、お酒を持った観客は座っていた椅子関係なく踊り、一瞬でダンスフロアに変えてしまった。ライヴバンドとしてのポテンシャルの高さを遺憾なく発揮した素晴らしいライヴであった。

さて、この見放題だが来春には東京で開催が決定しており、どのようなイベントになるか今から大変楽しみである。まだ出会った事のない関西の音に出会える、〈見放題〉は今、どんな夏フェスより注目すべきイベントである。

見放題で感じた東京について (レビュアー:富樫 重太)

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Lyu:Lyu
ディストーテッド・アガペー
SPACE SHOWER MUSIC, 2014年
BUY: Amazon CD, タワーレコード

東京にいるよりも東京を感じた一日だった。リストバンドを引きかえ、最初に見た3ピースバンド、Lyu:Lyuはネット発の印象が強かった。しかし、ギターを搔きならし、吐き出し嘆くように内省的な詞を歌い上げる姿は、遡ればSyrup16gら下北沢周辺で活動するロック・バンドの系譜にあるものだった。最初に披露した「メシア」での、コヤマヒデカズ(G,Vo)の重低音で震えるような危機迫る歌声は、最近ではamazarashiの秋田ひろむと同じ部類に入る、直接心臓に訴えかけるものがあった。サウンド自体に真新しさはなくとも、(陳腐な言葉だが)ダウナーな世界観で少年少女の心をつかむ。その力があるバンドだと思った。

Suck a Stew Dry: ジブンセンキ
Suck a Stew Dry
ジブンセンキ
Lastrum, 2014年
BUY: Amazon CD, タワーレコード

MUSEで演奏したSuck a Stew Dryももろに下北沢で活動する5人組のバンドだ。こちらはSyrup16gの系譜を感じさせつつも、明るくポップに、その中に皮肉を隠し味にしている点が全国区に名を知られつつある所以か。この日も篠山コウセイ(G,Vo)が途中で会場を後にする観客を見ながら「あぁ、どうせみんなアンダーグラフ見たいんでしょう」とぼそり。こういった自虐や諦観が、笑いや、同じようにひねくれた人々の逃げ道になるのかもしれないと思った。不平不満を歌い上げることにすら疲れ切った「さとり世代のロック・バンド」と言えそう。

Grand CafeではShiggy Jr.が大阪のごみごみとした雑踏を踊れるシティ・ポップ空間に変え、DROPではふぇのたすの萌えとゆるさに溢れたサウンドがあくせくとタイムテーブルを片手にアメ村を動き回る関西人に炸裂。大阪に似つかわしくない2つのバンドが、初見の観客が多いアウェーの中で存在感を示していた。

Shiggy Jr.: LISTEN TO THE MUSIC
Shiggy Jr.
LISTEN TO THE MUSIC
MONA RECORDS, 2014年
BUY: Amazon CD, iTunes Music Store

下北沢から渋谷、あるいは秋葉原の空気をも感じた今年の見放題。来春には東京で開催されるそう。詳しい場所は分からないが、THE ORAL CIGARETTESや夜の本気ダンスら、関西で盛んな高速ギター・ロック勢が下北沢で暴れるのか。あるいはHAPPYや花泥棒らの洋楽ロックを独自に昇華する若手有望株が渋谷で異彩を放つのか。今度は逆に、関西音楽の風が東京に吹きこむ瞬間を見たい。

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