【ライヴレビュー】No Kobe Vol.2: at 神戸KOMAYA: Fake Dub Band ft MC Kuuki

No Kobe Vol.2: at 神戸KOMAYA: 会場内
Live Review
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No Kobe Vol.2: at 神戸KOMAYA
〈No Kobe Vol.2〉 2014年8月23日 at 神戸KOMAYA
Act: Fake Dub Band ft MC Kuuki, O’summer Vacation, フジタコウヘイ, Bumberboom +3

中古レコード屋が徒歩圏内に多数ある神戸のJR元町駅前。その中にRock’n Roll Aidなるレコード屋がある。膨大な音楽知識を持つ魚住店主と話すために常連客が後を絶たない。今回取り上げた〈No Kobe〉は、ここの常連であった子守翔平氏に、店主が話を持ちかけて実現した企画。第2回目も前回と同じく、JR神戸駅にある喫茶店Komayaで行われた。神戸の街に住んでいるお店の常連たちが集まるその光景は、音楽を介した地域の繋がりを体現したアットホームなイベントだ。出演者は、主催者・子守翔平氏のノイズバンドBumberboom +3、大人の哀愁が滲み出るメロディーと歌声のフジタコウヘイによる弾き語り。ベース一本でグッドメロディーとノイズを行き来するO’summer Vacation。そして、Fake Dub Bandの4組。これは単なる近所のパーティーでは終わらないと思い、ここで取り上げた。

それはFake Dub Bandを見てしまったからだ。実はこのバンド、魚住氏がお店に来ていたお客さんに声掛けて結成に至った。彼らのサウンドは、どっしりと構えたドライヴ感のあるベースが基調となり、そこにドラムの抜き差しで、グルーヴを生み出す。さらにワウペダルで歪ませた浮遊感のあるギターの3人で構成されるヒップホップ・ライクな生バンド。そこにヒップホップを通過したポエットのように、日頃の鬱憤を撒き散らすMC Kuukiがヴォーカルを加える。

春歌が元になっている「なかなかづくしB-boy version」では、日本の音頭のメロディにファンキーなグルーヴ。自然と受け入れてきたメロディに、盆踊りのように踊ってしまう。特に「どしたー、どした」のフレーズは、脳裏に残る心地良さがある。この日はタイラー・ザ・クリエイター「She」のカバーも披露。ゲスト・ヴォーカルの安藤摩耶は十代という若さでありながら、抜群の歌唱力披露。感情を吐き出すMC Kuukiのラップとのコントラストには、深く惹き込まれた。

Tyler, the Creator: ゴブリン
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ゴブリン
Hostess Entertainment, 2011年
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そして、この日のハイライトは「Sense of Wonder」だ。肝となるベースライン、ここを聴いているだけで、心地よいグルーヴに浸れる程。ドラムがアクセントつけ、ギターが時に荒々しくズブズブとしたノイズで絡む。楽曲が盛り上がるほどストレートに感情をブチまけ、曝け出すボーカルは、冷めた視点と荒々しさが同居する面白さがある。東京ではSANABAGUNが注目を集めているが、神戸には彼らがいると言える日も近いかもしれない。

次回の〈No Kobe〉は、場所をはじめ規模が拡大する模様だ。地域の繋がりが新たな音楽シーンを作っていくことを、いま実感している。音楽は人を繋げるのだ。

No Kobe Vol.2: at 神戸KOMAYA: 会場内
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