The Foglands presents『Hats Off Blues』Release Party: at 京都二条nano: The Stone That Burns, POST MODERN TEAM, And Summer Club
- By: 峯 大貴
- カテゴリー: Live Review
- Tags: And Summer Club, POST MODERN TEAM., The Foglands, The Stone That Burns


The Foglands presents『Hats Off Blues』Release Party
Live: The Foglands, The Stone That Burns, POST MODERN TEAM, And Summer Club
京都は立命館大学在学中の4人組ブルースバンド、The Foglands初の全国流通盤『Hat Off Blues』のレコ発パーティ。戦前ブルースからモータウン~パブロックを経由、00年代ロックンロールリバイバルなどを丁寧に聴きこみ、自らの音楽に昇華していくそのサウンドは京都・大阪を中心にじわじわ話題を呼んでいる。昨年から数度彼らのステージを見ている筆者としては、京都シーンの中でだけでなくジェイク・バグやザ・ストライプスらと並び称すことも出来るヴィンテージ・サウンドへの試行錯誤を応援している。だがその一方で生真面目すぎる部分がステージングにも現れており、何か一つタガが外れる瞬間を待ち望んでいた。

生き埋めVA
生き埋めレコーズ, 2014年
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この日の出演者は彼らを含め関西インディーロックの祭典の様相を呈するような、顔ぶれが揃う。京都在住のハタチ前後の若者がレーベルを始めたことで話題を呼んでいる「生き埋めレコーズ」のV.Aにも収録された、大阪の4人組 And Summer Clubがトップバッター。ローファイな80’sパンクサウンドはへなちょこで学生ノリの部分はあるが、ひと癖あるベースフレーズやメロディが妙にほっとけない気分にさせ、シーンの中で可愛がられながらの成長が期待できる存在である。続くThe Stone That Burns、POST MODERN TEAMといったフォグランズよりも先輩格のステージはフォグランズへの温かいエールを送っているかのように感じた。今でこそ洋楽志向を持ったインディーロックバンド百花繚乱の関西であるが、2000年代からその地盤を作ってきたのは彼らなのだ。

Hats Off Blues
Helter Skelter Records, 2014年
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そしていよいよフォグランズがスーツ姿で登場。籠島(B)によるピアニカがダウナーに響く「Caricature」から静かに始まる。島川(Vo,G)のエピフォン・カジノのナットが割れてしまうアクシデントは気合いの表れか。これまでの彼らのステージを見ているとフロントマンである島川のクールでニヒルな佇まいこそがバンド全体のイメージでもあった。しかしこの日は籠島が積極的に観客を煽り、辻(G)は顔全体でギターソロを弾くような豊かな表情を見せ、大橋(Dr)のスティックはいつもより多く回っております。メンバーそれぞれの感情とキャラクターが露わになり、正しくロックのお作法に乗っ取ったような理想の盛り上がり。彼らの楽曲はあまりに熟れている、が故に様に見えるためにはテクニックだけではなく、ルーツミュージックを文化として理解することで醸される佇まいが必須だ。そういう意味でも彼らの演奏力が楽曲にようやく追いついた瞬間を見たような気分であった。
新作でも最後を飾るさわやかなモータウンチューン「Backward Pawn Blues」でアンコールを終えた後、nano店長の土龍から“はよ、も一曲やれ~”との合図に答えて再登場。“曲がないです…”と島川がつぶやきながらザ・リバティーンズの「Don’t Look Back Into The Sun」を弾き始める。会場全体でシンガロングが巻き起こる、彼ららしいインディーロックパーティのシメだ。今後はヴィンテージなサウンドを追い求めるのではなく、新時代のヴィンテージ・サウンドを生み出す旗手への期待がかかるフォグランズ。まだまだ伸びシロがあることを感じられた、末恐ろしいライブであった。
