【レビュー】DENIMS『NEWTOWN』

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DENIMS『NEWTOWN』

DENIMS
NEWTOWN
自主制作, 2014年
BUY: FLAKE RECORDS, ライヴハウスほか

大阪が誇る最高のパーティーバンド、それがDENIMSだ。2012年の終わり頃、元AWAYOKUBAのメンバー3人に岡本悠亮(G, Key)が加わり、大阪は堺で結成。ゆるりとした雰囲気から繰り出されるDENIMSサウンドは、結成から今までライヴに軸足を置いてきたからこそ、彼らの音楽はどんな状況も一瞬にして自分たちの空間に変えてしまう求心力を持っている。そんな彼らが数々のデモ音源を経て、2014年8月24日に、自主制作ながら1st EP『NEWTOWN』をようやくリリース。ほどよい脱力感と、キラリとエッジを効かせたテクニックを絶妙なバランスで配合された、彼ららしい名刺代わりの一枚になっている。

冒頭を彩るのは「Newtown」だ。身体を任せるのに丁度良いBPMにのせてハミングが聴こえる。スキップしているかのような軽い足取りを感じさせるベース・ラインが愉快に聴こえてくる。陽気なダンスの後には、肩の力がすっと抜けたようなイントロで始まる「Goodbye Boredom」が続く。眠たい朝の始まりと、特にこれといった目的がない退屈した日常を、まったりと表現する。後半には、カントリー・ミュージックを思わす、レトロで温かみのあるギターの音が高らかに響き、ぐんとテンポをあげていく。チャカチャカと陽気に刻まれるギターのカッティングと、せきを切ったように流れ出すメロディーを聴いていると、とりあえず外に出て楽しくやろうぜ! と音が語りかけているように思えてくる。小難しい顔してじっくり聴こうなんて野暮! と言わんばかりに、あっけらかんとしたサウンドが、ゆるやかな空気のなかで語りかけてくる。

このようなルーツ・ミュージックを感じさせる脱力系ポップ・サウンドと対を成すのが、ブラック・ミュージック的な要素を色濃く感じさせるサウンドだ。今作では「EIEIEI」や「たりらりら」がそれにあたる。「EIEIEI」では、ヒップホップ的な感覚で詰め込まれたコトバをベースやギターのシンプルな音を添えて次々と畳み掛ける。サビでは彼らの持ち味である脱力感を感じさせるコーラスを聴かせつつ、ほんのりジャジーな雰囲気を醸し出す。そして、リフレインされるビートに、気付けば体が反応しているのだ。

今作『NEWTOWN』は、たとえて言うなら昼と夜、子どもと大人といったように、対になるサウンドが収められている。総じて気張らないゆるやかな雰囲気の中にも、どんなタイプのリスナーの心も掴んで離さない全方位型のキャッチーなサウンドがキラリと光る。彼らの音楽を聴いた者全てを巻き込んでいくその様は、まさにビッグなパーティーのよう。だからこそ、私は彼らを“大阪が誇る最高のパーティーバンド”と称したい。

Author Profile

佐藤 ワカナ音楽ライター、DJ
1988年生まれ。音楽フェスの為に全国津々浦々。邦楽ロックに軸足を置いています。不定期でDJやったりもしてます。小説よりも漫画派です。