【レビュー】7分43秒に及ぶレトロ・モダンを行く旅路のテーマ曲 | HAPPY『WOWWOW』

HAPPY『WOWWOW』
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HAPPY『WOWWOW』
HAPPY
WOWWOW
自主制作, 2018年3月3日
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2012年結成5人組シンセ・ポップ・バンドHAPPYは2010年代の関西において最も破竹の勢いで全国にまで名を轟かせたバンドの一つだろう。出身が京都北部の綾部市ということも含め京都市内のライヴハウスシーンとは距離感があり、むしろ1stアルバム『HELLO』(2014年)は60~70年代のサイケデリアを受け継ぐ同年結成のテンプルズなどイギリスのロックシーンの動きと共に捉えられることが出来た。

1990年代前半生まれの同世代ではドリーム・ポップやチルウェイヴを携えた宝塚出身のThe fin.、立命館大学ながらサークルとは離れて結成されたモダン・ブルーズ・バンドThe Foglandsあたりが関西という磁場に対してどこか不導体であった境遇で、共鳴したバンドだった。しかし2015年を皮切りに3組とも大きく舵を切る。The Foglandsは解散、The fin.は海外に目を向けイギリスに移住、そしてHAPPYはメジャーデビュー一歩手前で踏みとどまり、EP『To The Next』以降自主イベントやZINEの発売などはあったが、一旦鳴りを潜めることとなる。このはぐれ者ながら関西音楽の幅広さを体現していた3組の離散は2010年代の関西インディーロック・シーンを前・後期に分けるほどにガラッと彩りを変えた重要なトピックの1つだとも言える。

そして昨年久々に発表されたのがミニアルバム『STONE FREE』だ。これまでサウンドの旗印であったシンセの音が減退、グラム・ロック風の表題曲を筆頭にカラッとしたグレート・ヴィンテージ・サウンドをD.I.Yで醸造し、再登場したのである。

そこからさらに約半年、リスタート第2弾となるのが本シングル。バンドワゴンからあえて降りレトロ・モダンのルートを自分の足で踏みしめゆく。7分43秒に及ぶ「WOWWOW」はそんなHAPPYの旅路のテーマ曲と言えるだろう。結成当初からのレパートリーであり、これまで様々にアレンジを変えてきたという。冒頭はクイーン「ボヘミアン・ラプソディ」を思わせるアカペラ・パート。ヴォコーダーのエフェクトにより雄大に幕が上がる。しかしロック・オペラでもなく、プログレッシブな展開も皆無。BPMを65まで落とし、自らの歩幅で行くシンプルなフレーズとメロディ、Alec(G,Vo)とRic(Syn,Vo)による流麗なコーラスワークだけでサイケデリアへと引き込み、するっと8分弱が過ぎた世界にワープしてしまう恐ろしくドラッギーな仕上がりだ。牧歌的なグルーヴにはビートルズ「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」も理想郷としてイメージ出来る。

しかしこれでも彼らにとって本作は経過報告に過ぎないかもしれない。ルーツとなる過去の世界中の素晴らしき響き=“Wonders Of the World”を取り込み「WOWWOW」はまだまだ変化し続けるだろう。それでも龍が冬眠から目覚め鼻を水面から出した波動のように衝撃は十分。The fin.もイギリスでの修業期間からついに先日新作『There』をリリースしたぞ。ここから再び起こせよ、HAPPYのムーヴメントを。(峯大貴)

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峯 大貴
峯 大貴
1991年生まれ 音楽ライター 兼 新宿勤務会社員 兼 大阪人
CDジャーナル、OTOTOY、Mikikiなどで執筆。
過去執筆履歴などはnoteにまとめております。
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