【レビュー】平賀さち枝とホームカミングス『白い光の朝に / 江の島』
- By: 森 豊和
- カテゴリー: Disc Review
- Tags: ホームカミングス, 平賀さち枝


白い光の朝に / 江の島(7inch)
SECOND ROYAL, 2015年
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モータウン風のリズム、躍動感あふれるホームカミングスの伴奏を得て、平賀さち枝の歌がより伸びやかに表現されている。それは表題曲だけなく、平賀の持ち歌の再録音であるB面曲でも同じだ。
そのB面曲「江の島」から私は、同じくモータウン・ビートを応用した曲、DODDODO「猫がニャ~て、犬がワンッ!」を連想した(YouTube)。同曲にはneco眠るが二階堂和美を迎えて録音したカヴァーも存在する(YouTube)。元は打ち込み中心で作られたものを、neco眠るがバンド演奏し、二階堂が歌うことによって新たな魅力が生まれている。あるミュージシャンが作った曲に、気の合う仲間が手を加えることでお互いの魅力を増幅し合う光景が聴こえてくる。その点でこの2曲は成り立ちが似ている。
しかもだ。このコラボレーション・オリジナルであるA面曲「白い光の朝に」で、ホームカミングスは初めて日本語詞の曲を歌うことに挑戦している。日本語詞は平賀によるものであり、この後に出たHomecomings名義の新作では再び英語詞に戻っている。つまり日本語詞もホームカミングス名義もこの組み合わせ故なのだ。さらにこの曲のサビのメロディーが持つ高揚感、そして“白い光の朝に”という直接頭に入ってくる日本語詞からの連想で、私はプリンセス プリンセス「Diamonds」を思い出してしまった。そう、80年代を代表する、誰でも知っているあのヒット曲だ(YouTube)。
つまり、ホムカミもプリプリのような国民的バンドへ成長する可能性を秘めているのではないか、と言いたいのだ。2曲とも時代背景は違えど親しみやすいモータウン・ビートを用いて過ぎ去ったノスタルジアを表現している点では共通している。平賀さち枝とホームカミングスが手を組み日本語で歌うことによって、両者が本来持っていたJ-POP的なメロディーやリフが顕在化し、89年度オリコン年間1位の大ヒット曲「Diamonds」を連想させるキラー・チューンが生まれた。としたら、このコラボレーションからは今後もさらなる収穫が期待できるはず。