【レビュー】星野源 『ドラえもん』~〈岡村詩野 京都音楽ライター講座〉前後読み比べ編~

星野源「ドラえもん」
Disc Review
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本稿はki-ftの母体となっている〈岡村詩野 京都音楽ライター講座〉(3/11)の課題として書かれたレビューです。お題は“最近聴いた作品のレビュー”(500字)で、岡村詩野さんの指導をはじめ参加者との意見交換によりブラッシュアップし、文字数を700字程度に増やしたものになります。まずは完成稿です。

完成稿

星野源「ドラえもん」
星野源
ドラえもん
ビクターエンタテインメント, 2018年2月28日
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DOWNLOAD: iTunes, レコチョク

フレーズが示す彼のエンターテイナー観

この曲の肝は「パフッ」でお馴染みの笑点を思わせるフレーズだ。それは、はじめの導入から中盤、そしてラストと何度も顔を出し、楽曲の核となっている。こうした印象的な繰り返しで楽曲を聴かせるのは「SUN」など星野源の楽曲の特徴の一つだ。※1

彼がこの楽曲でヒョウキンな音を使うことに、私は必然性を感じる。NHK「LIFE!~人生に捧げるコント」に出演するなどミュージシャンだけでなく、俳優やラジオ・パーソナリティーなど多角的な活動をしている。芸人が歌うことは枚挙に暇がないが、音楽家がテレビでコント番組のレギュラーというのは現在では希有な存在だ。しかし、この起源を辿るとハナ肇とクレイジーキャッツが出演していた『シャボン玉ホリデー』※2まで遡ることができる。そんな彼らへのリスペクトはSAKEROCK時代の植木等「スーダラ節」のカバーに表れている。これらの活動は彼が“芸人”という言葉を、芸をする人という大きな意味で捉えていることの証左と言える。

そしてフレーズの効果的な繰り返しの中に、往年のクラシック「ぼくドラえもん」のメロディも違和感なく馴染ませながら、ギター、ドラム、そしてストリングスとお馴染みのチーム星野源が躍動する楽曲。「ぼくドラえもん」と笑点へのオマージュを同居させたことは、ライブツアー「Continues」でも示した古今東西に広がる音楽的な繋がりの妙を表した一曲と言える。


※1 『ドラえもん』CD初回限定盤の特典DVDにはアコースティックライブ映像が収録されており、この楽曲の骨子に繰り返されるフレーズがあることを浮き彫りにしている。

※2 『シャボン玉ホリデー』は、1961年から72年まで日本テレビ系で放送されていた風刺コント番組である。後に「スーダラ節」を書く青島幸男は放送作家としてこの番組に関わっていた。

下記が講座に提出した初稿になります。完成稿と読み比べてみてください。

講座に提出した初稿

 

彼のエンターテイナー観を表した一曲

星野源が映画『ドラえもん のび太の宝島』のために書き下ろした主題歌だ。往年のクラシック「ぼくドラえもん」のメロディも違和感なく馴染ませながら、アルペジオでアクセントを付けるギターと軽快で手数の多いドラム、そして開放感のあるストリングスなど、もはや星野源節とも言えるチーム星野源が躍動する一曲になっている。そんな本作は、全体にフレーズとして使われ、ラストに顕著な形で表れる往年のコントを思わせるメロディが使われている。最後に「パフッ」とラッパを鳴らせばドリフターズなどのコントのオチを思わせるそのフレーズが私はこの曲の肝だと思う。なぜなら、星野源の活動を凝縮したフレーズになっているからだ。それは、彼は俳優としてコントに出るだけでなく、バナナマンのライブのジングルや日村勇紀の誕生日ソング 、ライブでは芸人に寄るコメント動画を流し、ビートたけしを思わせる剽軽な踊りなど魅せるなどの“芸人”としての側面である。ここでの“芸人”とは、芸をする人という大きな意味での言葉である。この側面はSAKEROCK時代にカバーしていた植木等「スーダラ節」などにもみられるように彼が意識的にやっている部分だと思う。そういった意味で本作は、彼のエンターテイナー観を表した楽曲と言えるのではないでしょうか。

他の参加者と話すことで自分の書いた文章が客観視され、どこに重きを置くのかという骨子を意識する練習にもなると思います。そして何より、年齢もバラバラでここに来なければ知り合うことは無かったであろう方々と音楽談義をするのは面白いです。音楽の魅力を言葉で伝えることに興味のある方は、一度講座に参加してみてはいかがでしょうか。次回はリニューアルをして5月頃予定となっております。
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