ジャングル: Jungle

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ジャングル: Jungle

Jungle
Jungle
XL Recordings/ホステス, 2014年
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XL Recordingsが契約したロンドンのユニット、ジャングルの1stアルバム。ビージーズを思わせる甲高いコーラスワーク、マーヴィン・ゲイ生前最後の作品『ミッドナイト・ラブ』に通じる音の重ね方は、70~80年代のディスコ〜ソウルを連想させる。そのディスコサウンドだけでも、本作は十二分に魅力的な作品だ。

そんな本作はどの音を聴くかによって異なる印象を受ける。ここではサンプリング音に注目する。オープニングトラック「Heat」での波音とサイレンによる始まりは、思わずそう言った音に耳を傾けてしまうという面でも上手い導入になっている。人の笑い声やカモメの鳴き声。それらの微細な音が異なるリズムを刻んでおり、頭の中を揺り動かす。時折挟まれるハンドクラップがアクセントとなり高揚感をさらに増幅させる。続く「Accelerate」では、バスケコートに響くスパイクやボールの音が先ほどとは違うシーンを想像させる。チルアウト感のあるミディアムソウルかと思いきや、重ねられたミニマルなビートに思わず踊りたくなる。そして、サビではそのビートを軸に開放感溢れるギターリフとシンセ、それと共に沸き起こる歓声とスタジアムのアナウンスが祝祭感を味付けする。「Platoon」でのガラス瓶が擦れあってキラキラと鳴らされる音は、波間に反射する光を思わせる。そして最後の「Lemonade Lake」では、ラジオの音と共に再び波の音がサンプリングされている。しかし最初と違いここでは本作の終わりを告げるかのようにやさしく響く。それは、海岸の沈む夕陽を思い浮かばせる。

これらの雑踏ともとれる音は、彼らの地元であるロンドンの西、シェパーズ・ブッシュをイメージしているそうだ。それは聴き手に仮想の街を想像しトリップする余白を残している。私はその余白にビーチのあるカリフォルニア的な街を想像した。それだけでなく、この音は複雑に絡み合いながらリズムを形成し、立体感のある音像で我々に高揚感をも与えてくれる。まだ誰も気づいていない未開の音を探すのも本作の魅力の一つだ。ライヴでもサンプリング音は使われているが、よりダイナミックになったサウンドでスタジオ音源とは違うトリップ感を与えてくれる。