【ki-ftレビュアーによる】関西音楽ベストディスク2014

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関西音楽ベストディスク2014

関西音楽ベストディスク2014

音楽評論家として活躍する岡村詩野が講師を務める〈音楽ライター講座in京都〉の参加者で作る、関西拠点の音楽メディア/レビューサイト「キフト」を2014年6月にスタートし、半年が過ぎました。無料電子書籍『現代関西音楽帖』や当サイトでは“関西音楽”を中心にレビューやインタビューを行っていますが、「関西音楽ベストディスク2014」を発表します。関西を拠点とするアーティストやミュージシャン、近畿地方に縁のある音楽作品を講座生で選び、2014年を代表する10枚と、次点作品5枚をお届けします。

【1位】LOSTAGE『Guitar』

LOSTAGE: Guitar

LOSTAGE
Guitar
THROAT RECORDS, 2014年
BUY: Amazon CD&LP, タワーレコード, iTunesで見る

12月20日に京都二条カフェ・パランで五味兄の弾き語りライヴを見たのだが、『Guitar』楽曲群が持つ“唄”の部分はより強調され、歌詞がじりじりと伝わってくる。過去作品ではシャウトしながら演奏していた五味兄のスタイルも変化したが、(例えばRival Schoolsの様な)パワフル感は健在だ。また、作品毎に1〜2曲はキャッチーな疾走感ある曲をねじ込んで来るところも彼ららしい(本作では「いいこと / 離別」)。自営のTHROAT RECORDSからはCrypt City、TheSpringSummerなどをリリースし、奈良から音楽を伝えている。2015年も彼らの動きを追いかけたい。(山田 慎

【2位】my letter『my letter』

my letter『1st album - my letter』

my letter
my letter
& records, 2014年
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ヴェルヴェット・アンダーグラウンドを連想させるギター・サウンドはダークさとともに、メロディー・ラインの端々にどこか日本情緒、懐かしいあたたかみを感じる。my letterの音楽には、聴くものそれぞれの個人的な思い出に直接つながっていくような不思議な感覚がある。甲高い男性ヴォーカル、それを包み込むやわらかな女性コーラスと相まって、かつて大切だった人、今も愛しい人の顔を想起させる。重々しいハンマー・ビートに愛らしいキーボードが添えられ、ささやくようなヴォーカルに繊細なギターが絡みついていくリード曲「アメリカ」を始め、いちいち琴線に触れる楽曲が並ぶ。過去の哀しみも、現在の苦しみも、全てが地続きであることを、ふと気づかせてくれる作品だ。(森 豊和

my letterはライ麦パンである。というのは、彼らのインタビューで解説したが、アルバムの至るところを切っても、味わい深く、それでいて静かに尖っているのが爽快だ。働きながら作品を完成させ、地道なプロモーションも終え、今は土日を中心に関西を中心にライヴを行っている。スローペースになるのは仕方ない。だからこそ、今の瞬間を見るべきバンドだと思う。(山田 慎

【3位】本日休演『本日休演』

本日休演『本日休演』

本日休演
本日休演
ミロクレコーズ, 2014年
BUY: Amazon CD, タワーレコード

【4位】くるり『THE PIER』

くるり: THE PIER

くるり
THE PIER(初回限定盤・全曲楽譜集付き7inchサイズジャケット仕様、「Liberty&Gravity」ハイレゾ音源ダウンロードコード付き)
ビクターエンタテインメント, 2014年
BUY: Amazon CD(初回限定盤), タワーレコード, iTunesで見る

ライヴで演奏していくうちに岸田繁は本作収録曲たちの本質を理解していき、今なおその過程にあるという。日本の歌であること、“まるで民謡のように、メッセージや時代背景よりも具体的な事象、つまり自然や天気、生理現象のようなものにフォーカスされて”いった。『THE PIER』は安易なラベリングを拒否する。かつてはマイノリティーだったものが注目を浴びた途端ファッション化することに強い違和感を覚える。くるりは語本来の意味でパンクであり続ける。(森 豊和

【5位】THE FULL TEENS『魔法はとけた』 & 『生き埋めV.A.』

THE FULL TEENZ『魔法はとけた』

THE FULL TEENZ
魔法はとけた
生き埋めレコーズ, 2014年
BUY: JET SET

ほとんどの曲が1分、長くても2分。20代前半の彼らが歌うとびっきりキャッチーでソウルでパンクな楽曲は日本において新鮮で、ずっと遊んでたい欲望とすぐに終わっちゃう儚さが入り混じりながら夏の終わりを告げる。まるで青春を表現する最良の表現方法を見つけたように鳴らす彼らの“遊び足りない”の叫びは、10数分の本作が終われども終われども再生ボタンを何度も押させるのである。自主レーベル“生き埋めレコーズ”を設立し、V.Aも話題となった。京都にとどまらず全国のバンドをキュレーションする力もすでに持ち合わせている末恐ろしさをひしひしと感じる1枚である。(峯 大貴

『魔法はとけた』で蒼すぎる空を僕の脳裏に焼き付けたTHE FULL TEENZであるが、クリスマス・イヴに「swim! swim!」をカセット・テープで販売するとは! 聖夜のくせにサマー・ソングなのもニクい。彼らのレーベル“生き埋めレコーズ”から発表された『生き埋めV.A.』もグッド・ヴァイブレーション全開で、京都から面白いバンドが出てきたなあと、一週間に1回は思っています。早くも次作が待ち遠しい今日この頃です。(山田 慎

【6位】DENIMS『NEWTOWN』

DENIMS『NEWTOWN』

DENIMS
NEWTOWN
自主制作, 2014年
BUY: FLAKE RECORDS, ライヴハウスほか

【7位】Hi, how are you?『さまぁ~ぎふと』

Hi, how are you?『さまぁ~ぎふと』

Hi, how are you?
さまぁ~ぎふと
ROSE RECORDS, 2014年
BUY: Amazon CD, タワーレコード, iTunesで見る

京都の大学生2人、原田晃行(ギター、歌)と馬渕モモ(鍵盤、歌)によるHi, how are you?。本作は、ひと夏の恋の妄想を詰め込んだ1枚。片思い(100%)の時の妄想は暴走しがち(将来設計付!)。しかし、現実は眺めることすらできない。そんな不器用さと切なさを原田の憂いを帯びたギター弾き語りと馬渕の浮遊する鍵盤で表現。特に鍵盤ハーモニカの醸し出す切なさは聞きどころ。お盆に本作がリリースされたと思ったら、12月24日には早くも『にこいち白書』をリリース。2014年2月の1st『?LDK』以来、ハイペースで作品をリリースしている彼らを見守りたい。(杢谷 栄里

【8位】YPY『LTFT Syndrome』

YPY『LTFT Syndrome』

YPY
LTFT Syndrome
BirdFriend, 2014年
BUY: BirdFriend

ki-ftのインタビューでTalking Dead Goats” 45が理想的にならなかったこと、それをbonanzasでクリアできたこと、更にはHEADZからgoatをリリースしたことなどの経緯を語ってくれた日野浩志郎。カセット・レーベル「birdFriend」を設立し、ソロ名義のYPYを本格的にスタートした。2014年夏には心斎橋を中心としたフェス『BEST FRIENDS』も開催し、精力的な活動を展開。2015年2月8日には〈Ensembles Asia Music Network / Asian Meeting Festival 2015 京都公演〉に出演。こちらも楽しみである。(山田 慎

【9位】Especia『GUSTO』

Especia: GUSTO

Especia
GUSTO
つばさレコーズ, 2014年
BUY: Amazon CD + DVD

盟友いずこねこも、先輩BiSも活動形態を変える中、大阪ローカルアイドルとして孤軍奮闘した2014年。彼女たち自身も今年10月に杉本暁音を失い、未だに尾を引いている部分がある。5月に発売された本作はA.O.R・ディスコファンク・シティポップスが再興し、長らく続いたアイドル戦国時代が安定という名の下降線を辿り始める直前、双方の極大値が奇跡的にクロスした2014年という時代しか生み出し得ない偉大なるフルアルバム。Negipeciaでも活動し、一気に知名度を広げた今年は間違いなくジャパニーズアイドルのど真ん中に立っていた。(峯 大貴

【10位】中村佳穂『口うつしロマンス』

中村佳穂『口うつしロマンス』

中村佳穂
『口うつしロマンス』
studioSIMPO, 2014年
BUY: studioSIMPO

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関西拠点の音楽メディア/レビューサイト ki-ft(キフト)
関西を拠点とした音楽メディア/レビューサイト「ki-ft(キフト)」は音楽ライター講座in京都を通して生まれました。音楽を伝えるためのメディアとして、アルバムレビューを中心に更新。複数人によるクロスレビュー、コラムなども書いています。
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