ロンリー: 楽しいVoid

Pocket

ロンリー: 楽しいVoid

ロンリー
楽しいVoid
Summer of fan, 2014年

ガリガリ君を仲間の分だけ買って帰る午後、海沿いの町は夕陽に染まって、イヤホンからはクラッシュが流れてくる。ステイ・フリー。パンクの狂騒も今は昔。そういえば、いいともは終わってしまった。ヒップホップ寄りに脱力したOGRE YOU ASSHOLEとでも呼ぼうか、岡山の4人組ロンリーを聴くとそんな情景が目に浮かぶ。

京都にはJETSET、大阪にはFLAKEがあるが、名古屋にはFILE-UNDERがある。ニッチな海外インディー、それもニュー・ウェイヴ寄りな品揃えの店だ。うんざりするような暑さもやわらぐ兆しを見せた2014年8月も末、大須の矢場とんの行列を横目に、雑居ビルの急な階段を上る。店主の山田さんがパソコンから顔を上げる。黒縁メガネに灰色の帽子は室内でもそのままだ。何かないか? なんて聴かなくても、二三度足を運べばこちらの好みを把握してお勧めを聴かせてくれる。その日流してくれた7インチがロンリーだった。

淡々と重いベース音から始まる「beer」は暑い夏の二日酔い。ハエのように夜の海を漂う「hae」では、いつか投げ出したゲームの行方を眼前の昏い海に投影している。1分台の曲が並ぶA面、最後の「hang over」まで一貫して歌われるのはけだるい地方都市の暮らし。あっけらかんとした曲調なのに歌からはダークな雰囲気がする。“いつかパンパースはくから それまで黒のコンバース”という歌詞からして、彼らが見つめているのは過去でも刹那な今でもなく遠い未来、いつか訪れる死だろう。しかしちゃっかり下の世話が必要になるくらいまで生きようと考えている。そこに私は共感する。ただでくたばってたまるかよ。

B面を占める「楽しいVoid」では、タイトル通り空虚な心情を呟くヴォーカル、同じリフを繰り返すギターにピアノがしとやかに絡む。シティー・ポップ、J-RAP、インディー・ロック、呼び名はどうでもいい。311以降の世代にとってのアンセムになり得る曲だ。