【レビュー】odd eyes『A love supreme for our brilliant town』

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odd eyes『A love supreme for our brilliant town』

odd eyes
A love supreme for our brilliant town
Summer Of Fan, 2015年
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大人げない大人たち。odd eyesはそんな集団だ。世代を代弁し、時には毒を吐くことが音楽の役目だが、彼らの狙いは多分そこにはない。競争と力が全ての社会と対峙し、自己を確立するためにバンドをやっているのではないか。自由と責任の中で生きていくためには、それが必要なのだ。大人にコントロールされるのは嫌だ。その象徴とも言える場所が、METROで月1で開催している、京都拠点のバンドマンが中心となり、各地方から多種多様なゲストを招く〈感染ライブ〉であり、このコミュニティ周辺からodd eyesは支持を拡大している。

前作の『thinking ongaku union local 075』 は、気の合う友達と、やりたい事をがちゃがちゃとやっている悪ガキの音楽で、京都の新世代の地下シーンを垣間見た。お気に入りで愛聴しているけれど、特に誰に聴かせるでもなく、自分のメディアプレーヤーに入っていて再生できればそれで良い「心の友」のようだった。

今作も表題から分かるように、やはり京都という「居場所」が重要であるのだが、A面M1「クーリングオフファックオフ」はブックオフ三条京阪店のエピソードであり、直球ハードコア・パンクのフィルター越しに観る、現在進行形のodd eyesのヒストリー。更にM4「Music From Rucksuck」のハード・ロックな曲も彼らは卒なくこなす。B面の2曲は180度変化した、ヴォーカル・レスでノー・ウェーブのアプローチがクール。メンバーは減ったが、東京シーンからのゲストが多く参加し、前作とは一変したモードを展開していて、新たな化学反応を生み出した。もしかしたらB面の方が気に入るリスナーも多いのでは、と思う程にこのレコードは振り幅が大きい。B面M1「MY FOOD YOUR COAT」は、高木昌平(cero)のフルートとスチール・ギターがエッジを聴かせている、パンクとフリー・ジャスの融合で、M2「Clumsy Language」ではVIDEOTAPEMUSICの即興のような演奏とアコースティック・ギターによるシューゲイザーとアンビエントの融合で、A面と情緒が大きく変化する。前作でやりたい事はやったが、新たな仲間、居場所は増やし続けたい、そんな衝動を感じる。今後のバンドの展望を示唆しているような構成に期待が膨らんだ。なんだ、ちょっと大人になってるじゃないか。

「居場所は誰かに与えられるものではなく、自分で作りたい。」爆音のサウンドとカベヤシュウトの発狂からは、そんな想いもないまぜになっているのではないか。あなたには今、そんな「心の友」と「居心地のいい場所」はあるだろうか?

Author Profile

白原 美佳
1985年奈良市生まれ、在住。地元を偏愛している。人生の1枚はスーパーカーの「スリーアウトチェンジ」。