編集部だより -2018年3月-

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マーガレット安井

サイダーガールに惚れた

「基本、なにを書いても良い。」と言われたので、この場では関西以外の音楽について話そうかなと。ここ最近、古川麦、優河、海外だとサッカー・マミーやザ・ピペッツのグウェノのソロ・アルバム辺りをよく聴いたりするが、一番聴いているのはサイダーガールの「ハロー・ミュージック」だったりする。この曲が好きな理由はキャッチーなリフ、ミドル・テンポ、良い歌声といった、私が青春時代に浴びるように聴いたゼロ年代の邦楽ロック(オセロケッツ、スムルース、ザ・ベイビースターズetc.)のマナーに則っていると感じたからで、だから「ハロー・ミュージック」を聴くと新しい曲のはずなのにどこか懐かしく、あの頃の音楽をまた聴きなおしたいと思ったりする。しかし青春時代に聴いていた、あの音楽たちはサブスクではほとんど見かけない。どれだけ好きでも、結局は時代の徒花だったのかな。なんてなことを考える毎日。まあ、サイダーガールは大丈夫であってほしいんだけども。


杉山 慧

■3月ライブ報告

3/17 『CHOICE 5th Anniversary』 @味園ユニバース

新曲を披露したceroなども出演した今回のCHOICE。tofubeatsが新曲「ふめつのこころ西野七瀬ver」をプレイした時に「超絶かわいい、七瀬!」コールが観測されるなど、思い思い楽しんでいる幸せな空気感が心地良かったです。

3/18 『浅草オペラ 100年記念 ああ 夢の街 浅草!』大阪公演 @シンフォニーホール

クラシックやジャズと言った海外からの舶来文化が喜劇として浅草で根付いて言ったという事実が面白かったです。ここから榎本健一や古川ロッパといった役者が出てきて、植木等やビートたけしへと影響が伝わっていくのが分かる演目になっていて面白かったです。

■3月のBEST BOOK

戸井十月著『植木等伝「わかっちゃいるけど、やめられない!」』

植木等がミュージシャンとしてクラブや進駐軍のキャンプ地回りをしていた時、進駐軍として日本に来ていたジャズ・ピアニストのハンプトン・ホースと出会いセッションをしていたことなど、戦後まもない頃の文化交流が植木等の口から語られていて面白かったです。

■雑記

3月は、そごう神戸店で3月21日から26日行われた中古&廃盤 レコード・CDセール in KOBEに行ってきました。以下に書きましたが結果的に歌手兼俳優/タレントという3枚になっていたことに驚きです。たまたま買ったコロンビアのポップ歌手?のLPが思った以上に肌に合っており、このあたりのラテン・アメリカのポップミュージックをアメリカのヒップホップとの絡みで考えてみたくなりました。

Hernando Perez『Muy Distinto!』

南米コロンビアのレーベルZeidaからリリースされた一枚。発売年なども書かれていないので分かりませんが、80年代に別の作品を出していることからその頃にリリースされたと思われます。ラテンのノリでベースを軸にブラスやコンガなどが効果的に絡みあって作られるグルーヴが面白いです。歌って踊れる楽曲が全10曲。レコード店のコメントカードには俳優兼歌手と書かれていましたが詳細は不明です。

タモリ『ラジカル・ヒステリー・ツアー』

タモリさんの本格歌唱が聞ける一枚。楽曲ごとに歌い方が違っており、タモリ倶楽部やブラタモリとは異なるタモリさんの別の顔が見える。アーバンなポップスから最後はSF的小宇宙へ展開していくサウンドはTHE SQUAREなどのバックバンドの演奏です。


峯大貴

ライブ報告

3月3日(土)うたのゆくえ @渋谷TSUTAYA O-nest

東京・京都の新世代10組そろい踏みイベント。後々あのイベントから潮目変わったよなぁと語り継がれそうやし、日本のポップミュージックの充実を全身で浴びるような奇跡の場でした。ハイライトは牧野ヨシ。出番をトップバッターで終えてしまいそこそこ飲んだ状態の石指拓朗がバレーボウイズの前田亜星にタンバリンを借りて飛び入り登場。2人で「巣鴨千成り」を演奏した。こんなドのつくアングラ・フォークがまた新鮮に聴こえてくる時代がやって来たんだ、うれしい。

3月5日(月)小坂忠「HORO 2018」スペシャルライヴ @billboard live TOKYO

病気から復帰されてシュッとしはった、赤スーツ似合いはる。69歳全く衰えなし、むしろ数年前よりカーン!と突き抜ける歌の艶が増してて驚愕。 鈴木茂さんのアレンジもスマート、豪華すぎる演奏に、もう耳と目が足りへんわ!!メンバーを楽しくいじりつつ1曲ずつ丁寧に曲紹介をする忠さんの立ち振る舞いはまさに”小粋”。何10回聴いた『HORO』やけど改めてじっくりライヴで全曲聴くとメロディの運び方、歌詞の置き方、アイデアがいちいちフレッシュ。矢野顕子作の「つるべ糸」が今日のハイライトです。

3月21日(水) 本日休演・接近!UFOズ合同レコ発「ラブラブナイト」東京編 @下北沢スリー
ゲスト:豊田道倫&mtvBAND

初めに本日休演、UFOズの6人登場。並んで挨拶。ぬる〜いはじまりで豊田道倫&mtvBANDを呼び込む。単にそれがたるい感じじゃなくて一気に会場の雰囲気を彼らのモードに持ち込んで、京都にいるような感覚にしてしまうのが凄い。終演までずっと楽しかった。接近!UFOズ「神宮丸太町に特急止めろ」せんかったなぁあっちゅう間。

3月24日(土)ソウル・フラワー・ユニオン「闇鍋音楽祭」 @渋谷TSUTAYA O-west
ゲスト:怒髪天

怒髪天とのセッション含め2時間40分の特濃。中川さんのギターといえばメインのオレンジのテレキャスターと、「風の市」「荒れ地にて」などカポつける曲で使う赤のテレキャスターですが、「もののけと遊ぶ庭」~「外交不能症」辺りの後半セットでTVイエローのレスポールJrを弾いていて新鮮でした。新曲は怒涛の3曲。中でも「インシスト」のキラーワード「黙らない作法 我々はずっと主張する」は思わずその場でメモしてしまいました。「グラウンド・セロ」や「バクテリア・ロック」での”ANGER IS AN ENERGY!”とか近年強烈なワードのリフレインで観客を猛らせていく名曲が続いています。リズム隊が阿部光一郎さんとJah-Rahさんになりさらにマッチョになった演奏とグルーヴをドカーン!と見せるのに対比してシンプルで強力な言葉を選ぶようになっているし、ECDさんの意志の継承にも思えるし、「お前の村の踊りを踊れ」~「踊れ!踊らされる前に」に連なる今現在の状況を歌い込んだ渾身の抵抗歌だと思いました。あと昨日は中川さん「満月の夕」を三線ではなくそのままテレキャスで弾いてはりました。ソウル・フラワー・ユニオンでのステージでエレキでやってるの見た記憶が以前になくて、ここも新鮮でした。

3月25日(日) 影野若葉×柳本小百合「中毒」@高円寺U-hA

以前も現在関西音楽帖で紹介しました尼崎のフラメンコギター弾き、影野若葉さんを見にいきました。インスタに1コーラスだけあげてはった新曲「紫陽花通り」が聴きたかった。1メロディだけのカレッジ・フォークっぽい構成ですが、これまでの影のある楽曲で光る甲高く鋭利な声が、この曲では艶っぽくノスタルジーに機能してて超新鮮。彼女は影野若葉という役に完全憑依した歌うタイプのシンガーで、アウトプットごとに様々な名義・プロジェクト(皐乃一座、影野わかば、以前は“とかげのわかば”など)があって自分もつかみ切れていないのですが。MCなり立ち振る舞い全体がなんとも軽妙で心地ええ。中島みゆきのような厳かな軽さがあります。また一たびライヴ終わればむっちゃキュートな人でまた惚れる。

3月29日(木)exPoP!!!!! volume107 @TSUTAYA O-nest
AAAMYYY/uri gagarn/カネコアヤノ(バンドセット)/Opus Inn

2018年カネコアヤノは何回見ても飽きない。むしろ25歳の彼女の今のステージをもっともっと見ておかないとという衝動に駆られて今年4回目の拝見。最近特にバンド演奏での一個ステージ上がった感がする。「恋しい日々」での“冷たいレモンと炭酸のやつ”でのブレイクをフックとして観客の体温がドーン上がる。何も革新的なサウンドや斬新なアプローチはない、ただもうエレカシ宮本さんばりに目をひん剥き口を大きく開け歌う彼女の可憐で獰猛な気迫に圧倒されっぱなし、エモーショナルな演奏に対してもはっきりと歌詞が聴こえるのもいい。隣にいたリクスーの女の人、おそらく就活終えてそのまま来たんやと思う。「とがる」始まった瞬間にテンションあがりまくりで歌い出した。よかった。面接でもとがれとがれ。かわってく覚悟、あるはずや。

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関西拠点の音楽メディア/レビューサイト ki-ft(キフト)
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関西を拠点とした音楽メディア/レビューサイト「ki-ft(キフト)」は音楽ライター講座in京都を通して生まれました。音楽を伝えるためのメディアとして、アルバムレビューを中心に更新。複数人によるクロスレビュー、コラムなども書いています。