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吉田紗柚季

ライヴ感想

4/21(土) 4/22(日) in da house
神戸 旧グッゲンハイム邸
【出演】
4/21(土)
 空気公団/ザ・なつやすみバンド/STUTS/テニスコーツ/東郷清丸/New Residential Quarters/yumbo
4.22(日)
 片想い/GUIRO/Shohei Takagi Parallela Botanica/ヒゲの未亡人/三田村管打団?/両想い管打団!
 ※髙城晶平(Vo, G)/厚海義朗(B)/光永渉(Dr)/伴瀬朝彦(Key)

速攻で売り切れたのでおすすめ記事には書けなかったんですが、旧グッゲンハイム邸で開催された〈in da house〉に行ってきました。超豪華なラインナップながらも、あらゆる演出に主催・MC sirafu氏の矜持がギチギチに詰まった大変濃い2日間でした。中でも大きいのがタイムテーブルの非公表で、その理由についてはズバリ「ファック予定調和!」とのこと。演者で特にその精神を見せていたのが、観客の意表をついた中庭ライブで初日を締めくくったテニスコーツと、得意のゲリラ演奏で幕間を盛り上げていた三田村管打団?。何よりお客さん側にも、予想外の進行やハプニングを丸ごとエキサイトしてしまうような大らかなムードがずっと流れていました。限りなくショーケースから遠くて限りなくホームパーティに近い、ライブイベントの一つの理想形を見た気がします。

通常入れない2階も解放してくれていました

もう一つ印象的だったのが、ザ・なつやすみバンドのライブ中にsirafu氏が「最近はセカンドラインみたいな“明るい葬式の曲“のイメージで曲を作っていた」と話していたこと。そんなTNBの新曲ももちろんだけど、個人的には2日目のトリでブチ上がり倒した両想い管打団!に、なんとなくそのイメージを重ねて感動していました。片想いや三田村管打団?の曲はあらゆる心の痛みと共にあって、丸腰で全部受け止めたうえでどんちゃん騒ぎに変えてくれる。「管によせて」で安室奈美恵や光進丸をオーリトーリしてたのもアツかったです。

雑感

  • 神戸を舞台にした伝説の5時間半映画「ハッピーアワー」がついにBlu-ray化しますね。皆さん予約しましたか?私はしました。濱口監督の次作「寝ても覚めても」は、かねてより「ハッピーアワー」愛を公言していたtofubeats氏の劇伴でこの夏公開です。どちらも楽しみ。
  • おすすめライブ記事で安井さんが若尾裕×ゴッチのやつをすすめていましたが、来月は他にもトークショーの目玉が多いですね。私が特に楽しみなのが5/12の〈爪切男×こだまトークイベント「病人、西へ。」〉。かねてよりお二人のファンなんですが、ceroとの縁もあって東京でのイベントが多かったので、今回の来阪はマジで嬉しい。前日まで出張の予定なので、後ろ倒しにならないよう仕事に精が出る日々です。

杉山慧

4月のプレイリスト

Busu「Do 2 Much」を聴いた時、Bloc Party「Banquet」を思い出し時代は巡るを実感している今日この頃。4月のプレイリストです。

4月ライヴ報告

4/1『ボタとサーカス』
大阪 名村造船所跡地

今年も開催されtofubeatsやEVISBEATSとPUNCH&MIGHTYなどが出演した春を告げフェス『ボタとサーカス』。エイプリルフールのこの日、KAKATO (環ROY × 鎮座DOPENESS)が即興で作った「4月1日」の鎮座DOPENESSのウィットに富んだライムに思わず頬が緩みました。7/8には、神戸troopcafeでKAKATO (環ROY × 鎮座DOPENESS)にU-zhaanを加えた3人でのライヴが実現、ぜひチェックを!


マーガレット安井

小袋成彬の『分離派の夏』がヤバい件

いやー、ヤバいね。小袋成彬の『分離派の夏』が最高なんだよ。もうね今年の個人的ベストアルバムが決まった、マジで。「おい、まだ半年以上も残ってるぞ!」なんて言われても関係ねぇ。それくらいは『分離派の夏』凄い。凄すぎる。

『分離派の夏』は「フランク・オーシャン『ブロンド』を日本でやるなら。」といった問に、これ以上ない回答だと個人的には思っているんだ。特にこれだけサウンドがアンビエントR&B、インディR&Bに傾倒してるのに、日本語が凄くクリアに聞き取れるさらにその日本語が違和感なく、ひとつの音楽としてメロディーに乗っかっているのがまあ素晴らしい。

ただこれはある種、日本語ポップスの繰り返される歴史なのかもな、なんて思ったりもする。『分離派の夏』で小袋成彬は宇多田ヒカルと共演しているんだけど、宇多田ヒカルもまた海外のR&Bを日本でアプローチする方法を私たちに見せつけ、衝撃を与えた人物でもあった。しかし、2000年代に入ってLOVE PSYCHEDELICOが「言葉や、その発音が海外のものを混ぜて使うやり方」を発明してからは、そちらの方がR&Bを日本で歌う方法論としては採用されてきた。現に今のSuchmosやNulbarichはこのやり方だったりするんだけど、小袋成彬は違う。宇多田ヒカルの2010年版的なアプローチで颯爽と私たちの心を奪っていってしまったのだ。

とにかく何が言いたいか。今すぐ、小袋成彬の『分離派の夏』を聴け!!!


峯大貴

 ライヴ日記

4月5日(木) 加川良トリビュート『ラブ・ソング』@下北沢GARDEN

 加川良さんの1周忌に際して開催されたトリビュートライヴ。下北沢GARDENは開演から人でごった返していました。冒頭生前のライヴ映像で「アイ&アイ」。そこから演者は大方2曲ずつ入れ替わり立ち替わりで自分の曲と良さんの曲を歌い繋いでいく。司会は下北沢と言えばの金子マリさん、そして北京一さん…しかし出て来ず、加川良さんの息子のgnkosaiさんが渋々取り仕切る。しかし中盤からお2人が一たび出てきたらその掛け合いはしっかり夫婦漫才なのが超楽しい。北京一さんの京一・京二としての漫才は音源ですら聴いたことがなく、ソー・バッド・レビューでありパントマイムの人であり5th element willのメンバーという印象なのですが、その喋りは紛れもなく漫才師のバックボーンが見えました、喋り姿さえとんでもなくかっこよかったです。ぐっときたシーンで言えば金佑龍さんが良さんに褒められたというcutman-booche時代の「ジョゼ」は本当によかったし、gnkosaiBANDでの「下宿屋」カバーもすばらしかった。あの良さんの太く雄大な声は息子gnkosaiのポエトリーリーディングに確かに息づいていました。そして最後の金子マリpresents 5th Element Willでの加川良さんが作詞したソー・バッド・レビューの「お母ちゃん俺もう出かけるで」は問答無用ですごかった。終演後に流れた生前最後のライヴ音声、アンコールにやった曲は「誕生日」でした。見事に良さんの歌は“みらい”(2016年にリリースされた最後のアルバムタイトル)に繋がったように感じた夜でした。

4月7日(土) 「ACCEPT」~246RECオムニバスCDレコ発ライブ~ DAY1@十三246ラブハウスGABU

 仕事で大阪出張。いいタイミングなのでアフターアワーズを見に行きました。数年ぶりに降り立った十三。しょんべん横丁はきれいに復活して活気があったし、久々に食べた喜八洲総本舗のみたらし団子は高校生の頃を思い出した。数か月単位で大阪に帰ってくるので梅田近辺や、地元淡路など、街のすごいスピードの変化にもついていっているけれど、グラデーションではなくストロボ写真みたいな切り取り方で変遷を楽しむ日々です。この十三GABUも去年の7月に出来たばかりの新しいライヴハウスのようで。広いスペース、高いステージ、ホール手前のバーカウンターの広さと明るさと綺麗さ…、音楽スタジオ246が運営する初のライヴハウスということで、勢いありますね246。さてこのイベントはその246各店舗でレコーディングを行ったミュージシャンたちの音源を集めたコンピシリーズ4弾リリースに際したものでした。なので全くまだGABU自身にライヴハウスの色と言うものはないですし、経路の違ったバンドが集まっていました。誰もがアウェーを感じてしまう固いフロアだったのですが、中盤に登場したアフターアワーズは完全にノらせていました。冒頭のショー君がコテコテにまくし立ててカマシてく新曲「何ゆーてん」も最高だし、見るたびにアレンジ変わっていく「突き抜けるよーな音楽」もええフック。祝春一番に向け調子整っていました。

4月13日(金)「バンドワゴン」Ribet towns(小)、山中ジョンジョン(ダイバーキリン)@淡路cafe, bar & music アトリ

 2月に淡路にオープンしたダイバーキリンの山中ジョンジョンとモリヤンヌの店、アトリ。6席ほどの小さなお店ですが、早くも淡路の街に馴染んでいます。この日は京都の大編成ポップ・バンドRibet townsの4人小編成と店主・山中の弾き語り店内ライヴ。演者、客問わず飲みながらどんちゃん騒ぎの演奏会でしたが、文化醸成基地にいるような心地がして、淡路という街に確かに存在するはずなのにこれまで流出していたカルチャーがちゃんと戻って集まって。阿佐ヶ谷のRojiのような機能を今後大阪で果たしていく場所になる気がしました。筆者生まれて育ったわが街淡路、ようやくノリ気になってくれた、遅いわアホ。うちのお母ちゃんが子どものころから話し合ったのにツレへん感じやったらしいやん。JRが開通して、阪急が高架になるにつれて色んな店・人が来ておもろなったらいいのに。俺も考えよう。

4月21日(土) MIZ「恋は水色」“パジャマでハイウェイ/君に会った日は” RELEASE PARTY with石指拓朗@神保町 試聴室

 毎年4月に上野公園の野外音楽堂で行われる弾き語りイベント、フォーエバーヤングに行けなかったのが悔しくって。石指拓朗さんを見に行きました。「朝」、「大人は損得 子供は気楽」、「バカみたい」、「野良猫」、「大好きで大嫌いだよ」以外は全部新しい曲。昨年の名盤『ねむの花咲く その下で』に続く3rdアルバムの制作期待できるくらいいい曲揃ってきています。「武蔵野」すっげえええ曲。人一倍フォーク・ミュージックが好きで、リスペクトがあるのに、それだけじゃダメだと思いながら、新しいサウンドを模索しつつ、でもルーツは裏切れないと、真正面から新しいフォーク・ミュージックに取り組んでいる石指さんの姿勢には心底惚れてるのです。この日の主役MIZ、MONO NO AWAREの2人からなるアコースティック・ユニットやけど、バンドとはまるで違うアウトプットに驚いた。無駄なもの全てそぎ落とし、毒もフックも消し去って、ユーモアだけがふわっと残るようなアンサンブル。間に挟まるゆるくまったりした2人の会話もええ心地でした。最後は2人に割って入るかのように、先輩・石指さんが中間管理職バリに仕切って、最後は高田渡「アイスクリーム」で締まりよく終演。

4月28日(土)酔夏男もんりぃPresents青木拓人NEWアルバム【球状するダンス】リリース祝い『灯す夜』青木拓人/ガリザベン/今村モータース/豊島千尋@心斎橋 酔夏男

 現在関西音楽帖でも取り上げました吹田のSSW青木拓人さんのレコ発イベント。弾き語り4組の共演です。酔夏男、ずっと行きたかったんです、嬉しい。1人目豊島千尋さん。歌はしっかりキュートやけど、ネイルチップつけて薬指までガンガン出て行くフィンガーピッキングがかっこよく新鮮。大石昌良さんのような弾き語りプレイスタイルは稀有やし、彼女にしか出せないギターの音があって、でもあくまで軸は普遍的なポップソングというのがええですね。2人目今村モータースさん、終始立ち振る舞いが狂気。主役の青木さんを終始イジリたおし曲中に呼びこんでフィンガースナップとダンスの強要など、爆笑ひっきりなし。でも常に心地いい風吹いているような曲が全て爽やかにしちゃうのがすごい。3人目ガリザベンさん好きやわ~。三輪二郎とか向井秀徳とか木村充揮とか月亭可朝とか色んなものがごった煮になった大阪のブルース。そして最後青木拓人さん。既にそこそこ飲んではってる状態で、のそっと始まる。ねちっこくシルキーな声が会場をモダンにする。打ち込みも多様していた『球状するダンス』の楽曲が弾き語りで丸裸になる、難しいことはやっていないけど不思議で心地よいコード感が見る側の酒を坦々と減らしていく。でも時折コード間違えたり、ツッコミ待ちな自虐MCで過度に自分の世界に引き込みきらないのが酒場の音楽というか、大阪の雰囲気というか。最後の「ヤマとカワ」ではシンガロングを煽って会場が1つになったかと思いきや、終演直後から延々ガリさんと今村さんがエンドレスにイジってました。

 東京と大阪のライヴを日々見ておりますが、特に弾き語りやと観客からの野次というかツッコミのあるやなしやはその場の一体感に大きく寄与します。木村充揮さんなんかは登場して表情変えながら焼酎飲んでいるだけでナンボでも間が持ってしまう天然記念物みたいな人ですが、大阪では頃合い見てちゃんとどこからともなく「はよやれや!!」という声が出て、木村さんが「じゃかましいわボケ!!!」と怒鳴るというのが常時なのですが、おのずと観客の中で「これ誰がツッコむねん」という空気になってしっかり双方向のコミュニケーションになるのは大阪だけなんですな。この日も終始青木さんは今村さん、ガリさんのMCに対してバーカウンター辺りから逐一ボヤきを入れていたのでした。

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関西を拠点とした音楽メディア/レビューサイト「ki-ft(キフト)」は音楽ライター講座in京都を通して生まれました。音楽を伝えるためのメディアとして、アルバムレビューを中心に更新。複数人によるクロスレビュー、コラムなども書いています。
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