THE LOST CLUB: Rain e.p.

Pocket

THE LOST CLUB: Rain e.p.

THE LOST CLUB
Rain e.p.
自主制作, 2014年
BUY: discography – THE LOST CLUB

インディー・ポップには失われた過去への郷愁が込められている。ザ・スミスのコンピレーションを聴いていてシーラ・ブラックのカヴァーにぐっときた。モリッシーはガール・ポップを好んでカヴァーする。97年発表のソロ作『MALADJUSTED』を聴くとご時世か、ブリット・ポップ、シューゲイザーを意識したかのような音像にむしろ2014年の今こそ1周回ってOK感が漂う。長野で知り合ったメンバー中心に東京で結成されたバンドTHE LOST CLUBは、そういった音楽的背景を濃厚に感じさせる。

続きを読む

Animals As Leaders: The Joy of Motion

Pocket

Animals As Leaders: The Joy of Motion

Animals As Leaders
The Joy of Motion
SUMERIAN RECORDS, 2014年(輸入盤)
BUY: Amazon CD

今回も期待通りの変態ぶり。当たり前だけれど、褒め言葉だ。ただ今作は、インスト・プログレッシブ・メタルにピンとこない人にも聴いてもらえるかもしれない、と思える仕上がりになっている。

Animals As Leaders(以下AAL)はギタリストTosin Abasiのソロプロジェクトから生まれた、ワシントンD.C.を拠点に活動するバンド。8弦ギター×2+ドラムという編成も珍しいが、何よりその楽曲の特異性で、シーンの中でも既に影響力を持つ存在だ。音楽学校で学んだというジャズをはじめ、エイフェックス・ツインやスクエア・プッシャー等のIDM、ザ・デリンジャー・エスケイプ・プラン等のカオティック・ハードコア、他にも多岐にわたるジャンルの音楽を好んで聴いたというTosin。AALの楽曲の肝は、影響を受けた音楽の要素がクラシックなプログメタルに大胆に加えられ、更にそれらが古臭くないセンスで纏められているということ。このバランス感覚が絶妙なのだ。

続きを読む

キツネの嫁入りpresents 第四回スキマアワー「学校では教わらなかった音楽」

Pocket

キツネの嫁入りpresents 第四回スキマアワー「学校では教わらなかった音楽」

キツネの嫁入りpresents 第四回スキマアワー「学校では教わらなかった音楽」
photo by 井上嘉和

2014年4月13日に京都木屋町の元・立誠小学校で開催された、キツネの嫁入りpresents 第四回スキマアワー「学校では教わらなかった音楽」のクロスレビュー(複数名によるライヴレビュー)を掲載します。以下、イベントの詳細です。

日時:2014年4月13日 13時オープン、14時スタート
場所:京都木屋町 元・立誠小学校
出演:THA BLUE HERB、テニスコーツ、Ropes、キツネの嫁入り、金 佑龍(キム ウリョン)、dry river string
Food:木屋町アバンギルド
出店:岡村詩野、100000tアローントコ、3みっつ、狐ノ嫁入自由市場

続きを読む

ページ: 1 2 3 4

葉山久瑠実: イストワール

Pocket

葉山久瑠実: イストワール

葉山久瑠実
イストワール
自主制作, 2014年
BUY: 葉山久瑠実 公式サイトにて郵送販売

ある日、パソコンでKANA-BOONやHAPPY等を輩出した音楽コンテスト『eo Music Try』のホームページを見ていた。様々な音源に耳を傾ける中、あるアーティストの唄に思わず体が硬直した。コミカルとシニカルが融合した歌詞に熱のこもるピアノ演奏。しかし、その歌声はビリー・ホリデイのような、どこか暗く虚無感に満ちあふれ、私の耳を惹きつけて離さない。気がつけばそのアーティストの音源を何度も繰り返し聴いていた。これが葉山久瑠実との出会いである。

続きを読む

平井堅: グロテスク feat. 安室奈美恵

Pocket

平井堅: グロテスク feat. 安室奈美恵

平井堅
グロテスク feat. 安室奈美恵
アリオラジャパン, 2014年
Amazon CD+DVD, iTunes

ポップ・ミュージックは時代を映す鏡として機能する。携帯電話、インターネット等の科学技術は僕らの魔法であり夢の武器となるはずだった。お互いの理解を深め、遠くに住む友人たちを結びつけ、世界はサード・サマー・オブ・ラヴを迎えるだろうと半ば本気で信じられていた。しかし実際には出会いの安易化から、インターネットだけでなく、実社会の一部においても使い捨ての人間関係が蔓延することになる。安室奈美恵とデュエットしたこの曲で、平井堅はそんな時代の闇を痛切に歌う。

続きを読む

少年ナイフ: 嵐のオーバードライブ

Pocket

少年ナイフ: 嵐のオーバードライブ

少年ナイフ
嵐のオーバードライブ
P-VINE, 2014年
BUY: Amazon MP3 & CD, iTunes

少年ナイフは結成33年を迎えるバンドだ。オリジナルメンバーのなおこ(Vo,G,etc.)を中心に、現在のメンバーはりつこ(Ba,Vo)、えみ(Dr,Vo)の3人で日本はもとより海外での活動も多い。世界で一番有名な日本のバンドとも言われている。

彼女たちの魅力は、キャッチーなメロディーと分かりやすく独特のゆるい歌詞にあると思う。世の中難しい事が多いけれど、彼女たちの音楽を聴いているとそんな事を忘れて楽しい時間に浸ることができる。ただ、音楽をしている人も人の子。生きていると好きなものも、やっている音楽の嗜好も変化するものだ。しかし、少年ナイフの音楽は、良い意味で昔から一貫していて、今聴いても古さを感じることはない。歌詞も自分が感じたままに素直に表現しているように思う。自分をこう見せたいとかそういった類のものを一切感じさせないし、強いメッセージが込められているわけでもない。だから楽しく聴けるのではないかと思う。

続きを読む

三輪二郎: Ⅲ

Pocket

三輪二郎: Ⅲ

三輪二郎

マイベスト!レコード, 2014年
BUY: Amazon CD, disk union

京都拾得で前野健太の弾き語りを観た。感極まり悶えるように激しく歌いながら、終演後に話すと丁寧で穏やかな物腰に驚いた。高田渡、井上陽水から、サニーデイ・サービスに至るまで、日本のブルース、カントリー、フォーク・ロックには、静かな演奏の内に狂気、激情、ユーモアが共存している。前野の盟友であるSSW三輪二郎もきっと同じ類いの表現者だろう。

続きを読む

Brainfeeder 4: at 新木場ageha: Seiho, フライング・ロータス

Pocket

Seiho: ABSTRAKTSEX

2014年5月23日
Brainfeeder 4
at 新木場ageha
Seiho, フライング・ロータス
BUY: Amazon CD

ブレインフィーダーのライヴシリーズも今回で4回目。場所を新木場agehaに移し、レーベルの総帥フライング・ロータスをはじめサンダーキャットなど史上最大のスケールで開催された。特にフライング・ロータスのパフォーマンスは、桁違いであった。錯視の効果を用いて3Dの映像を作り出し宇宙のビッグバンを思わせるステージは圧巻の一言に尽きる。そんなパーティーの最後を飾ったのが関西拠点のレーベルDay Tripperの主宰Seihoだ。

続きを読む

Gotch: Can’t Be Forever Young

Pocket

Gotch: Can't Be Forever Young

Gotch
Can’t Be Forever Young
only in dreams, 2014年
BUY: Amazon CD , LP & MP3, iTunes

例えるなら、フォトモザイクのような作品だ。遠くから見ると1枚の絵だが、近寄って見てみると小さな写真が何枚も集まって一つの大きなアートを作り上げている。今作においてのピースは、日常を切り取ったような歌詞に表情豊かな登場人物。多彩なゲストミュージシャンたち。皮肉、恋、執着。これらが集まって浮き立たせるのは、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文。そして「死」という最大のテーマだ。

続きを読む

sukida dramas: Teddy Boy

Pocket

sukida dramas: Teddy Boy

sukida dramas
Teddy Boy
ONE BY ONE, 2014年
BUY: Amazon CD, iTunes

京都のそれと同じく、名古屋のインディー・シーンにも良い意味で狭いゆえの親密さがある。それが近年さらに狭くなっている。演奏する音楽ジャンルや出演するライヴハウス、出身大学などでおおよそ仕切られていた枠が、LIVERARYのような新しい地元密着メディアの登場や、低コストでノルマ・フリーなライヴ・スペースの乱立で崩されている。そういった自由な雰囲気は責任や自主性と表裏一体でもある。そんな名古屋の重要レーベル《ONE BY ONE》から、2011年結成、名城大学世界民族音楽研究会発、5人組キーボード・パンクスsukida dramas(スキダドラマズ)のシングルがリリースされた。

続きを読む

For Tracy Hyde: in fear of love e.p.

Pocket

For Tracy Hyde: in fear of love e.p.

For Tracy Hyde
in fear of love e.p.
自主制作, 2014年
配布先: File Under: Youthwave: The Best Things In Life Come For Free…

夏の夜の泡沫。10代の恋は氷のようにはかない。アイスクリームが溶けて彼女の白く細い腕にしたたる。ブルースを感じる声は聴く者を濡らしそっと包み込み、鋭く冷たく切り刻むギター・カッティングに重く確かなビート。煌びやかなバンド・サウンドは、ネオ・アコースティックがアシッド・ハウス、シューゲイザーに精神性を受け継がれ、更に90年代渋谷系ミュージシャンを通して日本へ紹介され、独自の進化を遂げていった様を駆け足で再現する。東京拠点で英ガーディアンのような海外メディアにも取り上げられるツイン・ギターの4人組ロック・バンドFor Tracy Hydeが、《Maltine》からリリースする10代のSSWラブリーサマーちゃんをヴォーカルに迎え、5人編成として初の音源をリリースした。

続きを読む

Especia: GUSTO

Pocket

Especia: GUSTO

Especia
GUSTO
つばさレコーズ, 2014年
BUY: Amazon CD + DVD

大阪。若者と文化に溢れたアメ村から避難して四ツ橋筋を横断し脇道へ入る。関西随一の音楽発信基地FLAKE RECORDSでレコードを一枚買って、オレンジストリートに入ればゆったり時間の流れるおしゃれタウン、堀江。そのまま真直ぐ行けばライブハウスVedette Boiteに着く。堀江系ガールズグループEspeciaが今年1月まで定例ライブを行っていた場所だ。結成2年を迎え、届けられたこの1stには A.O.R、ソウルファンク、フュージョンなどの洗練されたバブリーサウンドを、アイドルというスタンスからものにしようとこの街で奮闘し続けた、彼女たちと制作陣の足跡が伺える。

続きを読む

ふぇのたす: 胸キュン’14

Pocket

ふぇのたす: 胸キュン'14

ふぇのたす
胸キュン’14
ユニバーサルミュージック, 2014年
BUY: Amazon CD, iTunes

80年代ニューウェーブサウンドを基調とし、チープな打ち込みサウンドに“すしすししゃりなしさしみ すしすししゃりなしさしみ”(M1「すしですし」)などというシュールな歌が繰り広げられる。2012年結成の3人組エレクトロポップバンド・ふぇのたすの2ndアルバムが、とてもかわいい。

続きを読む

ヤクタタズ: 役立つヤクタタズL.P.

Pocket

ヤクタタズ: 役立つヤクタタズL.P.

ヤクタタズ
役立つヤクタタズL.P.
Captain Kyouso Records, 2014年
BUY: Amazon CD

中心から外れた場所だからこそ育つ文化もある。日本のデトロイト、四日市にも個性的なアクトが集まっている。ガソリン、アントニオスリーのようなガレージ・パンク勢を始め、90’sオルタナティヴを鳴らすbasquiat(バスキア)に、現代に蘇る昭和ジャズ歌謡モノポリーズのような変り種も。新世代ガレージ・バンドとしては、各所で出禁寸前のパフォーマンスを繰り広げるAgurakakushiやover skill、三重大発ポスト・パンクPOP-OFFICEと、統一性が有るような無いような不思議なシーンが形成されている。

続きを読む

WADA SHINJI: PANA CUT 8 / PANA 8

Pocket

WADA SHINJI: PANA CUT8 / PANA CUT

WADA SHINJI
PANA CUT 8 / PANA 8
birdFriend, 2014年
BUY: birdFriend DISTRIBUTORS

「最近注目しているレーベルは?」と尋ねられれば私は迷わず「birdFriend」と答える。goat、bonanzasのメンバーでありYPYとしても活動している日野浩志郎が主宰する関西拠点のレーベルである。全ての作品がカセットテープでリリースされ、2013年の発足以降YPYはもちろんワンオートリックス・ポイント・ネバーらUSアンダーグラウンドシーンとも呼応するようなノイズ、ドローンの要素を含む電子音楽のアーティストを中心にリリースしている。

続きを読む