カンガルーポー: ※※※ (こめみっつ)

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カンガルーポー: ※※※ (こめみっつ)

カンガルーポー
※※※ (こめみっつ)
自主制作, 2014年
BUY: ライブ会場限定販売(2014.06.01〜)

快楽的なメロディーを派手に鳴らすことだけがロックの醍醐味ではない。音の隙間やズレにこそ最も豊かな音楽がある。ギター/ヴォーカルにキーボードとドラム、神戸の女性スリー・ピース、カンガルーポーは、ニュー・オーダーのようなサウンドを意図して、結果、ジョイ・ディヴィジョンになってしまったかのようだ。

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キュウソネコカミ: チェンジ ザ ワールド

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キュウソネコカミ: チェンジ ザ ワールド

キュウソネコカミ
チェンジ ザ ワールド
ビクターエンタテインメント, 2014年
BUY: Amazon CD, iTunes

どんな反応をするのが正しいのだろう。清々しいまでに堂々と「ウィーアーインディーズバンド!!」と宣言し、インディーズ感丸出しに日常の愚痴や批判、言葉にすることさえ憚られるようなことまで、全部ひっくるめて負という負を歌ってきたキュウソネコカミ。思わず笑ってしまうその人間臭さがたまらない彼らのメジャーデビューに私は戸惑った。しかし、聴こえてきた第一声に安心した。メジャーとかそんなのどうでもいい。キュウソはキュウソだ!

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ハンバートハンバート: むかしぼくはみじめだった

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ハンバートハンバート: むかしぼくはみじめだった

ハンバートハンバート
むかしぼくはみじめだった
ユニバーサルミュージック, 2014年
BUY: Amazon CD, iTunes

彼ら4年ぶりのフルアルバム。その間COOL WISE MANとのコラボ盤発売、NHK子供番組への楽曲提供、佐野遊穂の産休&出産といった刺激を受け、ライブで鍛え上げられた12曲は、喜怒哀楽の先にある人間の本質を奏で始める。浮気をした男の末路「ぶらんぶらん」、得を追い求めて損を被る「ホンマツテントウ虫」、地獄に送られる「くもの糸」…毒はあるがアイロニカルではない。具体的なメッセージ性を野暮と切り捨てるかの如く、粋な余韻を残す。不合理でも思わずやってしまう人間の行動を“業”というが、そんな人間の業にこそ文化が生まれる、と肯定するような描写である。

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SZA: Z

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SZA: Z

SZA
Z
Top Dawg Entertainment, 2014年
BUY: Amazon MP3, iTunes

いまヒップホップシーン最大のアイコンとも言われるケンドリック・ラマー擁するTop Dawg Entertaiment。快進撃を続けるレーベルが初めて契約した女性アクトでありシンガーがSZAだ。米メディアComplexが今年の注目新人に選出するなど、その注目度は高い。そんな彼女が磐石の後ろ盾を得て発表した1stアルバムが本作だ。

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THE LOST CLUB: Rain e.p.

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THE LOST CLUB: Rain e.p.

THE LOST CLUB
Rain e.p.
自主制作, 2014年
BUY: discography – THE LOST CLUB

インディー・ポップには失われた過去への郷愁が込められている。ザ・スミスのコンピレーションを聴いていてシーラ・ブラックのカヴァーにぐっときた。モリッシーはガール・ポップを好んでカヴァーする。97年発表のソロ作『MALADJUSTED』を聴くとご時世か、ブリット・ポップ、シューゲイザーを意識したかのような音像にむしろ2014年の今こそ1周回ってOK感が漂う。長野で知り合ったメンバー中心に東京で結成されたバンドTHE LOST CLUBは、そういった音楽的背景を濃厚に感じさせる。

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Animals As Leaders: The Joy of Motion

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Animals As Leaders: The Joy of Motion

Animals As Leaders
The Joy of Motion
SUMERIAN RECORDS, 2014年(輸入盤)
BUY: Amazon CD

今回も期待通りの変態ぶり。当たり前だけれど、褒め言葉だ。ただ今作は、インスト・プログレッシブ・メタルにピンとこない人にも聴いてもらえるかもしれない、と思える仕上がりになっている。

Animals As Leaders(以下AAL)はギタリストTosin Abasiのソロプロジェクトから生まれた、ワシントンD.C.を拠点に活動するバンド。8弦ギター×2+ドラムという編成も珍しいが、何よりその楽曲の特異性で、シーンの中でも既に影響力を持つ存在だ。音楽学校で学んだというジャズをはじめ、エイフェックス・ツインやスクエア・プッシャー等のIDM、ザ・デリンジャー・エスケイプ・プラン等のカオティック・ハードコア、他にも多岐にわたるジャンルの音楽を好んで聴いたというTosin。AALの楽曲の肝は、影響を受けた音楽の要素がクラシックなプログメタルに大胆に加えられ、更にそれらが古臭くないセンスで纏められているということ。このバランス感覚が絶妙なのだ。

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キツネの嫁入りpresents 第四回スキマアワー「学校では教わらなかった音楽」

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キツネの嫁入りpresents 第四回スキマアワー「学校では教わらなかった音楽」

キツネの嫁入りpresents 第四回スキマアワー「学校では教わらなかった音楽」
photo by 井上嘉和

2014年4月13日に京都木屋町の元・立誠小学校で開催された、キツネの嫁入りpresents 第四回スキマアワー「学校では教わらなかった音楽」のクロスレビュー(複数名によるライヴレビュー)を掲載します。以下、イベントの詳細です。

日時:2014年4月13日 13時オープン、14時スタート
場所:京都木屋町 元・立誠小学校
出演:THA BLUE HERB、テニスコーツ、Ropes、キツネの嫁入り、金 佑龍(キム ウリョン)、dry river string
Food:木屋町アバンギルド
出店:岡村詩野、100000tアローントコ、3みっつ、狐ノ嫁入自由市場

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葉山久瑠実: イストワール

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葉山久瑠実: イストワール

葉山久瑠実
イストワール
自主制作, 2014年
BUY: 葉山久瑠実 公式サイトにて郵送販売

ある日、パソコンでKANA-BOONやHAPPY等を輩出した音楽コンテスト『eo Music Try』のホームページを見ていた。様々な音源に耳を傾ける中、あるアーティストの唄に思わず体が硬直した。コミカルとシニカルが融合した歌詞に熱のこもるピアノ演奏。しかし、その歌声はビリー・ホリデイのような、どこか暗く虚無感に満ちあふれ、私の耳を惹きつけて離さない。気がつけばそのアーティストの音源を何度も繰り返し聴いていた。これが葉山久瑠実との出会いである。

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平井堅: グロテスク feat. 安室奈美恵

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平井堅: グロテスク feat. 安室奈美恵

平井堅
グロテスク feat. 安室奈美恵
アリオラジャパン, 2014年
Amazon CD+DVD, iTunes

ポップ・ミュージックは時代を映す鏡として機能する。携帯電話、インターネット等の科学技術は僕らの魔法であり夢の武器となるはずだった。お互いの理解を深め、遠くに住む友人たちを結びつけ、世界はサード・サマー・オブ・ラヴを迎えるだろうと半ば本気で信じられていた。しかし実際には出会いの安易化から、インターネットだけでなく、実社会の一部においても使い捨ての人間関係が蔓延することになる。安室奈美恵とデュエットしたこの曲で、平井堅はそんな時代の闇を痛切に歌う。

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少年ナイフ: 嵐のオーバードライブ

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少年ナイフ: 嵐のオーバードライブ

少年ナイフ
嵐のオーバードライブ
P-VINE, 2014年
BUY: Amazon MP3 & CD, iTunes

少年ナイフは結成33年を迎えるバンドだ。オリジナルメンバーのなおこ(Vo,G,etc.)を中心に、現在のメンバーはりつこ(Ba,Vo)、えみ(Dr,Vo)の3人で日本はもとより海外での活動も多い。世界で一番有名な日本のバンドとも言われている。

彼女たちの魅力は、キャッチーなメロディーと分かりやすく独特のゆるい歌詞にあると思う。世の中難しい事が多いけれど、彼女たちの音楽を聴いているとそんな事を忘れて楽しい時間に浸ることができる。ただ、音楽をしている人も人の子。生きていると好きなものも、やっている音楽の嗜好も変化するものだ。しかし、少年ナイフの音楽は、良い意味で昔から一貫していて、今聴いても古さを感じることはない。歌詞も自分が感じたままに素直に表現しているように思う。自分をこう見せたいとかそういった類のものを一切感じさせないし、強いメッセージが込められているわけでもない。だから楽しく聴けるのではないかと思う。

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三輪二郎: Ⅲ

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三輪二郎: Ⅲ

三輪二郎

マイベスト!レコード, 2014年
BUY: Amazon CD, disk union

京都拾得で前野健太の弾き語りを観た。感極まり悶えるように激しく歌いながら、終演後に話すと丁寧で穏やかな物腰に驚いた。高田渡、井上陽水から、サニーデイ・サービスに至るまで、日本のブルース、カントリー、フォーク・ロックには、静かな演奏の内に狂気、激情、ユーモアが共存している。前野の盟友であるSSW三輪二郎もきっと同じ類いの表現者だろう。

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Brainfeeder 4: at 新木場ageha: Seiho, フライング・ロータス

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Seiho: ABSTRAKTSEX

2014年5月23日
Brainfeeder 4
at 新木場ageha
Seiho, フライング・ロータス
BUY: Amazon CD

ブレインフィーダーのライヴシリーズも今回で4回目。場所を新木場agehaに移し、レーベルの総帥フライング・ロータスをはじめサンダーキャットなど史上最大のスケールで開催された。特にフライング・ロータスのパフォーマンスは、桁違いであった。錯視の効果を用いて3Dの映像を作り出し宇宙のビッグバンを思わせるステージは圧巻の一言に尽きる。そんなパーティーの最後を飾ったのが関西拠点のレーベルDay Tripperの主宰Seihoだ。

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Gotch: Can’t Be Forever Young

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Gotch: Can't Be Forever Young

Gotch
Can’t Be Forever Young
only in dreams, 2014年
BUY: Amazon CD , LP & MP3, iTunes

例えるなら、フォトモザイクのような作品だ。遠くから見ると1枚の絵だが、近寄って見てみると小さな写真が何枚も集まって一つの大きなアートを作り上げている。今作においてのピースは、日常を切り取ったような歌詞に表情豊かな登場人物。多彩なゲストミュージシャンたち。皮肉、恋、執着。これらが集まって浮き立たせるのは、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文。そして「死」という最大のテーマだ。

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sukida dramas: Teddy Boy

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sukida dramas: Teddy Boy

sukida dramas
Teddy Boy
ONE BY ONE, 2014年
BUY: Amazon CD, iTunes

京都のそれと同じく、名古屋のインディー・シーンにも良い意味で狭いゆえの親密さがある。それが近年さらに狭くなっている。演奏する音楽ジャンルや出演するライヴハウス、出身大学などでおおよそ仕切られていた枠が、LIVERARYのような新しい地元密着メディアの登場や、低コストでノルマ・フリーなライヴ・スペースの乱立で崩されている。そういった自由な雰囲気は責任や自主性と表裏一体でもある。そんな名古屋の重要レーベル《ONE BY ONE》から、2011年結成、名城大学世界民族音楽研究会発、5人組キーボード・パンクスsukida dramas(スキダドラマズ)のシングルがリリースされた。

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For Tracy Hyde: in fear of love e.p.

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For Tracy Hyde: in fear of love e.p.

For Tracy Hyde
in fear of love e.p.
自主制作, 2014年
配布先: File Under: Youthwave: The Best Things In Life Come For Free…

夏の夜の泡沫。10代の恋は氷のようにはかない。アイスクリームが溶けて彼女の白く細い腕にしたたる。ブルースを感じる声は聴く者を濡らしそっと包み込み、鋭く冷たく切り刻むギター・カッティングに重く確かなビート。煌びやかなバンド・サウンドは、ネオ・アコースティックがアシッド・ハウス、シューゲイザーに精神性を受け継がれ、更に90年代渋谷系ミュージシャンを通して日本へ紹介され、独自の進化を遂げていった様を駆け足で再現する。東京拠点で英ガーディアンのような海外メディアにも取り上げられるツイン・ギターの4人組ロック・バンドFor Tracy Hydeが、《Maltine》からリリースする10代のSSWラブリーサマーちゃんをヴォーカルに迎え、5人編成として初の音源をリリースした。

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