【クロスレビュー】Nicholas Krgovich + Deradoorian Japan Tour 2015

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Nicholas Krgovich + Deradoorian Japan Tour 2015 at KDハポン

2015年4月3日 at 名古屋鶴舞K・Dハポン
7e.p. presents〈Nicholas Krgovich (No Kids, Gigi, P:ano) + Deradoorian (Dirty Projectors, Avey Tare’s Slasher Flicks) Japan Tour 2015〉

まずアメリカン・トラッドを伴奏に日本の神代の儀式、続いて能や浄瑠璃を思わせるような中東のミュージカル、最後は20世紀初頭のアメリカのラヴ・ロマンスへ。極上のハリウッド映画でも観た気分にさせられてしまった。鶴舞K・Dハポンで行われたニコラス・ケルゴヴィッチとエンジェル・デラドゥーリアンの来日、名古屋公演を目撃した。

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【コラム】シカゴ・ヒップホップ・シーンを考える

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【コラム】シカゴ・ヒップホップ・シーンを考える

【コラム】シカゴ・ヒップホップ・シーンを考える

南部から北部へ~グレート・マイグレーションがもたらしたモノ~

私はいま神戸のCDショップでスタッフとして働いており、何か面白い音源はないだろうかと探すのが日課となっている。その中でシカゴがシラクと呼ばれていることを発見した。シラクとは、毎日誰かが銃による犯罪で命を落としている同地を戦争中のイラクと変わらぬほど危険な街という意味でシカゴ+イラク=シラクということだ。そんなシカゴの状況を変えたいという思いは、シカゴの黒人居住区チャタムで育った一人のラッパーも同じだったようだ。彼の名は、チャンセラー・ベネット。チャンス・ザ・ラッパーとしてヒップホップ・シーンに留まらずマドンナやスクリレックスとコラボするなど、いま1stアルバムが待たれている大注目の新人だ。彼は父親が始めたソーシャル・メディア・キャンペーン“Memorial Day Weekend”という通称“#savechicago”と呼ばれる木曜日から土曜日の夜までの42時間銃による犯罪をゼロにするという活動に力を貸した。それが称えられ2014年11月9日、シカゴ市長ラーム・エマニュエルからその年のイリノイ州で最も社会貢献を果たした若者に贈られる「Outstanding Youth Of The Year」を受賞した。このニュースは音楽の持つ力と文化を考えさせるきっかけを作ってくれた。そこから私はシカゴの街とこの街が育んできた音楽の関係を黒人文化の歴史という視点から紐解いてみたくなった。なので『シカゴ・ヒップホップ・シーンを考える』と題したこの連載コラムを使い、仕事の合間をぬって日々調べているヒップホップの特にシカゴについての発表の場としたい。その第一段階として、まず南部で生まれたルーツ・ミュージック(ブルースはミシシッピ、ジャズはニュー・オリンズ、カントリーはアパラチア山地)が、どのように北部へ伝わっていったのか。特にシカゴへどう伝わったのかを紐解いてみたい。

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【レビュー】odd eyes『A love supreme for our brilliant town』

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odd eyes『A love supreme for our brilliant town』

odd eyes
A love supreme for our brilliant town
Summer Of Fan, 2015年
BUY: Summer Of Fan 取扱い店一覧

大人げない大人たち。odd eyesはそんな集団だ。世代を代弁し、時には毒を吐くことが音楽の役目だが、彼らの狙いは多分そこにはない。競争と力が全ての社会と対峙し、自己を確立するためにバンドをやっているのではないか。自由と責任の中で生きていくためには、それが必要なのだ。大人にコントロールされるのは嫌だ。その象徴とも言える場所が、METROで月1で開催している、京都拠点のバンドマンが中心となり、各地方から多種多様なゲストを招く〈感染ライブ〉であり、このコミュニティ周辺からodd eyesは支持を拡大している。

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【ライヴレビュー】club solanin vol.28 at 新栄Live & Lounge Vio

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2015年3月27日 club solanin vol.28 at 新栄Live & Lounge Vio

club solanin vol.28
2015年3月27日 at 新栄Live & Lounge Vio
ROTH BART BARON / tigerMos / OGA(The clubbers) / I-NiO

一方は自然の根源に身をまかせるような、他方は巨大な自然にがむしゃらにぶつかっていくような、新世代バンド2組を観てきた。アメリカでの音楽活動をへて名古屋に漂着したイケダユウスケがレミ街の荒木正比呂と結成したtigerMos。片や幼なじみの2人でアメリカ・ツアーを敢行するROTH BART BARON。彼らの共演はこれで3度目だ。

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【コラム】30回目の祝春一番、GWにホンモノの風を吹かせる

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祝春一番2015

祝春一番2015

今年関西地方では春一番が吹かなかったらしい。そういえばニュースやってなかったなと思いながら早めの桜の開花と、ぶり返す寒さ、いつも違った春の匂いを感じている。しかし吹き付ける“春ですよ”の合図があろうがなかろうが、大阪では毎年ゴールデンウィークになれば風物詩的に〈春一番〉を体いっぱいに味わうことが出来る。祝春一番コンサート、まだ日本に大規模なロックコンサートなど数少なかった1971年の初回開催以来、44年に渡るシリーズイベントである。

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【レビュー】オシリペンペンズ『オールバック学園Z』

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オシリペンペンズ『オールバック学園Z』

オシリペンペンズ
オールバック学園Z
こんがりおんがく, 2015年
BUY: Amazon CD, タワーレコード, iTunesで見る

「まだパンクスやらせてくれ」と、石井モタコはステージでそう言った。3月6日、南堀江socore factoryで行われたオシリペンペンズのレコ発ライヴでのことだ。何気ない一言かも知れないが妙に引っかかった。“パンクス(punks)”とはなんだろうか? 社会に反抗する精神を持つ者、ステージ上で過激なパフォーマンスを見せる者、セックスとドラッグにまみれた生活を送る者のことだろうか? パンクスの定義は十人十色、人それぞれだがオシリペンペンズの最新アルバムを聞いた上で私は「理屈抜きにその時代に流れる空気感や雰囲気を切り取ることが出来る者」を挙げたい。

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【インタビュー】踊る!ディスコ室町『洛中にてファンク』

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踊る!ディスコ室町

踊る!ディスコ室町

京都が誇る最高にファンキーでグルーヴィな6人、踊る!ディスコ室町。2015年3月18日にバンド史上初の全国流通版『洛中にてファンク』をリリース。前作から2年という歳月を経て満を持しての発売となるが、この期間バンドはメンバーもほぼ総入れ替えとなり生まれ変わっていた。新たなメンバーで紡ぎだされる室町ファンクとは? 最新作の聴きどころとは? 踊る!ディスコ室町というバンドにぐっと迫るべく、2015年3月中旬に彼らの地元である京都にてインタビューを敢行!(テキスト・構成:佐藤 ワカナ

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【花泥棒 稲本裕太のザ・東京砂漠】4. ピース

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【花泥棒 稲本裕太のザ・東京砂漠】

【花泥棒 稲本裕太のザ・東京砂漠】4. ピース

少しさかのぼるけど、ホステス・クラブ・ウィークエンダーでベル・アンド・セバスチャンのライヴを見た。春の日の公園を散歩しているようなほほえましい空気も、恋しているときのような高鳴りも両方ある、手をつないだ若い男女がゆっくり年月をかけて老夫婦になっていく様を見ているような素晴らしいライヴだった。ベスト・アルバム的な新旧織り交ぜた選曲だったこともそう感じた原因かもしれない。

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【ライヴレビュー】ベースメント・ジャックス〈JAPAN TOUR 2015〉at 大阪なんばHatch

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BASEMENT JAXX『Junto』

BASEMENT JAXX
フント(Junto)
Hostess Entertainment, 2014年
BUY: Amazon CD, タワーレコード, iTunesで見る

「ヤバい!! 楽しい!!」

終演後、思わずそんなことを大声で叫んでしまった。〈FUJI ROCK FESTIVAL 2014〉でのライヴ以降、12月には地元イギリスはロンドンにて2万人規模のアリーナ公演を成功させて、今まさに波に乗っているベースメント・ジャックス。そんな彼らの5年ぶりとなる大阪でのワンマン・ライヴは、明るくメロウなダンサブルなナンバーが目立った最新アルバム『フント(Junto)』を受けてのツアーだけあって、徹底的に観客が踊れる演奏を想像したが、“ライヴ”と“ショー”という2つのエンターテイメントを楽しめるものであった。

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【レビュー】FEST VAINQUEUR「ペルソナ傷女」

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FEST VAINQUEUR「ペルソナ傷女」

FEST VAINQUEUR
ペルソナ傷女
PLUG RECORDS west, 2015年
BUY: Amazon CD&MP3, タワーレコード, iTunesで見る

ユニークなバンドである。関西発のヴィジュアル系(以下V系)バンドFEST VAINQUEUR(以下FV)は、見目麗しく、妖しい雰囲気もあって、クールで、という従来の王道V系スタイルに、おもしろさと親しみやすさをくっつけたようなバンドだ。

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【レビュー】DABIDE’s fire『おはよう、チェッコリさん。』

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DABIDE's fire『おはよう、チェッコリさん。』

DABIDE’s fire
おはよう、チェッコリさん。
YASAI RECORDS, 2015年
BUY: DABIDE’s fire CD

気の抜けるようなタイトルだがその内容は至って真面目。バンド史上初の流通盤『おはよう、チェッコリさん。』は「DABIDE’s fireとは?」という問に対して、現時点で考えうる答えを全て収録した、そんな1枚だ。

彼らが現メンバーでの活動を開始したのは2013年。大阪を拠点とし、年に一度のペースで自主企画を開催。そこにはthe unknown forecastやAge Factoryといった同世代の盟友バンドが名を連ねる。コンスタントな活動の一方で、大型サーキットフェス〈見放題〉へ2年連続で出演したり、関西を代表するライヴ&DJイベント〈onion night!〉で彼らの曲が流れたりと、常に関西インディー・ロック・シーンの最前線に彼らの名が見えてくる。

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【レビュー】neco眠る『BOY』

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neco眠る『BOY』

neco眠る
BOY
こんがりおんがく, 2014年
BUY: Amazon CD&MP3, タワーレコード, iTunesで見る

2012年の活動再開以後、私は関西の様々なイベントでneco眠るを目撃した。活動休止前は「盆踊り系」と形容されていたが、初めて味園ユニバースで彼らを観た時には、本作品の1曲目でもあり、こんがりおんがくとカクバリズムのWネームで12インチでも発表されている「お茶」がneco眠るのリード・トラックとなっていた。キャッチーで踊れる事に間違いはないのだが、形容されているサウンドと若干のズレが生じているのを感じた。その予感通り、本作で彼らは6年のブランクを経て、新たなステージへ華麗に着地した。

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【ライヴレビュー】ベンジャミン・ブッカー〈Hostess Club〉大阪梅田Shangri-La

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Benjamin Booker『1st Album』

Benjamin Booker
1st Album
Hostess, 2014年
BUY: Amazon CD, タワーレコード, iTunesで見る

いま『音楽ライター講座in京都』では、それぞれが都市と音楽の関係を考察している。私のテーマは「シカゴの現行ヒップホップシーン」を黒人の歴史の流れの中で見ること。そんな私にとって本稿で紹介するベンジャミン・ブッカーは黒人の歴史という観点から見ると少し異質な存在と言えるかも知れない。

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【コラム】デヴィッド・バーンも認める才能とダーティー・プロジェクターズの天使が競演!

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Nicholas Krgovich

Nicholas Krgovich

LAKEなどKレーベル所属ミュージシャンを始め良質な海外インディーの日本盤リリース、来日ツアーを行う7e.p.が7か月ぶり、2015年最初の招聘ツアーを4月に行う。

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【クロスレビュー】セイント・ヴィンセント at 大阪梅田クラブ・クアトロ

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セイント・ヴィンセント at 大阪梅田クラブ・クアトロ

セイント・ヴィンセント
2015年2月19日 at 大阪梅田クラブ・クアトロ

セイント・ヴィンセントの持つ2面性

70年代のハードロック・バンドのギタリストを思わせるリフと不規則なビートで独自の世界観を築いてきたアニー・クラークによるソロ・プロジェクト、セイント・ヴィンセント。00年代後半、トレンドの一つとなった街ブルックリンに拠点を置き、ヴァンパイア・ウィークエンドなどと共に頭角を現したシンガー・ソングライターだ。最新作『セイント・ヴィンセント』(2014)では第57回グラミー賞オルタナティヴ・ミュージック・アルバムを獲得するなど大きな成功を手にした。バイオグラフィーをいまさら書くこともないと思う方もいるだろう。しかし、関西圏では〈サマー・ソニック 2012〉以来で今回が初の単独公演であること。そして、普段神戸のCDショップで働いている私からすると、彼女が日本のメディアからの評価と同等の人気を獲得しているかと言われれば疑問が残る。実際、今回の公演でも満員とはならなかった。学生時代から彼女の音楽に触れてきた私としては、8年越しの初ライヴに感慨深いものがあったと同時に、関西でこういった音楽が手軽に享受できる状況はできまいかと思いを新たにした。と前置きが長くなってしまったが、ここからは彼女のライヴ・レポートに移りたいと思う。

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