【クロスレビュー】ザ・ローリング・ストーンズ『ブラック・アンド・ブルー』

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ザ・ローリング・ストーンズ『ブラック・アンド・ブルー』

THE ROLLING STONES
BLACK AND BLUE
ソニー・ミュージックレコーズ, 1976年
BUY: Amazon CD&MP3, タワーレコード, iTunesで見る

ki-ftレビュアーが参加している岡村詩野による〈音楽ライター講座in京都〉では、6月14日に田中宗一郎さん(the sign magazineクリエイティブディレクターetc.)をお迎えし、特別講座「田中宗一郎先生の赤ペン講義」を実施致しました。先生から我々に与えられた課題はザ・ローリング・ストーンズ『ブラック・アンド・ブルー』(1976年発表作品)でした。

「この作品を選んだ理由は、音楽的な参照点が明確で、時代的な背景にも影響されてて、リリックも分析対象になり、すでにしっかりと歴史的な位置付けがされているから。これについて書けないなら、何についても書けない、現代のものも書けないよ」とおっしゃる先生。当日は4時間に及ぶ熱血指導で、濃密な講義となりました。その指導を経て完成した二つの記事をアップいたします。

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【レビュー】想像で語る故郷 | シャムキャッツ『TAKE CARE』

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邦楽と漫画は同じサブカルチャーとして常に(時には邦楽と洋楽よりも)近い間柄にあるが、邦楽でいう“東京インディー”が漫画界にもあるのをご存知だろうか。なかでも澤部渡(スカート)や鴨田潤が寄稿する自主制作漫画誌『ユースカ』に関わる漫画家やミュージシャンは、その相思相愛ぶりもあって、ジャンルを超えた一つのカテゴリとして多くのファンを得ている。『ユースカ』常連のひとりで、今作と前作でシャムキャッツのアートワークを手がけた京都出身の漫画家・サヌキナオヤは、昨年11月、同誌周辺の漫画家3人と漫画誌『蓬莱』を創刊した。表紙には足立区荒川沿いのありふれた道路風景が描かれ、「ロードムービー」という題に沿った淡々とした作品が並ぶ。メジャー誌でいえば『聲の形』や『惡の華』もそうだが、震災以降、都市でも田舎でもない“地方都市”を舞台に選び、かつそれを隠さない漫画が増えているように思う。前述2作品はそこが作者の故郷だからで、彼らが自身の青春を堂々と作品に持ち込むことは、今やエゴではないのだ。同様の流れは邦楽の方の“東京インディー”にもあり、大雑把に言えば、シャムキャッツの前作『AFTER HOURS』もそれに括られる作品だった。今作『TAKE CARE』は、その続編ということらしい。2014年春の千葉県浦安市を閉じ込めたタイムカプセルの“続き”。それは決して、単なる一年後の世界ではないはずだ。

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【四国の音楽シーン大調査!】ライヴハウス、レーベル経営者から見る四国の音楽

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香川県高松市のレコードショップ兼ライヴハウスTOONICE

香川県高松市のレコードショップ兼ライヴハウスTOONICE

四国の音楽シーンを大調査! 第一弾はAAT、cowbells、forget me not、ITHAQUA、NNO、Off-end、Spiral Esparzaといったバンドでドラマーとして活動しながら、香川県高松市でImpulse records、TooNiceというレーベル、そしてレコードショップ兼ライヴハウスTOONICEを運営されている井川晃里さんにお話を伺ってきました! ご自身の活動から四国の音楽シーンまで幅広く語って頂いています。

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【レビュー】職人気質な神戸っ子に宿るパンへのリスペクト | シンリズム『NEW RHYTHM』

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シンリズム『NEW RHYTHM』

シンリズム
NEW RHYTHM
Ano(t)raks/FAITH MUSIC ENTERTAINMENT INC., 2015年
BUY: Amazon CD&LP, タワーレコード, iTunesで見る

「海があって、人があまりいなくて、パンもすごくおいしい。」

LOSTAGE 五味岳久の奈良からの手紙~LOVE LETTER form NARA~ > 第5回 tofubeats

tofubeatsの神戸感。あまりにも的確な一言である。特筆すべきは最後の一文! フランスパンを戦後の日本に広めたドンクやビゴの店は神戸から生まれ、今では修行を積んだブーランジェ達が至るところでお店を開いている。レコルト、ビアンヴニュ、レ・ミュウ……。トップクラスの実力と人気を誇る上記のベーカリーも、兵庫県内にてDNAを引き継いでいる。

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【レビュー】ヤバイTシャツ屋さん「そこまでヤバくない」

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ヤバイTシャツ屋さん「そこまでヤバくない」

ヤバイTシャツ屋さん
そこまでヤバくない
FUZZ MUSIC RECORDS, 2015年
BUY: Amazon CD, 三国ヶ丘FUZZ店頭, ライヴ会場物販

キタでもミナミでもない、大阪エリアの南に位置する街、堺が最近騒がしい。

その中心にあるのは、三国ヶ丘FUZZというライヴハウスだ。快進撃が止まらないKANA-BOONのホームであり、南大阪エリアの数少ないライヴハウスということで、この地域の登竜門的な役割を担い、多くの若手が集うことで横の繋がりも生まれ、シーンの形成に一役かっているのだろう。その三国ヶ丘FUZZから新たな刺客が現れた。その名も、ヤバイTシャツ屋さん、通称ヤバTだ。メンバーのこやま(Vo, G)は「寿司くん」名義で、岡崎体育やみるきーうぇい、ハウリングアンプリファーといった同世代アーティストのPVを手掛けており、この寿司くんを通したバンドの繋がりが堺発信のシーンを更に面白くしていキッカケになる……日もそう遠くないだろう。そして、その渦中ど真ん中のヤバTが、2015年4月に待望の初音源『そこまでヤバくない』をリリース。タイトルに反して、この作品は憎たらしいほどかっこよくて、十分ヤバイ作品だ。

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【レビュー】出せば売れる!“ライヴ・アルバム”というトレンドを作った怪作 | ピーター・フランプトン『フランプトン・カムズ・アライヴ!』

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ピーター・フランプトン『フランプトン・カムズ・アライヴ!』

ピーター・フランプトン
フランプトン・カムズ・アライヴ!
A&M records, 1976年
BUY: Amazon CD&MP3, タワーレコード, iTunesで見る

美しい顔立ちにウェーブがかったロングヘア。スマートな出で立ちで女性の心をつかみ、圧倒的なアイドル・ミュージシャンとして地位を確立。さらには高校時代にデビッド・ボウイとギターを弾き、スティーヴ・マリオットとハンブル・パイを結成し、その後はジョージ・ハリスンの作品にギタリストとして参加。世間からも音楽家からも溺愛された中、全米ツアーを敢行し、選りすぐりのテイクを収めた2枚組のライヴ・アルバム『フランプトン・カムズ・アライヴ!』は、1976年を代表するどころか、”ライヴを録音して販売すれば売れる”というトレンドを作った怪物盤だ。

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【レビュー】永遠に踊るための準備はいいかい? | 夜の本気ダンス「By My Side」

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関西を中心に定期開催されているLIVE&DJイベントで、〈見放題〉〈MINAMI WHEEL〉と共に近年の関西ロックキッズ達の登竜門的存在となっている「onion night!」で、2013年に初めて見た時、なんじゃこのバンド名は? と思ったが、そこから早2年。全国各地のロックフェスに引っ張りだことなった今、もはや“ザ・ベスト・オブ名は体を表す”としか思えなくなった夜ダン。神戸から出てきたキュウソネコカミ、大阪は堺から出てきたKANA-BOONに続く、京都からの“第三の男たち”として関西ギターロックシーンを牽引する存在となっている。

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【花泥棒 稲本裕太のザ・東京砂漠】5. Bigmouth strikes again

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【花泥棒 稲本裕太のザ・東京砂漠】

【花泥棒 稲本裕太のザ・東京砂漠】5. Bigmouth strikes again

ようやくというかさすがにというか、東京での生活も落ち着きだした。お金なさすぎて死にそうということもバンドやれなさすぎて精神衛生上よくないということもなく、割としっかり日々を過ごしている。

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【ライヴレビュー】祝春一番2015

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服部緑地野外音楽堂で開催された祝春一番2015

服部緑地野外音楽堂で開催された祝春一番2015

5月3日、朝9時半ごろ、服部緑地野外音楽堂。1971年の初回から数え通算30回目の〈春一番〉が11時より開演されるに先立ち、観客列をなす。先頭付近からは「79年のハルイチが終わる時な、フータ言うててんけど……」とお客さんと共に歩んできたこのイベントの歴史が伺えるような会話もちらほら。お手製の手書きボードで撮影禁止や最後尾の案内をする有志スタッフの声も聞こえる。主催者福岡風太がぽつと言った今回のテーマは「原点」。時代の潮流を気に掛けることはなく彼が“ホンモノの音楽”と認めたものだけを届ける、一本筋の通った野外コンサートであるが、今年は長い歴史だからこそ培われてきた、演者・お客さん・スタッフそして音楽の“縁”を強く感じた。

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【コラム】ki-ftレビュアーが京都レコード祭りで見つけた一枚!

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第3回 京都レコード祭り 2日目夕方の模様

第3回 京都レコード祭り2015 2日目夕方の模様

すでに年に一度のお楽しみとして定着化しつつある〈京都レコード祭り〉。三回目を迎えた2015年は5月16日(土)と17日(日)にゼスト御池で行われ、今年も多くの人が訪れました。聞くところによると、初日の午前中は一番揃っている時間帯ということもあって、レコード・ジャンキーでごった返したとか。会場の至るところでレア盤や名盤が安価で見つかるということもあって、ki-ftレビュアーも17日夕方に会場入りし、気合を入れてダンボール箱のLP・EP・CDを掘りに掘ってきました。この記事では「ki-ftレビュアーが京都レコード祭りで見つけた一枚!」と題し、写真とレビュー付きで購入した音源を紹介しましょう。ジャケ買いあり、思わぬ収穫ありな一日となった模様です。

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【インタビュー】Shout it Out『Prologue』

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Shout it Out

Shout it Out

社会の荒波に揉まれ、ふと気づいたら大人になっている。あの頃に抱いていた感情はすごい速さで流れていく時代のどこかに置いてきた。大阪は堺市で結成された平均年齢18歳の4人組ギター・ロック・歌モノバンド、Shout it Out。彼らの初となる1st Mini Album『Prologue』がリリースされた。その音源を聴いて、にじみ出てくるほどに感じる“青々しさ”はそんな忘れていたあのときの自分に面と向かうようで、人目も気にせず無性に叫びたくなる気持ちに駆られる。2010年代を生きる10代の彼らが今、何を思い、感じているのか、その青々しさに迫った。(テキスト・構成:山本 悟士

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【クロスレビュー】Nicholas Krgovich + Deradoorian Japan Tour 2015

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Nicholas Krgovich + Deradoorian Japan Tour 2015 at KDハポン

2015年4月3日 at 名古屋鶴舞K・Dハポン
7e.p. presents〈Nicholas Krgovich (No Kids, Gigi, P:ano) + Deradoorian (Dirty Projectors, Avey Tare’s Slasher Flicks) Japan Tour 2015〉

まずアメリカン・トラッドを伴奏に日本の神代の儀式、続いて能や浄瑠璃を思わせるような中東のミュージカル、最後は20世紀初頭のアメリカのラヴ・ロマンスへ。極上のハリウッド映画でも観た気分にさせられてしまった。鶴舞K・Dハポンで行われたニコラス・ケルゴヴィッチとエンジェル・デラドゥーリアンの来日、名古屋公演を目撃した。

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【コラム】シカゴ・ヒップホップ・シーンを考える

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【コラム】シカゴ・ヒップホップ・シーンを考える

【コラム】シカゴ・ヒップホップ・シーンを考える

南部から北部へ~グレート・マイグレーションがもたらしたモノ~

私はいま神戸のCDショップでスタッフとして働いており、何か面白い音源はないだろうかと探すのが日課となっている。その中でシカゴがシラクと呼ばれていることを発見した。シラクとは、毎日誰かが銃による犯罪で命を落としている同地を戦争中のイラクと変わらぬほど危険な街という意味でシカゴ+イラク=シラクということだ。そんなシカゴの状況を変えたいという思いは、シカゴの黒人居住区チャタムで育った一人のラッパーも同じだったようだ。彼の名は、チャンセラー・ベネット。チャンス・ザ・ラッパーとしてヒップホップ・シーンに留まらずマドンナやスクリレックスとコラボするなど、いま1stアルバムが待たれている大注目の新人だ。彼は父親が始めたソーシャル・メディア・キャンペーン“Memorial Day Weekend”という通称“#savechicago”と呼ばれる木曜日から土曜日の夜までの42時間銃による犯罪をゼロにするという活動に力を貸した。それが称えられ2014年11月9日、シカゴ市長ラーム・エマニュエルからその年のイリノイ州で最も社会貢献を果たした若者に贈られる「Outstanding Youth Of The Year」を受賞した。このニュースは音楽の持つ力と文化を考えさせるきっかけを作ってくれた。そこから私はシカゴの街とこの街が育んできた音楽の関係を黒人文化の歴史という視点から紐解いてみたくなった。なので『シカゴ・ヒップホップ・シーンを考える』と題したこの連載コラムを使い、仕事の合間をぬって日々調べているヒップホップの特にシカゴについての発表の場としたい。その第一段階として、まず南部で生まれたルーツ・ミュージック(ブルースはミシシッピ、ジャズはニュー・オリンズ、カントリーはアパラチア山地)が、どのように北部へ伝わっていったのか。特にシカゴへどう伝わったのかを紐解いてみたい。

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【レビュー】odd eyes『A love supreme for our brilliant town』

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odd eyes『A love supreme for our brilliant town』

odd eyes
A love supreme for our brilliant town
Summer Of Fan, 2015年
BUY: Summer Of Fan 取扱い店一覧

大人げない大人たち。odd eyesはそんな集団だ。世代を代弁し、時には毒を吐くことが音楽の役目だが、彼らの狙いは多分そこにはない。競争と力が全ての社会と対峙し、自己を確立するためにバンドをやっているのではないか。自由と責任の中で生きていくためには、それが必要なのだ。大人にコントロールされるのは嫌だ。その象徴とも言える場所が、METROで月1で開催している、京都拠点のバンドマンが中心となり、各地方から多種多様なゲストを招く〈感染ライブ〉であり、このコミュニティ周辺からodd eyesは支持を拡大している。

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【ライヴレビュー】club solanin vol.28 at 新栄Live & Lounge Vio

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2015年3月27日 club solanin vol.28 at 新栄Live & Lounge Vio

club solanin vol.28
2015年3月27日 at 新栄Live & Lounge Vio
ROTH BART BARON / tigerMos / OGA(The clubbers) / I-NiO

一方は自然の根源に身をまかせるような、他方は巨大な自然にがむしゃらにぶつかっていくような、新世代バンド2組を観てきた。アメリカでの音楽活動をへて名古屋に漂着したイケダユウスケがレミ街の荒木正比呂と結成したtigerMos。片や幼なじみの2人でアメリカ・ツアーを敢行するROTH BART BARON。彼らの共演はこれで3度目だ。

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