タグ : シャムキャッツ

【レビュー】想像で語る故郷 | シャムキャッツ『TAKE CARE』

Pocket

邦楽と漫画は同じサブカルチャーとして常に(時には邦楽と洋楽よりも)近い間柄にあるが、邦楽でいう“東京インディー”が漫画界にもあるのをご存知だろうか。なかでも澤部渡(スカート)や鴨田潤が寄稿する自主制作漫画誌『ユースカ』に関わる漫画家やミュージシャンは、その相思相愛ぶりもあって、ジャンルを超えた一つのカテゴリとして多くのファンを得ている。『ユースカ』常連のひとりで、今作と前作でシャムキャッツのアートワークを手がけた京都出身の漫画家・サヌキナオヤは、昨年11月、同誌周辺の漫画家3人と漫画誌『蓬莱』を創刊した。表紙には足立区荒川沿いのありふれた道路風景が描かれ、「ロードムービー」という題に沿った淡々とした作品が並ぶ。メジャー誌でいえば『聲の形』や『惡の華』もそうだが、震災以降、都市でも田舎でもない“地方都市”を舞台に選び、かつそれを隠さない漫画が増えているように思う。前述2作品はそこが作者の故郷だからで、彼らが自身の青春を堂々と作品に持ち込むことは、今やエゴではないのだ。同様の流れは邦楽の方の“東京インディー”にもあり、大雑把に言えば、シャムキャッツの前作『AFTER HOURS』もそれに括られる作品だった。今作『TAKE CARE』は、その続編ということらしい。2014年春の千葉県浦安市を閉じ込めたタイムカプセルの“続き”。それは決して、単なる一年後の世界ではないはずだ。

続きを読む