杉山慧、明日はどうなるのか。〜その1〜

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神戸在住、普段はCDショップ店員として働く杉山による連載企画の第一回。タイトルは神戸在住の音楽ライター安田謙一さん「神戸、書いてどうなるのか」のオマージュです。

ダーティー・プロジェクターズ『Lamp Lit Prose』
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ダーティー・プロジェクターズ「I Feel Energy」から見えてくるマイケル・ジャクソンへのリスペクト

ドレイクの新曲「Don’t Matter To Me」は、2009年に他界した故マイケル・ジャクソンの未発表音源を元に制作され、時代を超えたコラボが実現した。この他にも近年キング・オブ・ポップは再評価されてきており、ウィークエンドやブルーノ・マーズなど彼に対するリスペクトは留まることを知らない。そんな中、00年代ブルックリンを代表するバンドの一つダーティー・プロジェクターズも、新作『Lamp Lit Prose』収録の「I Feel Energy」で彼に対するリスペクトを表明している。

アンバー・マークをゲストヴォーカルに迎えた「I Feel Energy」のコーラスの使い方、リズムの反復と崩しなどは、デイヴ・ロングストレス節と言える展開だ。しかしギター、BPM、パーカッションやホーンなどはマイケル・ジャクソン「Don’t Stop‘Til You Get Enough」を下地にして作り変えたと言える程で、バンド史上屈指のダンストラックになっている。

さらにこの曲の面白い所は、歌詞まで同曲に合わせにいっている点だ。またアルバム全体には、“UNIVERSE”や“PLANET”“LOVE”といったマイケル・ジャクソンを想起させる言葉も散見される。

一方で「You’re the One」ではフリート・フォクシーズのロビン・ペックノールドが参加しているが、彼は2010年以降のインディーロックという概念の在り方についてデイヴ・ロングストレスと以前議論を交わしていた。そこを踏まえた上で「I Feel Energy」でのあからさまなマイケル・ジャクソンに対するオマージュを核とした本作を聴くと、その解答として、彼なりの節回しは残しつつ、外に開かれた音楽・聴いた人を巻き込む音楽としてダンス・ミュージックを意識的に作ったのではないだろうか。知らんけど。

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