【メンフィス留学記】音楽が鳴り止まない通り「Beale St.」、スティービー・ワンダーのライヴ
- By: 髙橋 夏澄
- カテゴリー: Column
- Tags: Stevie Wonder


10月11日、12日に一泊二日で、ルームメイトの韓国人の子とメンフィスへ行ってきた。住んでいるアパートの近くから、アメリカで大手のバス会社らしいmegabusに乗る。朝から雨でその日のバスは到着が30分も遅れてしまった。これがアメリカらしさか……。
エルヴィス・プレスリー三昧のBLUES CITY GENERAL STOREとBeale St.
8時30分、メンフィスに到着。バス停近くで朝食をとり、さあBeale Street(ビールストリート)へ。いつもならメンフィスにはトローリーが走っているそうだが、この日は運休で代わりにバスが走っており、それに乗って目的地へ向かった。バスに乗り合わせた黒人のおじちゃんが「どこから来たの? どこ行くの?」と親切に声をかけてくれ、「ここで降りたらいいよ」と親切に教えてくれた。感謝!
Beale St.とは、メンフィスの都心にある200メートルほどの短い道に、多くのバーとライヴハウスが集まっている場所。昼から賑わっていて、常に音楽が流れている。Beale St.の手前にはエルヴィス・プレスリーの像がある。メンフィスはエルヴィスの故郷であり、元自宅で現在は有名観光地にもなっているGrace Landもある。そしてハード・ロック・カフェの壁にはメンフィスの観光名所がペイントされていた。








ついに念願のBeale St.!! 早朝で雨天だったがすでに人がちらほら。まずBLUES CITY GENERAL STOREへ。この店に置いている商品の7割はエルヴィス関連なのでは? と思うくらい、彼のグッズがたくさんあった。



店の前にアメリカンな雑貨がディスプレイされている「A.SCHWAB」という店では、キャンドルや小物が買うことができる(かわいい雑貨が多いので個人的に女の人におすすめ)。





CDやレコードを売っている店もあったが、値段は日本で買うのとあまり変わらない。棚の下の方に中古のレコードは置かれていて、それは$7くらいで買える。


次にBLUES CITY CAFEで昼食。エビのフライを注文(決してエビフライではない)。店員さんも親切で気軽に入れる店だった。量は多いが、味は美味しい。$15も出せばお腹いっぱい食べられる。


Rock ‘n’ Soul Museumでブルースの歴史を紐解く
午後には、Beale St.の隣の通りにある、Rock ‘n’ Soul Museumへ。徒歩5分くらいで行ける。ここでは、ブルース誕生の歴史から始まり、WDIA(※1)、Stax Records(※2)を支えてきたプロデューサーやアーティストについて学ぶことができる。ガイドが流れる機器を入場口で渡され、展示品に書かれてある番号を打ち込むと機器からその展示についての説明が流れる。その時代を盛り上げた曲も聴けるのでなかなか楽しい。ただ、説明もガイドももちろん英語なので、多少アーティストを知っていないと退屈かも。
※1【WDIA】
1947年にテネシー州メンフィスで開局された、アメリカで初めての黒人による黒人のためのラジオ局。WDIAが開局されるまでは、音楽放送は白人による白人のためのものであった。なんとそのWDIA、今でも聴くことができる! WDIAのサイトで上メニューの一番左「ListenLive」をクリック→現れるWDIAのバナーをクリック。
※2【Stax Records】
1957年設立、1976年に倒産したレーベル。2003年にスタックス・スタジオ跡地に再建されたスタックス・アメリカン・ソウル・ミュージック・博物館(Stax Museum of American Soul Music)が開設した。サザン・ソウルやメンフィス・ソウルの形成に大きな役割を果たした。当時としては珍しい白人と黒人の混成バンドがスタジオバンドとして活躍。代表的なアーティストは、Otis Redding、Booker T. & the M.G.’s、Wilson Pickett、SAM & DAVE、Albert Kingなど。







CANNON CENTERで観るスティービー・ワンダーのコンサート
次にバスに乗ってスティービー・ワンダーのコンサートを観るため、会場であるCANNON CENTERへと向かう。開場時間になると、会場はドレスアップした人たちで溢れ返った。会場であるCANNON CENTERはかなり立派なホールだった。こんな所でコンサートを観るなんていつぶりだろう。開演時間を30分過ぎた頃、やっとコンサートは始まった。

今回のコンサートは、Jordin Sparks、India Arie、Ledisiなど5組のアーティストが前座として、「Isn’t She Lovely」などの曲をカバーした。私は産まれて初めて生で外国人女性ヴォーカルのコンサートを観たが、どこから声が出ているのかと思うくらい、それくらい圧倒的な声量だった。 それにグルーヴ感が凄かった。普段観るライヴでは、そこまでグルーヴを意識することはないが、このコンサートではすごく感じた。楽器隊がかなりしっかりした土台を作っており、それに負けないくらいの声量の歌がのっていたからだろう。日本の女性アーティストは舞台でいかに綺麗に、可愛く見せるかが重要視されると思うが、少なくとも今回観た女性アーティストは、いかにお客さんを楽しませるか、笑わせるかを重要視してるように感じた。袖からステージへ、履きなれないヒールを履いてぎこちない歩き方での登場にはなぜか好感が持てた。
そして休憩を挟んで22時過ぎ、やっとStevie Wonderが登場。日本のコンサートでは、主役が22時過ぎにステージに現れるなんて考えられない……。「I Just Called To Say I Love You」など5、6曲をメドレーで演奏した後、前座のアーティスト全員とStevie WonderでSAM & DAVEの「SOUL MAN」を披露。コンサートを観て個人的に、前座がほとんど持っていってしまったなと強く感じた。Stevie Wonderの演奏でもお客さんは盛り上がっていたし、楽しんでいた。しかし、前座のインパクトが強過ぎたのだ。それにせっかくだからカヴァーではなく本家の「Isn’t She Lovely」や「Sir duke」を聴きたかった。でも大好きな「SOUL MAN」を演奏してくれるとはまさか思わなかったから、最終的には観に行って良かったと思えるコンサートだった。