【コラム】フル編成の吉田ヨウヘイgroupが来阪!京都のSSW中村佳穂と梅田Noon+Cafeで共演
- By: 峯 大貴
- カテゴリー: Column
- Tags: 中村佳穂, 吉田ヨウヘイgroup


関西のイベントsustainal企画。今年〈RO69JACK〉3次選考にコマを進めた京都The Stone That Burnsや、昨年結成10周年を迎え京都で孤高の地位を築いている大所帯バンドLlamaなどもこれまでに出演しているが、今回は東京から吉田ヨウヘイgroupを招聘しての開催だ。
彼らの大阪初ライヴということで告知されているが実は厳密に言うと初ではない。2014年3月22日、心斎橋のせんばカフェBENで行われた〈春菊Vol.1〉というイベントに吉田ヨウヘイ(Vo, G, Sax)、西田修大(G)、池田若菜(Fl, Cho)、内藤彩(当時ファゴット)の4人が小編成として出演している。30人も入ればぎゅうぎゅうの会場でステージに座り、アコースティックサウンドで演奏していたことを記憶している。各楽器の“鳴り”とフレーズを緻密に構築していくサウンドである彼らにとって小編成での音数の減少はパワー不足の懸念もあったが、吉田ヨウヘイの本来根っこにあるフォークシンガー的資質とメロディの良さが感じられた貴重なライヴであった。
以降インストアでの小編成ミニライヴなどもあったが、フル編成としては初の大阪上陸となる。今年は3rd『paradise lost, it begins』を発売し、先月にはバンドの威信をかけたO-EASTでの初ワンマンライヴを成功させたばかりで勢いづいている。この日前半はマッチョな演奏で凄みを見せ、彼ら一番のポップネス「ブールヴァード」でさえコール&レスポンスが憚られるほど観客を制圧していた。しかしゲストである大谷能生(Sax)、岡田拓郎(G, ex.森は生きている)が参加するパートから一転、エモーショナルな部分が一気に開放された。ダブルアンコールで披露された2回目の「ブールヴァード」では西田と岡田2人のギターヒーローによる、観客が歓声も上げられずただ息をのむしかないほど圧倒した暴走ギターバトル。アンサンブルがグルーヴ、グルーヴからインプロビゼーションへと化けていく過程を目にし、「強度の高い音楽」を鳴らした日であった。キャリア総決算でかなり彼らのやりたいことが濃縮還元されたようなワンマンであったがホームタウン東京とあって、観客もこれまでの活動を見届けてきた人が多かっただろう。今回の来阪では初めてライヴを見るという人も多いことが予想され、ではその中でどのようなパフォーマンスを見せるのか注目である。
そんな彼らを迎え撃つは京都精華大在学中のSSW中村佳穂。岸田繁や高野寛にも賞賛された彼女のピアノ弾き語り主体のライヴは矢野顕子や二階堂和美にも通ずる即興性が強く、フリーダムかつポップ。自身の楽曲はもちろん、「今夜はブギーバック」と童謡「あんたがたどこさ」をマッシュアップしてみたり、テンションに向かうままに歌い、鍵盤を叩くステージは23歳にしてすでに大御所の存在感。向こう50年変わらぬステージでも毎回楽しめるような普遍性を持った“芸”を見せてくれる。
東京の大所帯ロックバンドとたった一人で場を掌握する京都のシンガー、そのコントラストが今最も大阪でアーティステックな手作りの街=中崎町のNoon+Caféにもはまりよく、彼らを迎え入れるのではないだろうか。
ライヴインフォメーション
- イベント名:吉田ヨウヘイgroup Release Tour 2015
- 日時:2015年12月5日(土)
- 会場:梅田Noon+Cafe
- 出演:吉田ヨウヘイgroup、中村佳穂
- Open:18:30 / Start 19:00
- 料金:adv. 3,000+1d / door 3,500+1d
- 予約:info.sustainal@gmail.com(フルネーム・フリガナ・枚数を明記の上、送信)

paradise lost, it begins
P-VINE, 2015年
BUY: Amazon CD&MP3,
