

カセットが新しいメディアとして見えて魅力を感じたのも大きいです。
──birdFriendの話が出たのでお聞きします。日野さん主宰のレーベルであるbirdFriendは全ての作品がカセットでリリースされていますが、そもそも何故カセットなのでしょうか?
カセットは4、5年前くらいから注目していました。でもその時はアメリカでカセットが流行ってるらしいというくらいの感じでした。最初にカセットの魅力に気付いたのは稲田誠さん(tana record)がきっかけです。当時、稲田さんは録音のツールとしてカセットテープを使っていたんですが、信じられないくらい凄い音で録っていて、それに本当に感動したんです。それで僕もカセットで録音したいなと思って、カセットMTR買って家で録音してたらかなりハマって。自分はカセット世代ではないですが、録音していく上で、逆にカセットが新しいメディアとして見えて魅力を感じたのも大きいです。カセットでのリリースというのは他にも色々な理由がありますが、小ロットでのリリースなのでミュージシャンが実験できる場にもなるかなとも思ってます。虹釜太郎さんの360°recordsからの影響も大きくありますが、カセットだからこそのリリースのスピードも重要で、限定でリリースが多いという事で起きるレーベルへの影響を見ているところでもあります。リリースすれば過去作も売れ、無くなるかもしれないのでレスポンスも早くなる。ただ、そのスピードに妥協せず面白いものをリリースしていく気合と根性も必要となりますが。
──birdFriendの作品は例えば京都だとMeditationsだけだったり手に入れられる場所も限られています。それは聴き手に能動的になってほしい、お店に足を運んでほしいということを訴えかける意図もあるのでしょうか?
訴えかけたいというか(作品を卸すお店を)応援したいともちろん思っています。それに、ライブに行く人も増えればいいなとも。ただ、現状では卸している店を応援するというより圧倒的に応援してもらってるような立場のようにも感じますが(笑)、面白い作品を作って持ちつ持たれつの関係でいれればと。あとMeditationsやLOS APSON? を調べてる人達はやっぱ尖ってる耳してると思うし、そういう人達の耳に止まって買ってもらえたら嬉しく思います。

PANA CUT8 / PANA CUT
birdFriend, 2014年
BUY: birdFriend DISTRIBUTORS
──そういった点でも和田晋侍の『PANA CUT 8 / PANA 8』のリリースは尖った音を求めるというレーベルの姿勢がより明確になったと思います。
この作品は色んな意味で尖ってるし、birdFriendでしかできないことを1つ見せられたかなと思ってます。それにこのリリースは和田晋侍の1ファンとしても本当に嬉しく思います。
どう“謎”を見せるかというのが多分テーマになってくるんじゃないかなと思います。
──birdFriendからは自身のソロ名義であるYPYの作品もリリースされてますが、YPYの活動に関して今後考えていることはありますか? カセットを使ったライブもされていますが。
YPYではカセットもドラムマシーンも使うし、今はサンプラーは使ってないけど、その時の状況で常にセットや演奏内容を変えています。実はラップトップも視野に入れてて。自分で想像できないところに挑戦したいといつも思っていて、飽き症ということもあるんだけど、その時々でやりたい事が変わるのではっきりした事は言えません。

──今のお話を聞いていると楽器そのものへのこだわりというのはあまり強くないのかと思いました。goatでもギターらしい音というのは出していないですし。
多分、ちょっとギター嫌いなんです。Talking Dead Goats”45を始めるくらいまでは、ギタリストとしての自覚があったと思うんですよ。でも、なんかやってるうちにどんどん無くなっていって。ギターでどんな音が出せるかって言ったら、決まった音しか出せないじゃんみたいな。違う音を出すのにあまりエフェクターには頼りたくないし。
──そこにはギタリストとはこういうものだ! みたいな価値観への反発もあるのでしょうか?
自然にそうなってしまうところがありますね。先入観が嫌いなんです。家で音楽聴くのもYouTubeだったりSoundCloudで知らない人のプレイリストを適当に聴くというのが案外好きだったりしますね。
──自分の曲も先入観では聴いてほしくないという気持ちもありますか?
出来るならばどんどん違う名義で出していって「知らないけどなんかこれいいじゃん」って言われるほうが好きっていうか。「この人だからやっぱいいよね」とは言われたくないですね。言われても嬉しいけど(笑)。それに今はネットで何でも聴けるわけであって、その状態でどうやって面白く見せるかといったら、やっぱ“謎”な部分かなと。どう“謎”を見せるかというのが多分テーマになってくるんじゃないかなと思います。
──それでは最後の質問にしたいと思います。インタビュー中「盛りあがったら終わる」ということをおっしゃっていましたが、現在日野さんの注目度はどんどん高まっていて、まさに盛り上がってる最中なのではないかと思います。それを踏まえて今後の展望などありましたらお聞かせください。
そうですね、やりたいことやるだけなので周りを踏まえての展望というのはあまりありませんが、過大でも過小でもなくちゃんとした評価を受けたいとは思ってます。ある程度盛り上がるのはいいと思うし、盛り上がりを自分でコントロールすることもできない。ただ、ちゃんと批評してほしいと思う。そうしてもらうためにどうしたらいいのかは正直分からないけど、自分が出来ることをし、自分に合っている事をする。周りの目とか気にせず、自分が思う面白いことをしていきたいですね。
ライヴインフォメーション
BEST FRIENDS at 東心斎橋CONPASS, club STOMP, 島之内教会
2014年8月31日(日)
adv¥2000(チケット取り扱い店舗及びプレイガイド), ¥2500(メール予約), door¥3000
※CONPASS、STOMPに入場時にそれぞれ別途1ドリンク代が必要
open14:00 start15:00(予定)
Live: 37A / black root(s) crew / bonnounomukuro / Buffalomckee / DJ 自炊 / DJ 置石 / goat / Greg Fox (ZS / Guardian Alien) / 服部峻バンド / KUKNACKE / 巨人ゆえにデカイ / Madegg / 水内義人 /森山ふとし / 毛利桂 / MUKAI TAKAHIRO / NEW MANUKE / OPQ / Shhhhh / 湿った犬 / SOLMANIA + YPY / suppa micro pamchopp / 他
※島之内教会では入場受付をしていませんので、先にCONPASSもしくはSTOMPでお済ませください。
※島之内教会への飲食物の持ち込みは厳禁。禁煙でお願いします。
※出演者の物販はCONPASSのラウンジスペースで盛大に行います。