【インタビュー】THE LOST CLUB, 清水隆史(OGRE YOU ASSHOLE, ネオンホール)

THE LOST CLUB
Interview
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さらに長野ネオンホールの創設者であり、現在はオウガのベーシストでもある清水隆史にも当時の話を伺った。

オウガの名前を自分が初めて聞いたのはその数年後で、そこに勝浦くんが参加した時はかなり驚きましたが、まさか自分も加入するなんて想像したことも無かった

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バップ, 2013年
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──ネオンホールは京都拾得に影響されたという噂を聞いたのですが本当でしょうか。

清水:ネオンホールは、自分が大学3年生の時に、当時2年生だったThe Endこと桜井君を誘って始めました。ぼくが京都の『拾得』に行ったのはネオンホールを作ってから数年後なので、設立時に影響を受けたということはありません。拾得とは90年代後半にライヴハウス同士で交流させてもらうようになり、何度か自分のバンドで出演したり、ライヴを見に行ったりするうちに、その後のネオンホールの展開としては少なからず影響されたりはしました。設立時に影響されたのは、沖縄のライヴハウスや90年代当時の沖縄音楽シーンの空気感でしょうか。ネオンホールをする前からバンドをやったりアングラ演劇、インスタレーション、アート・パフォーマンスとか映画の上映なんかに手を染めていたので、そういうのを全部実現できる場所にしたかったんです。お金がなかったので男三人で住み込みで、ネオンホールから大学に通ってました。

──自由な雰囲気、あるいは遠い地、楽園への憧れでしょうか。Smooth3についてもよろしければ当時の話を教えて下さい。

清水:THE LOST CLUBやオウガと、自分やネオンホールとの関係は、オウガのドラムの勝浦君とTHE LOST CLUBの山口君が大学1年生の時に始めた「smooth3」というバンドに遡ります。彼らはネオアコ的なサウンドの男女混成トリオでしたが、じきに4ピース、そして5ピースとなり、ステレオラブやトータスなんかを意識した楽曲を展開し始めました。アナログシンセやリズムボックス、ボコーダーなんかを使ってて、音も格好良かった。最初のトリオ時代からネオンホールに出演していて、The Endや自分が始めたボスダブというバンドとよく対バンしたり、一緒にイベントをしていました。

Smooth3は東京でも新宿JAMなんかでライヴを始めたりして好評だったようですが、メンバーの就職先がバラバラだったからか、惜しまれつつ98〜99年頃には解散状態になってしまった。カセットでアルバムをいくつか残していて、それが秀逸で今でもたまに聴いたりします。オウガの名前を自分が初めて聞いたのはその数年後で「松本にもの凄い高校生が登場した」「ニルヴァーナとジョイ・ディヴィジョンが出会ったような音だ」というような話を友人が興奮して語ってくれました。そこに勝浦くんが参加した時はかなり驚きましたが、まさか自分も加入するなんて想像したことも無かったですね。

インタビュー後記

設立理由や目指していたものなどより詳しい話は、下記記事を参照とのことだった。

長野から愛知へ移住後に勝浦がオウガに加入、月日は流れ愛知から長野への再移住時には清水も加入することになる。かたやSmooth3山口はオウガの友人をメンバーに含むバンドを東京で結成するのだから、世の中長い目で見ないと何が起こるか分からない。清水は奈良出身、勝浦は東京出身ながら現在は長野に定住している。優れたミュージシャンを惹きつけ、あるいは生み出すネオンホール、そして長野の文化風土。ネオンホール設立時に沖縄の音楽シーンに影響されたという話も飛び出したが、確かに長野は京都からも東京からも距離があり夏の避暑地として沖縄とどこか共通するイメージもある。他のミュージシャンからも「晩年は長野に住みたい」という話をたびたび耳にするし……。話を聞きながら近い将来必ず訪れたいと強く思った。

また、今回の話には出てこなかったが、勝浦は愛知でオウガ加入前にACOUSTICSというバンドを組んでおり、Galaxy TrainというレーベルからCD-Rをリリースしている。オウガ出戸学の実兄である出戸努はMANTというバンドで活動。洞(ほら)というユニットをしている宮下カズオもギターで加入し、2013年には2枚目のCDを発表。宮下は長野の『これレコード』代表でもあり、幾つか愛知のミュージシャンのCD-Rリリースも行っている。愛知、長野、東京のゆるくて少し不思議なつながりが伺える。

(2014年6月7日、名古屋金山ブラジルコーヒーにて。メール・インタヴュー含む)

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