【ライヴレビュー】ベンジャミン・ブッカー〈Hostess Club〉大阪梅田Shangri-La

Benjamin Booker『1st Album』
Live Review
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Benjamin Booker『1st Album』
Benjamin Booker
1st Album
Hostess, 2014年
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いま『音楽ライター講座in京都』では、それぞれが都市と音楽の関係を考察している。私のテーマは「シカゴの現行ヒップホップシーン」を黒人の歴史の流れの中で見ること。そんな私にとって本稿で紹介するベンジャミン・ブッカーは黒人の歴史という観点から見ると少し異質な存在と言えるかも知れない。

アメリカ南部フロリダ育ち、現在はルイジアナ州ニューオリンズに拠点を置く25歳黒人青年ベンジャミン・ブッカー。今回はレーベルHostess Entertainmentのライヴ企画Hostess Clubで実現した大阪公演。この日の会場である梅田シャングリラにはモヒカン頭の若者から若い女性、仕事帰りのおじさんまでと、彼の音楽が幅広い層にアプローチしている事が伺えた。ニューオリンズと言えばジャズ発祥の地として知られており、同地をはじめとしたアメリカ南部は1960年代の公民権運動まで通称ジム・クロウ法と呼ばれた数々の法律があり黒人差別が根強かった地域である。それは音楽文化に多大な影響を与えておりブルースもルイジアナ州の隣ミシシッピー州が発祥の地とされている。だからか、黒人×シンガーソングライター×アメリカ南部=ブルースという勝手な思い込みがあるかもしれない。

しかし、彼のライヴでの印象は、メロディで歌う白人的な縦ノリのロックであった。突っ走るドラムや1曲3分に満たないテンポ感はラモーンズを始めとしたパンクを思わせ、ノイズがかったギターではニルヴァーナのようなグランジを思わせた。こういう視点で見ると彼は白人ロッカーに憧れた黒人ロッカーと言えるのではないだろうか。されど、やはり彼は黒人である。ギロッとした眼光、ギターの構え方や身のこなし方、特に「Spoon Out My Eyeballs」でのハスキーな歌声、そこから醸し出される色気は、まさに黒人のそれであった。そのサウンドと佇まいのギャップが面白かった。

そんな彼が、〈FUJI ROCK FESTIVAL 2015〉での出演が決定した。早い時間での出演になるだろうから、彼のしゃがれた歌声と暑い陽射しの相乗効果で、きっと僕らをスカッとさせてくれるだろう。

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